『まんがタイム』2020年7月号、一昨日の続きです。
『抜けだせ!ぼっち!!』
大学に友達のいない明子。この子が学童保育のボランティアで得た経験。それが見事に生きた展開とてもよかったですよ。学童では子供たちが向こうからやってきてくれるから大丈夫。そんな受け身一辺倒に見える明子だけど、子供たちのことを知るために、頑張って3日で学童全員の名前と顔を覚えたとかね、ちゃんと努力しているんです。それが描かれたの、とてもよかったと思うんですね。
今年の夏休みは学童があるからひとりじゃない! ここでもまたなんか消極的なこといっててね、いや、学童で頑張るのはいいんですよ。でも大学は? そっちでの友達はどうするの? そう思ってたら、最後にちゃんと踏み出しているんですね。あの自然に一歩前に出ることのできた明子の様子。ああ、もうこの子は大丈夫そうだ。そんな風に思わせてくれて、ほっとするというか、よかったねと嬉しくなる、その様子にぐっときたのです。
『テレパス皆葉と読めない彼女』
この漫画、ほんと素晴しいですよ。一緒に帰ろうと誘われた澄花。皆葉から誘われたのははじめてだ。それでいろいろ思いを巡らすその様子。いじらしくてね、そして若干の切なさもあって、この揺れる思いのこもごも。皆葉に向ける恋心、それがこうも穏やかに描かれて、丁寧。発せられる言葉のひとつひとつ、見せる表情、その一瞬一瞬が雄弁に澄花の思いを表現するのですね。
これは、ずっと積み上げてきた成果なのだと思います。同時に、登場人物に向ける愛情、それも手伝っているのではないか、そんな風にも思います。澄花のこと、皆葉のこと、ふたりの思い、他の皆についても、ないがしろにせず、大切に、いつくしむように掬い上げようとしている。そんな手の優しさを感じるのですよ。
今回は、大きなできごとはおこらない。なのにこんなにも豊かで、最後の駆け出す澄花と、その背を見送る皆葉。直接には語らない、けれどその言葉がふたりの思いに触れて鮮やか。いい漫画だと思います。素晴しいと思います。
『瀬戸際女優!白石さん』
戦隊もので悪役を演じる白石さん。ものすごく評価されて、さらにはアクションにも期待されてるというのに、当の本人はというとぎっくり腰で休養中。凛々しい悪役白石と白目むいて寝転がっている白石のギャップ! 素晴しいですよ。
もう無理できる年齢じゃないといってる白石もですよ。昔はあばら折ってもピンピンしてたとか、おかしい! それはおかしいです! でもこの不在で、皆から慕われてる白石というのがより色濃く押し出されて、いいじゃありませんか。またちびっこからも好評で、って、そうなの!? 悪役は蹴られたりするもんなんじゃないの!? これ、思いがけぬファンレターに目尻さげてる白石がいいんですよね。チャーミングな人ですよ。
そして黒川ですよ。難しい役のオファーがきたという。なんとヒモの役。ちゃらんぽらんでクズのヒモ。白石ならなんかいいアドバイスできる? と思ったら、そうか姐さんはそういうの許してこなかったか! すみません、誤解してました! 黒川を見出したのが真島監督というの、ここでちょっと恋愛感情ぽいのにじませたのね、おお監督やっぱりそうなのか。こりゃ、白石最後のルートはやっぱり真島監督なのかも知れませんな。
『お天気おねえさんの晴れ舞台』
牛着ぐるみが可愛い琴音。着ぐるみ着せたら日本一って、えらいポジション獲得してるんだなこの子! と思っていたら、水着の仕事のオファーが入りました。グラビア? と思いきや、天気予報なんですね。水着姿で天気を読む。恥ずかしいと驚いてる琴音、この素直に感情表すところがこの子のいいところだと思うんですよね。
水着になること思い悩んでた琴音が、だんだん別に水着でもいいんじゃないか、そう思えるようにいたるまでのいろいろが面白かったです。留莉がいい感じに発破かけてきましたね。この人、なんだかんだと琴音のこと考えてくれてるの、いい友達になってるの、それがなんだか嬉しいエピソードでした。
そして水着を買いにいく。そこでの牧との食い違い。そうか、琴音のおはぎ発言。牧はダイエットかと思ったんだ。本当はお金の問題っていうの、あー、仕事で着る水着くらい会社で出してあげてほしい!
水着でのお天気、琴音にとっていい刺激になったみたいんですね。ひとつ壁を越えたというか、でもそれでやりすぎ方面に舵を切っちゃう。ああ、これが琴音ですね。しかし思いきりいいよなあ。
- 『まんがタイム』第40巻第7号(2020年7月号)
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