2020年6月20日土曜日

『まんがタイムきららMAX』2020年8月号

 『まんがタイムきららMAX』2020年8月号、昨日の続きです。

『エンとゆかり』

皆の再出発、あるいはステップアップ編でありますね。鍵の魔物に対峙して、自分のこれからを思う面々。ゆかりは強さを求めてギルドへの所属を考える。とはいえ、なにを目指すかは模索中といった具合。対しアメは魔術師ギルドに所属して、残るチリはというと、まだはっきりとはわからないけど、やっぱり冒険者になりそうな感じがする。

この、それぞれに置かれてる状況、目指すもの、考えていることが違うのだけど、それぞれの選択の果てに同じ方向に定まっていく感じはとてもいいですね。なにかに流されているわけでもなく、なんとなく誰かに付き合って決めるのでもなく、ひとりひとりがきちんと自分のことを考えているという自立感。意思、個性、人間性、そういうものがはっきりとしてくるように感じて好感なのです。

そしてひとりちょっと状況が違うのがエン。この人は自分でなにかを決めるというのがこれまでできなかった? 今回も、雇い主であるロッソの意思でもってその行動を限定されそうになってますけど、魔王の封印の鍵が狙われているからしばらく王都を離れるというロッソに対し、明確に、いや! っていっちゃった! なるほど、ゆかりと別れたくないんだね。こういう意思表示見せてくれたこと、ちょっと嬉しく思いました。とはいえ、いつまでもこのへんブラブラしてるわけにもいかない。じゃあロッソのパーティを抜ける? あるいは別の道が? いろいろ思わせてくれる、そんな展開に気持ちがぐっとつかまれますね。

『ぬるめた』

あいかわらず面白いなあ。人造人間くるみが、その製造者であるちあきにえらいこと改造されるみたいなのが定番になってるわけですが、今回はくるみから改造をお願いする。しかも、それ、なにかというと、お腹が減った時にお腹を鳴らしたいって、なんでまたそんな特に役に立つわけでもない改造を!? と思うわけですが、そうか、可愛いからなのか。本当にそれが可愛いのかどうなのか、D☆Vなのかどうなのかはわからんけど、くるみにとってはそうだったんだな。あるいは、これ、鳴らしたのがしゆきだったから可愛かったのかも知れないぞ?

人造人間だからって人になりたいわけじゃないぞっていうくだりは面白かった、というか、なるほど結構考えさせられるものあったように思いましたよ。しゆきはなんとなく、人造人間は人間になりたいと思ってるみたいなこと前提にしてたわけだけど、くるみはなれないって割り切ってるし、そもそもなりたいとも思ってない。製造者のちあきもそんな必要ないだろうって、このドライというか、いやでも、この人間になりたいはずという発想そのものが、人間こそが優等、人造人間より上等といった傲慢な考え方そのものなのかも知れないなあと思わせてくれたんですね。

うん、このくだり、結構刺激的だったと思う。なんか、お? って思ったんですね。いいねえ、ワンダーです。

そして今回のラスト。いつも、わりとくるみのこと酷い扱いしてる感のあるちあきですよ。でも今回はなんか慈愛のようなもの感じさせてくれてね、さきないわくかわいい。ええ、あの表情、とてもよかったと思いますよ。なんか酷いことしてるって思うのも、こちらの固定観念がゆえなのかもなって。ちあき、くるみの関係において、あれらもろもろは愛着と交流のひとつのかたちなのかも知れませんね。なんて具合に思ったんですが、考えすぎですかね? でも、このくだりを見てからこれまでのいろいろを振り返ると、なにか印象も違ってきそうに思う、そんなエピソードでした。

『ななどなどなど』

よかった。小町ちゃんが早々に限界を迎えて、トイレにいってくれてよかった。小町ちゃんが皆の眼前でもらしたりすることあったりしたらどうしようって、あるいは試合の最中に切羽つまってトイレにいくみたいなことになったらどうしようって、ずっと心配してました。よかった。社会的に死んでしまう小町ちゃんはいなかったんだ。ほっとさせられましたよ。

このくだり、小町とななどがふたりで話す機会を作ってくれたんですね。せっかく頑張ったのにうまくできない。恥をかくのが怖いっていう小町ちゃんがね、ほんといじらしくって、またそんな小町のこと元気づけてくれるななどが頼もしくって、小町ちゃんは全然素直じゃあないんですけどね。でもそんな小町が可愛いじゃありませんか。

そして試合でも、ずっといいところがなかったるるに小町、ふたりに巡ってきた見せ場。ここぞという時にね、小町が理解できないっていってた個人名叫んでの応援、これが背を押す、力を貸してくれたっていうの、正直感動的だったと思います。ずっと嬉しくないあだ名で呼ばれてきた。けれどこの時ばかりは玉村と、その名を呼ばれて、意表を突かれた? それともなにか気づくものがあった? この子のなにかが変わったように思えたのです。人生初得点とかななどから酷いこといわれてますけど、小町、本当に喜んでてね、その表情、見事に晴れ渡って、素晴しい。ええ、大金星だったと思うのです。

けど最後にはね、なんかもとどおりみたいな感じになっちゃうんですけどね、でも同じ陰キャ姫って呼ばれ方でもさっきまでとはちょっと違うように思えるから不思議。やさぐれ小町と、嬉しさに舞い上がる小町と、そのバリエーションも実にいい。と思ったら、一緒のチームで戦ってた高橋さん、小町のこと玉村氏って呼んででくれて、そうでした、この人、小町の頑張りを見て、知って、応援してくれてましたよね。

小町、こうしていろいろな活動通して、理解して、認めてくれる人を増やしていければよいな。そう思えた球技大会。焦らず、少しずつでも変わって、進んで、もっと素敵になっていってくれればいいなって、その果てに小町のこと敵視してたあの子との和解もなればよいななんて思ったのです。

0 件のコメント: