『まんがタイムきららMAX』2020年1月号、発売されました。表紙は『旅する海とアトリエ』。海とりえ、ふたりがなにか面白そうなもの見つけたみたいですよ。海に手をひかれるりえ。ちょっと駆け足で、こちらに向かってやってくる。あの、手をかざした海がいいですよね。黒髪の着物美人、派手な髪色とかが当たり前の昨今の漫画において、この地味さ、けれど逆にそれが美しいよなって。着物も質素で、りえも飾らなくって、でもこのふたりの自然体。その表情もまたこの人たちの素直さそのもの感じさせるもので、気持ちいいですね。すかっとして晴れやかな、そんな明るさのあるいい表紙ですよ。
今月は新規ゲストが2本です。
『ホレンテ島の魔法使い』。初回から2本立て。これ、面白いですね。魔法使いの伝説の残るホレンテ島に魔法使いを探しにやってきた貰鳥あむ。けれど会う人、会う人、魔法使いなんていないよって、この島でやっているのは、その伝説を観光資源にして訪れた人に魔法使い気分になってもらおうという、いわばテーマパーク的な運営ですね。毎日がちょっとしたイベント。島のスタッフは魔法使いモチーフの制服を着ていて、けどあむの問には魔法使いなんていないよって答える。なるほどガチの人にはこうやって真摯に対応するんですね。と思っていたら、どうやら島には本当に魔法があって、魔法使いもいてという、あえてこれを秘密にする理由なり事情なりがあるっていうわけですね。この島にあむが移住してきて、ここでいわばスタッフとして働くことになって、レストランで働く亜楽かるてとご近所になって、意気投合して。そのくだり、ギターでがなるところね、なんか愉快な気持ちになれる勢いありました。キャラクターの魅力もしっかりあって、島の秘密も興味ぶかくって、これはなかなかに期待できる新作だと思います。しかし魔法の秘密、いつまで守られるのかな。意外と長く秘密にされそうな感じありますね。
『月が綺麗だから盗んで』。噂の怪盗団。怪盗だけど正義なのか。中でも人気のノワール、その正体はふつうの高校生をやっている真緒。その子が怪盗の衣装を着込んで潜入した御屋敷で出会ったのが多々良ゆら。御屋敷のお嬢様で、見事な箱入り、けれど冒険を、刺激を求めていたというこの子にむしろ先導されるかたちで目当ての金庫へと向かうというのだけど、ずっと求めてきたドキドキに触れて、ただ待ってるばかりだったゆらが、ついに自分から掴みとろうと思ったのが、ノワールとの逃避行であるっていうわけですか。ノワールのピンチに、お嬢様、ノワールを抱えてジャンプですよ。ああ、新たな怪盗の仲間となるのでしょうか。この子がどんな可能性開くのか、その展開、楽しみになりますね。
『こみっくがーるず』。フーラ先輩、めちゃくちゃヤバいな! いよいよ卒業。寮に戻ってきたあすか先輩との生活にテンションあがりすぎちゃって、かと思ったらどんどん病んでいってない!? あすかと一緒にいられるしあわせと、反面またあすかが旅立ってしまうのではないか。私のことを放って! 年下の子ばかりかまって! って、ヤバいヤバい、ほんと不安定すぎてこわいよ、フーラ先輩! この鬼気迫る様子、おそろしくリアリティある生々しさが濃厚で、ほんとビビりたおす。けど、これ、このままじゃバッドエンド一直線じゃない? そんな不安がぬぐえなかった今回。だって、メンタルぐちゃぐちゃだし、肝心の漫画にも打ち込めてないし、と、そんなフーラ先輩、落ち着きどころ見つけましたね。寮母の仕事を手伝うことに。あのエプロン姿のフーラ先輩、美しいな! いろいろ不安は残るけど、当面はこれで安定しそうですね。ええ、先輩の抱えていた問題、とりあえずひとつ解決してよかったです。
『みわくの魔かぞく』。ハロウィンと文化祭、そしてミラの誕生日、全部が同じ日に一気にきちゃうのか。まいがあいかわらず自信なくしてるのがすごい。そんな震えるほどなの!? 選んだプレゼントっていうのが、ちょっと的外れっぽいけど、そこまで卑屈になる必要はないんじゃないかな!? フォローする周辺がほんと頼もしかった。今回、ハロウィンということで皆仮装している。だから魔界の人たちも、自分本来の姿で溶け込むことができてという、この特別な日ならではの一体感。そんな中でのまいとミラの特別な時間? プレゼントあげて、喜んでもらえたんだけど、まいはやっぱりちょっと気がひけてるのか。改めて別のものもといったところでの、名前で呼んで欲しいっていうやつね。すぐもとに戻っちゃうんだけど、それだけに、この特別な日の特別な魔法みたいな感覚があって、なんだか素敵だったなって思ったんですね。
- 『まんがタイムきららMAX』第17巻第1号(2020年1月号)
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