2020年6月19日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2020年8月号

 『まんがタイムきららMAX』2020年8月号、発売されました。表紙は『きんいろモザイク Best wishes.』。『不思議の国のアリス』の挿絵思い起こさせるような淡いブルーのドレスにエプロンつけたアリスが鮮やか。淡い桃色、花柄の着物を羽織るその姿もチャーミングで、これはもう完全なる光の世界ですよ。輝く光のもと、天より降り立った天使なのかなんなのか。アリスの周囲には散る羽根、ならぬ手紙が舞って、ああ、Best wishes. この漫画の手紙をよすがに振り返る、そのモチーフがここにもまた印象的です。

今月は新規ゲストが1本です。

『うちのニンジャが役に立たない』

忍者の彩、お嬢様のボディガードをしているというのだけど、これ、能力を買われてとかじゃなく、露頭に迷っていたところを助けた、その延長での雇用なんだ。でも能力があるのは間違いないっぽい。鈴の音に呼ばれれば、いかなる時も即参上。はいいんだけど、壁でも天井でもぶち抜いての登場。これにはお嬢様も御冠、というのですが、うん、これは忍者が悪いわ。能力があっても常識がない系なのでしょうか。でも性根は真面目というか、壊した壁、家具の弁済、ちゃんとしてるのな。でもそれで経済的窮地に立たされてるというの、うん、まずは自分の行いを見直そう。そもそも壊さなければ、その出費はなかったのだよ?

お嬢様おつきの金髪メイドがいいですね。わりとこちらも常識に欠けている! 忍者マニアで彩のこと、めちゃくちゃ気にいってるっぽい。それで一向にボディガードとしての実績を残せない彩のため、部下のメイドに一芝居を打たせた!? でも、これ、相当な手練だな。煙幕張って手裏剣を打つ、その戦闘力に、逃亡時のあの跳躍力! 最後の最後に、変装の面を抱えて歩いてるのお嬢様に見られるとかツメは甘いけどさ、ほんと、金髪のメイド長だけでなく、配下のメイドも相当な忍者マニア?

個性的な子らの忍者コメディ。自分の好きなもののためには加減も躊躇もないメイドが面白かったですよ。

『ぼっち・ざ・ろっく!』

ぼっちの家にやってきた喜多。めちゃくちゃ歓迎されてるな! 家人総出でクラッカー持って玄関でお出迎え!? 対してぼっちはというと、間が持てないからと喜多を部屋に残し遁走しようとする始末。この人づきあいの悪さ! でもこれでこそぼっちだと思う。

今回、ぼっち母、素敵でしたよ。後藤美智代16歳! いけてる! いけてますよ! まだまだバリバリ、現役で通用しますよ! ここにぼっちの内弁慶が発揮されて、ええ、喜多ちゃん、ぼっちの新たな側面、知ることができましたね。

今回、聞けば聞くほど、知れば知るほど残念感の増していくぼっちの半生が描かれたわけですが、このどんどん喜多との距離が開いていくような、わかりあえなさばかりが強調されていくような展開の果てに、まさかこんなにも感動的な共感の情景が広がるだなんて、ほんと見事だったと思います。喜多は喜多で、自分自身に足りないもの、欠けているものを思い続けていたんですね。ぼっちとは正反対。けれど、だからといってまるで違うわけではないんだというぼっちの言葉が沁みました。ええ、ふたりこんなにもわかりあえて、あの語りあう夜の時間、本当に素敵だったと思うのです。

と、ここでまた揺り返しがあるというのがこの漫画で、ああー、なんでまたこんなことに! でも、この再び開いたように見える距離も、そう遠くなくまた埋まりますよね! ええ、歌の録り直しを要求する喜多を見れば、あの距離ももうまるで感じさせませんでしたよ。

『こみっくがーるず』

悩んでいる、落ち込んでいる美姫をはげまそうと、スイーツバイキングに繰り出した琉姫たち。仲間はかおすとフーラ先輩! って、待って!? ふたりともスイーツバイキングにそんなに恐怖覚えるの!? そこまで相容れない存在だというの? いやもう、店の雰囲気に苦手意識を持ってるとかじゃなく、カラフルなケーキにさえ怖れおののく。どんだけなの、あなたたち。あまりにあまりの反応に、さすがに引いてる美姫がおかしかったです。

でも、そんな美姫がケーキをひと口食べて、ぱあっと表情明るくするところ。あれ、よかったですよね。この子の鬱屈した気持ちも、この瞬間晴れた? そう思わせるくらいのいい表情で、でもそこまで簡単ではなかったんですね。

フーラがうまく聞き出してくれました。この子、くりすに自分を比べて落ち込んでいるんですね。と思ったら、くりすはくりすの側で、美姫のこと褒めちぎっていて、両者、互いに違っていて、その自分にないものを相手に見出しては、憧れてみたり気後れしたりと、ええ、ありますよね、こういうこと。これもまた他山の石といえるのでしょうか。自分に自信のあるくりすと、自信を失っている美姫と、その差がふたりの感情の違いに繋がっている。そんなこと思わせて、ええ、最後ちょっとこじれちゃいましたね。くりす、間が悪かったですね。ちょっと、まだ互いに距離感とか掴めてない感じしますね。

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