『まんがタウン』2021年7月号、昨日の続きです。
『新婚のいろはさん』
ベッドの上でだらけてるふたり。お祭り屋台のたこ焼きが食べたいとか、他愛もない話をとりとめもなくしているんですが、この時点で具体的にお祭りいこうとかそういう話ではないんですよね。ただただ頭に浮かんだこと、そのまんましゃべってるだけみたいな状態。このだらけ生活、始の仕事が一段落ついた、その開放感からくつろぎモードに入っちゃってるっていうんですが、もう数日にわたってダラダラ? すごいな、これもまた才能だと思う。というか、ふたりしてともにダラダラというのがいい。どちらかがね、あれしないといけない、ゴロゴロしてないで手伝って、みたいになったらこの状態は成立しないでしょう? 似たもの夫婦といえばいいでしょうか、そのマッチング、素晴しいマリアージュを感じさせてうらやむ思いです。
たこ焼き、家にあるものでなんとかしよう。その発想がまたおかしいんです。やみくもに買ってみたたこ焼き粉の出番。でもたこ焼きの鉄板がないのか。タコもない。それでもやる。たこ焼き生地のお好み焼き。あー、普通においしいの!? だろうなあ。そらおいしいと思う。これ、試しに作ってみたくなるものありますね。
たこ焼き食べたくなったこの日、たまたま近所で花火やってて、もちろん屋台も出ててというの。おお、最後の打ち上げをぎりぎり見られたんですね! そして出会うはお祭りから帰ってきた早倉さん。浴衣姿。かわいい。めちゃくちゃかわいい。ほんと、ここからのたこ焼き求めて河川敷に向かうふたりと顛末。それがもうおかしくて、ダメな一日の締めにふさわしいダメさがほんとおかしくて楽しそうで、まったくうらやむ思いですよ。
『立ち呑み布袋でもう一杯』
素晴しい扉絵だ……。これ、伸ばしてポスターにしましょう。
今回は夕立しおん、この人と店長のやりとり、それが主軸になってましてね、普段の男相手では出てこないような話題があって、休みの日の過ごし方、つきあってる人とかいないんですか? そうした話題に興味津々の男性陣。ぐーっと傾いていって、仕事が恋人ですよにほっと安心する。こうしたしおんとのやりとり、やっぱりいつもの店長さんのノリとは違ってて、同性同士の気安さみたいなのがあるのかもなあ。会話のイニシアチブをしおんに握られてるところなんかも、可愛さが出てたと思うんですね。
と思ったら、しおんのひとこと、ウチの子は私のごはん嫌いみたいで多分お昼残してるんだろうなー。これ耳にして、きっぱり態度でメッセージを送る店長ですよ。ひとりぼっちにされたらなに食べてもものたりないでしょう? そうしたことを言葉でではなく行動で示すところ。これまで受け身にまわってた店長の、ここぞという場面では妥協しない芯の強さのようなもの感じさせるし、同時にこうした対応してもきっと通じるだろうという、しおんに対する信頼感のようなものも思わせて、すごくよかったと思うんですね。
だからですよ。店長の意図にはっと気づいたしおん、その反応受けた店長、そして応えるしおんの表情がすごくよかったじゃないですか。このコミュニケーションがしっかりと成立する関係。悪くないなあって思ったのでした。
しかしそれだけに白瀬の残念感極まります! ここぞというところで通じない彼! さらに今回は、店長との縁、どうも薄そうだぞってのが男性連中からの評価となって、ほんと残念感を一身に背負わさてれるね白瀬さん! いやもうほんと面白い。これ、白瀬の役割、しおんの役割、それぞれがきれいに立っていましたね。
『君と銀木犀に』
葉介、なんかまたへこんじゃってますね。起こされる前に起きられなかった。弁当のはしセット出し忘れていた。めだまやき落としてしまった。小さな失敗積み重なって、どうもめげてしまったようで、学校にもいかないって。土曜なのに運動部の応援に駆り出されるの納得いかないって、もうすっかりヘソを曲げちゃってるんですね。
基本、この子、こういうところあるよね。なんかプンスカしちゃう。間が悪い、運が悪い、そういって落ち込んじゃってますけど、失敗重ねちゃって落ち込むとか自分にもあるけど、それにしてもここまで……? そう思ったら、ああ、この子、ここまで落ち込むのそれだけの理由があるんだな。
母親が怒る。それをかばおうとしてか、父や祖母が、怒るのよしなって、どうせいってもできない子だから可哀そうだからって……、よけいに心の傷を深くするようなことをいってくる。
なにかあるたびにこうしたこといわれて、その都度自信を損なってきたのが葉介だったのか。そんな子が、どうにかこうにかやるぞって気持ちになれたのがシナリオコンクールだったのにそれも選にもれてしまって、自分はなにやっても駄目なんだって、もうそんだけ打ち拉がれてしまってるんだろうなあ。
この漫画。まだまだ発展途上な子たちの、互いに違った感性を持ち寄って、ともに世界を広げていく。そうしたところが魅力と思っていたのですが、むしろスポイルされているところさえある、そんな負の状況からの回復もテーマだったりするのでしょうか。今回の葉介の置かれている環境、やりきれない思いなど知れば、またこれまでとは違う感想も出てきて、ええ、こうした子は救われてほしい、そんな思いでいっぱいです。
- 『まんがタウン』第22巻第7号(2021年7月号)
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