2019年10月24日木曜日

『まんがタイムきららフォワード』2019年12月号

 『まんがタイムきららフォワード』2019年12月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』。力強くパンチを放つメリー、なのですが、ああ、当のメリーは本編では出番ががが……! しかし、このメリー、スカートや袖、帽子なんかがボロボロになってて、その満身創痍ぶり。どれほどに厳しい状況に置かれてきたか、それでもくじけることなく気丈に振舞い続けたか、それを表すような表紙。ええ、戦いは佳境。ふたたびメリーに会える日のくること、彼女の強さに期待して待ちたいところです。

今月は新作ゲストが1本です。

『恋と呼ぶには』。人を好きなるとはどういうことなのか、それを考えてみるような漫画。内省的といいましょうか、好きになった相手のために容姿もなにも変える女子を見て、軽く軽蔑、それでも共感を覚える主人公。この少年が好きなの、幼馴染みの男子だというのですね。けれど、その彼は同じく幼馴染みの女の子とつきあうことになって、かくして破れた恋を胸にふたりから距離を置きつつあるという主人公。そんな状況で冒頭の女子と再会するっていうんですね。その彼女も失恋、しかもその相手というのは嘘で告白して彼女のこと振り回して遊んでいた、ゲームだったというのだから傷心もひとしおでしょう。そんな彼女と主人公の問答。男はいいなって、顔がいいだけでちやほやされて、女だってとっかえひっかえで。まったくの八つ当たりなんだけど、彼からしたら好きな相手、男とつきあうことに性別という障害のない女の方がずっといい。よく知らない同士だからこそかも知れない、本音を隠さないやりとり、そこに現れる人を好きになるということの意味、彼ら自身にとってそれはなんなのかという問い掛けのようにも感じられて、その答の容易に出せない様などよかったです。これ、主人公がゲイであること自覚していることで、このふたりが今後つきあうことになるみたいな展開がないこと示唆されて、だからむしろ同志? 仲間みたいになってるのね。そういうなんだかニュートラルな感じ、そこも気にいりました。

『桃ノ木家の四姉妹』。なんだ、今回、やたらカオスっぽい雰囲気あるぞ。むやみやたら元気だけはあるニノ。この子とクールな委員長の交流話? といっていいものか。なんかほんとによくわからないのよ。ニノが拾った委員長のパスケース。学生証入っていて、なんとか届けようとするんだけどニノが寄ると露骨に避けられる。そんなニノと委員長の再会。これがもうすごいの。なんだこれ!? って感じ。営業前なのに気づかないまま突入していった銭湯。気持ち良く裸になって浴場にいったら、なんとデッキブラシにまたがって飛ぼうとしている委員長が! 全裸対デッキブラシ。これはつらい、恥ずかしい、共感性羞恥持ちの読者がいよいよ試されようとしている! そんなシチュエーション。そこからの展開もすごくて、驚きのあまり湯船に落ちた委員長。必死で引き上げたら息をしてない!? そのまま人工呼吸までいく!? これ、ニノの知識がいいかげんだから助かったよね。本気で心臓マッサージされてたら、委員長、危なかったよ! すんでで目覚めた委員長に突き飛ばされて、今度はニノが水没。なんだこれ、とんでもないコメディタッチだよ。でも面白かった。これ、委員長の家が銭湯なのかな? なんて思ってたら、さらにもうひとつ秘密をかかえてらっしゃった。ああ、あなた留年してるの。誰にもいってないわよね!! って迫るんだけど、ニノ、まるで気づいてなかったよね? 今回、委員長、ちょっと自爆案件みたいです。

夢喰いメリー』。姿を消したメリー。どういうことかと思ったら、白儀に喰われてしまった、取り込まれてしまっていたというのですか。クリオネがいうには、メリーの音はどこからも聞こえない。まったく消えてしまったというのですが、彼女がいなければ現界も幻界も救う手立てがない。次々現れる銘無しにより混乱は広がりつつあり、もしこれが学外にまで溢れれば手のつけようもなくなるという、本当にぎりぎりの状況。さあ、ここで白儀に対峙するは我らがヒーロー夢路。しかし彼になりができるというのか。門番メリーのいない状況でなにか打てる手があるとすれば、夢路の持つ能力、夢魔の力を借りる武装明晰夢であるのか。だとしたら、どんな力がこの危機的状況を打破しうる可能性となるのだろうか。いよいよ山場も山場。今度こそ本当の最終決戦だろうけど、わくわくする気持ちより、不安、心配が強いんですよね。いや、夢路ならきっとなんとかしてくれる……。

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