2021年6月28日月曜日

『まんがタイムオリジナル』2021年8月号

 『まんがタイムオリジナル』2021年8月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』山下さんがものすごいいい顔して素麺食べておりますよ。今月の表紙、テーマは素麺ですね。『らいか・デイズ』らいかは流し素麺機使ってひとり流し素麺を楽しんでいます。『小森さんは断れない!』は、しゅりと大谷君、ふたりで素麺食べて、その様子、仲のよさに溢れていますね。

今月は新規ゲストが2本です。

『おだまき君の道草ごはん』

学年1位をとれないのは苧環有利がいるから。それはおだまき君が悪いんじゃなくて、彼を超えられないあなたがいけないのではなくって? とか思ったりしちゃったけど、別に恨みに思ったりはしてないっぽい?

主人公、穂高小麦。おだまきのこと、うとましく思いながらも邪魔しようとか妨害しようとか、そういうつもりはないらしい。むしろ弱味を握ってテスト必勝法を聞き出してやるとか、手段こそは間違ってるようにも思うけど、コツ掴んでちゃんと勉強して勝つつもりでいるんだな。言動こそは不穏なのにその根本は正攻法っていうのが、小麦という人の根っから悪いわけじゃないというの物語っていていい感じなんですよね。

おだまきの後をつけていってからのやりとりも、草積んで食べてるおだまき見て、いじめられたりしてるんじゃないかって心配してくれるでしょう? ほんといいやつ。時に素直、時に面倒見のよい、そうした表情がぽろりと出てくるのが好感持ててとてもいい感触でした。

しかし小麦、本当にチョロい。もう普通に素直で真面目な善良キャラでいったらいかんのか!? ほんと、そう思っちゃうほど本質がいいやつなんですね。

『涼子と団地な人々』

めちゃくちゃ面白いですね。転校してきたのは見た目から敬遠されがちな女の子、夏川涼子。転校の挨拶をするも、皆からの注目集めて緊張しちゃって真っ赤になって、でもその様子を怒ったと思われてしまう。うん、ちょっと不憫だ!

この小学校は近くにある団地の子が多いみたいですね。どの号棟に越してきたのかとか聞かれて、なるほど団地住まいが一般的だった頃のお話。冒頭のキャプションには20年前ってありますが、2000年前後ってそんな感じだったのかな? むしろ団地全盛期ってさらに昔の昭和の時分って印象があります。

あんまりにコミュニケーションが苦手だから誤解されてクラスの誰も近づかなくなっちゃって。と、そんな涼子に声をかけてくれたのが秋月まこと。ちんまりした女の子。優しい、クール、知的な感じという涼子の評に反して、実はめっちゃワイルドやん! 遊びにいかないかって誘うその遊びが、近所の酒屋のおっちゃんにちょっかいかけるっていうの、しかも普段からやりすぎて殴られるレベルでやらかしてるのん!? すごいわ。うん、これは平成の物語ではない。昭和や。昭和のにおいがする!

初見でとっつきにくいと思わせて実際はそんなことない普通の子、おとなしいかと思ったらえらい無茶するやんちゃな子、こうしたキャラの個性が生き生きとしてよく動いていたのがよかったです。というか、まことにすっかりしてやられた感がある。ほんと、思いもしないもの見せられて、このびっくり、涼子も同じように感じたのかもな、みたいな共感。そういうところもよかったのかもです。

『おしかけツインテール』

うわー、台風かあ。もう最近は台風がどんどん大きくなって、数年前に関西に上陸してめちゃくちゃにしていったやつがあったでしょう。もうこりごり。毎年夏になると憂鬱でしかたがないんですよ。だから、台風上陸にそなえて雨戸を閉て切って、必要なものも買い出ししてきてと、こういう準備の情景見せられても、嵐の前の若干興奮のいりまじった感覚、なんてものはもう微塵もなくて、怖いわあ、かなんわあ、台風もその備えもほんと大変よなあ、なにごともなかったらええなあ。そうした気持ちでいっぱいになってしまいます。

この漫画では、あいかわらず八重さんがゆるい感じで、お酒買い出しにいっては怒られて、ビールを飲もうとしては白い目で見られてとやってますけど、でも台風の中出勤させる会社についての深くシビアで冷徹そのものの感情。わかる、わかるわ……。ほんと、八重さんは正しい……。

低気圧のせいで頭痛のする花梨。よっぽどみたいですね。はやく寝ることにするんですが、寝つけないこの子のもとにやってきた迷い猫。ずっと姿を見せずにいたこの子が、こうしてつらい思いしてる花梨に寄り添ってくれるところなど、親切にしてくれた花梨へのお礼かな? なんて思われて、ほのぼのと心地のいい読後感残してくれました。

あ、八重さんの絶望、それもよくわかります。風邪をひいたら休む。台風の日も休む。前後数日休む。それが常識になってほしいものだと思います。

『となりのフィギュア原型師』

工房の洗濯、半藤が一手に担っているのか。女性もいるのに信用されてるんだ半藤、とか思ってたら、スクール水着が出てきて驚きですよ。そうか、一応配慮はされてるんだ。普段はこの手の洗濯物はまざらないようになってるんですね。

この物品、持ち込んだのは飯塚。混入されたのははぐちゃん。えらい職場だな。代表の名前が書かれてたせいで風評被害が生じてますやんか。

はぐちゃんのいたずら、いったいなにが目的かと思ったら、半藤に代表のこと意識させるキャンペーンの一環みたいですよ。実際、ここからの派生で半藤から代表かわいい発言を引き出してみせて、やるのうはぐちゃん。いや、これたまたまっぽいな!?

今回の話、ものにつける名前がテーマなんですね。自分のものには名前を書きましょう、という話じゃなくて、自分の持ち物、道具やなんかに愛称つけちゃうって話。学生の頃、楽器に名前をつけるみたいな話が一部で流行したりしましたが、自分の周辺ではついぞ定番化することはありませんでした。この場合のあだ名っていうの、代表がやってるみたいな、スパチュラをスパチュ郎と呼んだり、集塵ブースを吸う蔵、椅子をいす男、電気スタンドを電気マン、って、わりと一貫性がないな……。ともあれ、そういうの。

代表みたいに、そのものの名前から発想されるパターンがあれば、はぐみたくミュージシャンやムービースター由来のつけるとか、ほんと、人それぞれなんだなあ。自分も頑張ってつけてみたりしたけど、結局は製品名とかモデル名に落着しちゃいますね。その点、代表のグラインドマスターIIIとか、半藤の家人と同じタイプです。いや、ちゃんづけはしないか。

半藤の持ち物に名前をつけようというくだりで、またはぐの、半藤に代表を意識させようキャンペーンが発動したりしてね、あらゆる物品がこるりになった……。ここでのはぐの倒錯具合、かつてここまでこの人がいろいろアレな部分をあらわにしたことがあったろうか!? いや、わりとあったかも知れん……。ともあれ、代表からのおしおきに目覚めそうになったりと、これ、なんなんだ、サービスカットなのか? なんかこれはこれであかんもん見せられてる気がするんだけど!?

愛用品にあだ名つけたりするよね? しない? みたいなあるある話かと思わせて、ものすごくカオスな方向に突き進んでしまった今回。ほんと、はぐちゃんの明日はどっちなのか。思った以上にいろいろ屈折させてる子ですね、はぐちゃん。

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