『まんがタイムきらら』2019年11月号、昨日の続きです。
『夢見るルネサンス』。破られたイラストを残していなくなってしまったリーチャ。いったいどうしたのだろう。あんなに一生懸命、頑張って描いたというのに。ひとり公園にいたリーチャを見つけだしたレン。ふたりの会話する場面、レンのリーチャに向ける優しさ、あれが実によかったです。そしてリーチャの怖れていたこと。ああ、かつて暮らしていた時代では散々否定されてきた。絵を見るまでもなく門前払いされてきた。その記憶が今もリーチャを苦しめていたというんですね。そんなリーチャにかけられたレンの言葉。その温かみも素晴しければ、破いてしまった絵。その救済ですよ。なんてったって今は21世紀。写真に撮ってレタッチしてっていうの、リーチャからしたら魔法みたいに見えたんじゃないかなあ。この時のレンの頼もしさ。そして力づけられたリーチャの決断。ああ、リーチャの頑張りが報われたあの瞬間。涙ぐむほどの嬉しさありましたよ。
『佐藤さんはPJK』。皆で出かけた花火大会。縁日で遊んで、金魚すくいで見せつけるPJKのPJKたる所以。その能力よ。屋台のおじさん、かつての佐藤を覚えていたんだ。でもまさか同一人物とは思いやしまい。そしてその時、佐藤と一緒にいた人は? 千春と一緒に写真を撮る、その時、佐藤が思い出していたのはかつての友人。人混みに後ろ姿を見つけて駆け出す佐藤、そして追う千春。この追い、追われる様子、ドラマチックで、胸に迫るものあり、切なさでしょうか、佐藤の切迫する思い、佐藤に向ける千春の情愛。息づく思いの交錯して触れあうかに思えたあの瞬間。これまで心情をあらわにすることのなかった佐藤の心が見えそうになった。ああ、この人の胸に去来したもの。それはなんだったのか。揺れる佐藤の思いに千春はどう応えようというのか。千春が佐藤の心を揺らしたのか、そう思えばこそ、この子が佐藤の助けになればよい。そう思われてならないのです。
『初春が咲く』。柚子が可愛いなあ。身長差があるというので、彼方と組めなかった二人三脚。彼方と走った明石にえらいこと反発しちゃってね、徒競走であのライバル視。そこからの大活躍。うおおおおぉ!! で、ダァーッ! って、君、そんなキャラだったか!? 荒れてるっていわれてますけど、荒れてる柚子、面白可愛らしいなあ。今回、体育祭で活躍した彼方、いろいろ女子から話しかけられたり、明石とのこともね、それらもろもろが柚子の気持ちに働きかけるの。ちょっと寂しそうにしたり、それから彼方にいいとこ見せようと張り切ったり、こうしたところ、ああ、以前の柚子とはちょっと違う。ふたり気持ちを確かめて、つきあうことになって、それがこの子をこうして変えていったのだなあ、そう思うと感慨もひときわです。そして彼方と柚子、さらに一歩踏み出した。そんな体育祭。ああ、青春のイベント、一歩一歩歩んでいくふたりです。
My Private D☆V、『トールさんの通り道』の猫月です。おお、印象がずいぶんと違うぞ。いつもはファンタジー寄り。そこからリアルシチュエーションに寄せるとこんな感じになるのか。D☆Vポイントは、気丈に振る舞う女の子。頬に絆創膏? 大きなのを貼り付けた女の子が、大丈夫ってね、いってる、そんなイラスト。なるほど気丈。凛々しさ感じさせるクールさが確かに魅力で、こういうかっこいい系の女の子、いいよね。そう思ったら、そうした子の抱える問題が解決して号泣した瞬間、と続くんですね。面白いなあ。隠されていた本音というか、その子の本当みたいなのが一気に溢れる、そういうところがポイントなんだろうか。でも、こういうところ、確かにわかる気がします。緊張を抜けての安心感や、ひと山超えて深まった関係、心を開いてくれた、そんな感触。ああ、ドラマがあります。
- 『まんがタイムきらら』第17巻第11号(2019年11月号)
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