『まんがタイムオリジナル』2024年6月号、先日の続きです。
『おだまき君の道草ごはん』
恋を自覚した苧環は、こんなにはっきりしない男になるのか! これまでいつだって飄々と、小麦の心をざわめかせてきた苧環が、小麦を前にして自分の気持ちを言葉にできない。そんな苧環に対し、明鏡止水の心境ですか、小麦さん! と思ったら、これがもう一ヶ月も続いてるっていうんですか。ああ、そりゃさすがの小麦さんでも慣れちゃいますよね。
告白寸止めながらもプレゼントは欠かさない苧環。なにかの実を炒ったものが入っていて、結構おいしいらしい。しかしこの実が苧環の思いを伝えるための本命小細工だったとは! 小野小町に焦がれた深草の少将が小町のもとに通いつめたという百夜通いの逸話にもとづいたメッセージ。少将が毎夜置いていったという榧の実を、小麦に贈って願掛けしてたっていうんですが、うん小麦もいってるけどまわりくどい。でも、気持ちはもう伝わってるよ。
だからこそ小麦の答えた白詰草の冠、毎年春になったら作ってよというその言葉に込められた意味。今だけではなく来年も再来年もずっと一緒にいたいという気持ち、いい返答だったなって、光るんですよね。
ええ、次回最終回だそうですよ。ふたりの恋はどのように実るんでしょうね。ええ、実ること前提で話しています。
『かつては最強無敵の勇者様~姫には内緒のレベルダウン生活~』
ステラに食事を供するジュロー。どんなに豪華な食事を魔法で生成しても、さすがは王女というべきでしょうか、おいしいと評するもののそれ以上の感想は得られない。これ、ジュローは王女の求めるものを見誤ってるんですよね。ステラはおいしいものが食べたいわけじゃない。それよりもジュローという人物を、そのバックグラウンドを知りたい。だからこそ求めた、ジュローの故郷の料理。タイミング悪く、レベルダウンのせいで料理を生成できなくなってしまったジュローだけれども、だからこそ実るものがあったというべき結果オーライ。
ええ、今回のレベルダウンは不運だったけれど、そこで投げ出さず、この世界でできることを全力でやりとげた。できた料理は、慣れぬジュローの素人料理だったかも知れないけれど、そうした行動にこそジュローという人物が表れていたのだと思うし、つたなくとも手をかけた料理こそが食べる人の心を打つという、そうした気持ちと気持ちの響きあうということが描かれたのだと思います。
しかし今回のジュローの全力。さすがの高レベル冒険者だな! 副産物がすごい。大地を蝕むモンスターを次々と倒し、民衆を救いまくっとる! なのに、その偉業はこれといって語られるわけでなく、ほんとのほんとについで。ああ、今後もこういうナンセンスなおかしみが期待できそう。いやもう、とんでもない活躍がしれっとなんでもないことみたいになってるの、今回ジュローが脇目もふらず料理に奮闘した、その証拠といえますね。
『アイドルはお忍びCHU♡』
紗鳥の所属するアイドルグループ、レゼルにちょっとした動きです。レゼル初の新メンバーオーディションが開催される。メンバーにとっても寝耳に水。それだけ一花の脱退が大きかったのか!? 実際、紗鳥はこの施策にプライド傷つけられていて、けれど一花脱退後に紗鳥のグッズ売り上げが減った事実もある。否応なく変化に対応していかないといかない紗鳥なのですね。
その事実を書店で偶然耳にしたのが一花です。自分のせいではないか、気に病んでしまったところにかかってきた紗鳥からの電話。プライド傷つけられたことに憤慨しながらも、一花のせいなんかじゃない、自分たちが盛り返せなかっただけ。人のせいにすることなく、自分たちの問題として引き受けただけでなく、はやく共演できるポジションにまで登ってきて、一花にハッパをかけてくるんですね。
こうした紗鳥の行動にこそ彼女のプライドが感じられる。本当、気持ちのいいお嬢さんだと思いましたよ。
- 『まんがタイムオリジナル』第43巻第6号(2024年6月号)
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