2019年11月2日土曜日

『まんがホーム』2019年12月号

 『まんがホーム』2019年12月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』。秋の行楽、山に登ったのかな? 丸木にロープで作ったブランコに乗ってるらいか、膝の絆創膏がこの子の元気さ感じさせていいですよ。他に『孔明のヨメ。』秋の味覚、柿に栗を収穫して嬉しい孔明、月英夫妻が可愛い。『河原課長とギャル部下ちゃん』の巻中カラー告知カットもございます。

今月は新規ゲストが1本です。

『吸血鬼くんと死体ちゃん』。吸血鬼エドガーの傍らに仕える死人、ゾンビのニナ。血を吸いたいというエドガーに私のをどうぞというんだけど、防腐剤の味なのか! 生前の記憶のないニナ。その記憶を取り戻したいとエドガーは思ってるのだけど、最初はニナに同情してるのかとか、あるいは単純にニナのもの知らずがいろいろ迷惑だからなのか。そんな風に思ってたら、ああ、最後にそんなに切ない感情が。それまでの、いろいろふわふわしたやりとり、すべりっぱなしのジョークネタとか、ゾンビの顔縫うネタとか、飄々とやらかしてたそれらの感触が一気に転倒した。これ、やられた! 素直にそう思いました。うまいところ突いてきた。感服です。

『天国のススメ!』。兄心とな! キリがないからと見ないよう、気にしないようにしてる太一も、兄心を刺激されると見て見ぬふりなんてできないっていう話。そうだよな、麦のこととか一生懸命だもんな。今回は狐の子を助けることになるんだけど、行方不明になった兄を探している。柘榴を頼って一帯の狐に聞き取りするも、そもそも行方不明の兄狐が存在しない。そこからの展開ですよ。ああ、その兄狐というのが、そもそも狐ではなかった。霊狐、お稲荷さんで、ということはこの妹も神様のお使い? いや、そうではないのか。ここからがすごかったですよ。これまでの疑問を全部きれいに拭って、それどころか妹のために命を捨てた兄の献身。その献身が神の目にとまって、魂だけでもこの世に留まって、妹を見守ることもかなってという、これ、本当にぐっと胸に迫ってものすごかった。こういう人の気持ちにうったえる力。確かな力がこの漫画にはあって、毎回毎回、しっかりやられていますよ。

続く特別編、太一の十子に向けた優しさ、気づかいと、それを静かに噛み締めている十子の様子などね、これも素晴しかった。こうした細やかな心の動き、その描きよう。本当に素晴しいです。

『孔明のヨメ。』今回は月英の活躍が光って、ああ、この漫画の主人公は月英だったよな! その実感しっかりさせられて、でもほんと、ひかえめなこの人の、けれど劉備をもうならせる策をばっちり提示してという展開。わくわくさせられて、もう、してやったりですよね。月英が抱えていたふたつの仕事。夫人の助けになるものを作り、そして城の防衛について、その両方をこなして最高。ただ最低限、目標を満たすだけでなく、民のこと、日常の生活のこと、多方面に気を配って、その視野の広さ、思考の柔軟さ、そして大胆さは劉備にとどまらず関羽、張飛、趙雲までもうならせる。かっこよかった。最高でしたよ。しかも罠と兵器の全力、これ、関羽、張飛は食らってるわけだものな、その威力たるや実証済みではないですか。そしてこの爽快の後に、徐庶について触れられて、ああ、これもまた胸に迫る。この、人の情の機微、その向けられる気持ち、思いのひたむきなるところ。これまた素晴しいなと思わされるばかりでした。

で、続く定軍山レポートですよ。孔明の墓所に参って、そして定軍山に登ってというのですが、孔明の墓所、武侯墓はこれで3回目って、だよなあ、この人がまだ参ってないとかあるわけないよなあ、感心させられるばかり、というかほんとすごい情熱です。しかもこの旅のきっかけが国立博物館の三国志特別展の展示を見てって! この撒き菱、本編でも触れられてましたけど、なるほど、こうして縁のあるものだったというのですね。このレポート見れば、なるほどと納得させられるところがあって、この多面的なるところ、すごいですよ。

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