『まんがタイムスペシャル』2019年12月号、発売されました。表紙は『恋愛ラボ』。メイン5人が勢揃いして、満面の笑みでもって手を振ってくれているんですよ。ああ、最終回表紙だ。連載の終わり。物語においてもエノとサヨは卒業を迎え高等部に進んでと、別れとそして新しい出会いが示唆されています。ええ、この表紙イラストもそうしたひとつの節目を表して、けれど決してそれは悲しいことではないっていってくれている、そんな明るさ、元気さが感じられます。そしてもうひとつの節目、今号をもって『まんがタイムスペシャル』は休刊を迎えることとなりました。ああ、そうかと空をあおぐ思い。これはどういいつくろおうと切ない別れですね。
『年上の物理女子は可愛いと思いませんか?』。つきあうことになったふたり。その後どうかと思ったら、意外や普通。ちょっと距離の近さを意識して、みたいなことはあるみたいだけど、物理へのありあまる情熱ほとばしらせるところとか、なんも変わっとらんなあ、とか思ったら、朝永、普通に好きですとかいっちゃうんだ! これまでのうろうろが嘘みたい! それ観察してる陸上部、化学部、生物部が、とりわけ野依がやられまくっとる。甘々すぎるやりとり、たえがたいですか? でも、すぐそばにいる陸上部もたいがいよ? しかし、メインふたり、素直になったらすごくよい距離感ね。なんだろう、無理のない関係というのが見ていてよくわかる。そして、この恋の成就が物理を知るということ、その気持ちのありかたと重なってるというのが素敵だった。この世界が昨日とは違って見える感覚。それ、ワンダーというやつか。サイエンスのワンダー、そして恋のワンダー。そのともに浮き立つような思い。素敵な決着を見ましたね。
『うちの可愛い掃除機知りませんか?』。クリスマスをいよいよ迎えようという時期。透が智枝の家で料理に取り組んでいるんだけど、それ、妹、十萌のためだっていうのは重々承知しているのだけど、現状は掃除機アプリを喜ばせるばかりになってるというのが面白いですよ。アプリはサンタクロースの格好して、これ可愛いなあ。ヒゲがいいよ、ヒゲ。十萌がなにを欲しがってるか、わからなくて悩んでるんですね、透。いやほんと、十萌がかつて喜んだシリコンスプーン、十萌が見出してる価値がまるで透にはわからないというのがね、むしろ智枝が理解してるっていうのがね、姉の抱えるもどかしさ描き出してよかったですよ。しかし透、智枝もいうようにいつもは見せない様子、表情を見せてくれて、ああこの人の存在、その幅というのがふくらんでよいなあ。ええ、透、このイベントを通していろいろ気持ち動かしてますよね。クリスマスが楽しみになる、そんなふたりの様子でした。
『ワタシを欲しがる河野さん』。おお、最終回、いいラストを迎えたではないですか。吉山内が河野からいろいろ聞き出そうとしている。好みの色とかリサーチしてるっぽい。なぜ? ああ、なるほど、河野の誕生日が近いのか。それでなにかプレゼントしたいと、喜んでもらえることをしたい。いい後輩だ、吉山内。そして今回、なにがいいってさ、吉山内が頑張ったこと、それ、河野に河野自身の魅力を伝えようとしたこと。理想からかけはなれた自己像にいわば苦しんでいる彼女に、吉山内、港、ふたりして手をかけて、河野の気持ちも彼女の自身へのイメージも、きれいにさっぱり塗り替えていこうっていうその気持ちが嬉しい。ああ、自分は可愛くないと思っていた河野。けど自分のことかわいいといってくれる人がいて、そして自分自身そう思えるようにもなって、見事にこの人の世界が変わったわけですよ。いいラストだった。吉山内、すごくいいことした。最高でした。
『ローカル女子の遠吠え』。え? 静岡って西日本なの!? 調べてみれば、糸魚川静岡構造線より西が西日本。そうか、フォッサマグナか。というか、静岡の東半分、フォッサマグナの向こう側か! あらー、静岡全部がフォッサマグナの向こうみたいに思い込んどった。勉強になるなあ、この漫画。うどん圏とそば圏の話。地質学的区分じゃなく名古屋が境になってるとか、なるほどわかりやすい。こういうのね、読んでてすごく面白くって、西日本のはずの静岡だけどカップうどんは東日本仕様だとかね、でもってこれが関ヶ原が境目とか、こういう地域雑学? みたいなの、ほんとシンプルに面白くて好きなんですね。西日本向けと東日本向けの商品、それが両方買えるのが静岡のメリットみたいに話されて、あ、じゃあカールは? と思ったら、あれは近畿以西なのか。なかなか思うようにはいかないものだな。こうしてあるあるネタみたいなの、雑学みたいなの、面白く読んでるわけですが、そこに加えてギラギラ女子桐島みたいなのとかね、そしてデートスポット増やして少子化対策っての、チクリと皮肉るの、こういうのが面白い。ほんと、今回も見事に充実して、すごくよかったです。あと、秋津さんは可愛いです。
- 『まんがタイムスペシャル』第28巻第12号(2019年12月号)
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