2019年11月13日水曜日

『まんがタイムきらら』2019年12月号

『まんがタイムきらら』2019年12月号、昨日の続きです。

『さかさまロリポップ』。天海姉妹と芽依、穂澄の4人で一緒に水族館にいきました。意外に狭い世界というか、芽依の連れてきたのが詩月の仕事仲間の穂澄っていうの。おかげで一緒に遊びにいけるようになったんだけど、芽依がいいサポートして見せて、柚希と仲良くなりたい穂澄の希望をかなえるべく、いろいろ画策するんですね。柚希と穂澄ふたりを残して消えたりね、いや、これ偶然? イルカショーにペンギンに、興味にまかせて突き進む詩月につきあってたらはぐれたってのが真相っぽい。けど、穂澄は芽依の仕業とか思ってるしさ、そして柚希もお姉さんだけあるといいますか、余裕持って、穂澄を安心させて一緒に行動してくれる。そのふたりの様子、穂澄の詩月へと傾ける感情、それが実によかったですね。詩月との時間をいつくしむかのように寄り添う穂澄の姿、時間の流れがゆっくりになったかのように感じられた。素晴しかったです。

『佐藤さんはPJK』。PJKとはなにか。そして佐藤の過去についても、多くが語られましたね。かつて、留年する前の佐藤、PJKになる前の佐藤の思い出語り。そうか、PJKっていうのは、佐藤が考えたものじゃなかったんだ。吉田光、後に佐藤と友人になる子がいいはじめたのがPJK。すべてを完璧にこなすプロフェッショナル女子高生。けれどその実際は、懸命に今を楽しんで、充実させようということのようで、吉田いわく青春なのだそう。PJKが青春なら、なぜ佐藤は今もすがりつくようにPJKであろうとしているか、その理由が悲しくて切なくて、ああ、事故で意識不明のままにいる吉田光、彼女の帰ってくるその時までPJKであり続けようとしているってことなのか。そのやり方が正しいかといわれたら疑問だけれども、佐藤にとっては譲れないことだったのでしょうね。その佐藤の切実な思い。そして待ち続けていた10年の果てに、今こうして千春とともにPJKの本来に立ち返ることのできたという佐藤の見せた笑顔。なんだよ、この漫画、こんなにも泣かせるものだったのか。今回、かなりきてましたよ。もう、たまらんものありました。さて、次回が最終回だとのこと。ということは、佐藤の吉田光を待ち続けた時間、それが動きはじめることもあるのでしょうか。そうなれば、吉田光とともに、そして千春たちと一緒に、PJKを卒業することにもなるのでしょうか。この時を超えて育まれた友情、それが今後も続けばいい。そう願わないではおられない、そんな最終直前回。皆と花火に興じる、その姿も、その時間もまた美しかったです。

My Private D☆V、『アニマエール!』の卯花つかさです。さて、今回のD☆Vポイントはなにかなと思ったら、おおう、全部のせときましたよ! 全部のせ。ふわふわ髪、ショートカット、おでこ、手袋、主従にチャイナ。なるほど、そうした要素を、ぱっと明るい笑顔見せる小柄な女の子と、クールそうな長身女子、ふたりにそれぞれ盛り込んで、このふたりの関係性が主従ってわけか! ぱっと目をひく華やかさがあって、と思えばシックな赴きもあってという、なるほど多面多様にわたる要素をひとつの画面にこれと描いて破綻させないこの手腕。見事でありますよね。ハシラのコメントに、いくら詰め込んでも大丈夫とはあるけれど、それを大丈夫にしてるのは作者の腕ですよね。バランス感でもって見事に調和させてくれる。「全部のせ。」の文言も、イラストのバランス、倒れかかりそうと思わせる重心の不安定さを、この文言、書き文字の重みでもって中和させて、イラスト全体をかっちり安定させてくるっていうんですからさすがです。多様なD☆Vポイント、時に対照的でさえあるそれらを、ふたりの人物に割り振ることで、コントラスト強めて、さらに魅力を増さしめる。そうした技量冴えわたって、こいつは見事なプレゼンテーション。素晴しいですね。

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