2024年4月9日火曜日

『まんがタイムきらら』2024年5月号

 『まんがタイムきらら』2024年5月号、発売されました。表紙は『好都合セミフレンド』。ハイヒールを片手にさげたすうなが、伏し目がちに頬そめながら手をひかれている。はたしてその手を引くのは誰なのか、その答は巻頭カラーの扉にあって、同じく頬を紅潮させるルカ、彼女がすうなの手を引いていたとわかるのですね。これは湖畔、あるいはふたりヒールを脱いでいることから、浜辺でしょうか。振り返りすうなを見やるルカの表情。目を逸らしていたすうなはルカの視線を受けとめるのが恥ずかしい? そんな心の機微もドラマチックな表紙であります。

今月は新規ゲストが6本です。

『ふたりサボタージュ』

クラス委員って大変だ。不登校の生徒の家にプリントを届けるよう頼まれてしまった。はたしてどうした事情があったのだろう。まったくの初対面、相手のこともまるで知らない状態で部屋にまで通されてしまって、そうしたら相手はくつろぎスタイルでゲームを楽しんでいて、学校を休んでいることに関してはなんら悪びれる様子もないのですね。

クラス委員はとにかく真面目。ゲームも嗜まない、堅物としかいいようのない人物で、しかしそれが誘われるままにゲームに興じて、それがすごく楽しかったとわかるコマ。それがとてもよかった。魅力的な笑顔と思わされたのですね。

さぼってしまった、悪いことをした、そうした胸の高なりを見透かされてしまった委員長。この日のことが新たな自分を知るきっかけとなってしまったか。これからはさらなる深みを知る、そんなこととなってしまうのかも知れませんね。

『そよかぜアニマート』

おお、リュートだ。ということは、主人公は吟遊詩人? と思ったら、今日からはじめたばかりなんだ。けれどリュートは達者で、と思ったら、歌は全然からっきしなのか!

この微妙な吟遊詩人、グイーが出会ったのが、ひつじの獣人。荒削りながらも歌がうまくて、これはいいコンビになりそう? と思ったところ、このひつじさん、牧場で飼われていたんですね。ああ、すなわちこれはゆく先ゆく先で新たな出会いが待っている系なのかな? と思いきや、ラストでふたり今後も一緒に歌っていくことになりそうな気配漂わせて、ということはこれからふたりの旅がはじまったりしそうですね。

『妖精さんとひきこもりちゃん』

無職で引きこもりの柳のもとに現れたのは、妖精のレーシィ。レーシィがいうにはふたりには縁がある。柳の前世は誇り高い騎士であったという。なのに生まれ変わりの今の柳は、社会不適応のだらしない引きこもり。レーシィ、落胆しながらも、柳の社会復帰を後押ししようというのですね。

しかしレーシィ、スパルタです。ろくに表に出ていない柳を強制的にテレポート。家から6キロ先の地点に飛ばして、むりやりにでも走らせる。とはいえ、引きこもりの体力です。早々にリタイアして、けれどそんな弱々の柳ですが、レーシィの危機には頑張り見せてくれて、これはもしや社会復帰の目がありそう!? なんて期待持たせてくれたのでした。

『かっさい!』

演劇にネガティブな印象を持っている雪。そんな彼女が同僚教師から、生徒から、演劇部の顧問になってほしいと頼まれて、けれど首を縦には振らない。生徒たちも引き下がらずに、明日の部活紹介で上演する。判断するならそれを見てからにしてほしい。強く頼まれて、生徒たちの舞台を見ることになるのですね。

演じられるのは、かつてこの学校の生徒だった頃に雪が書いた脚本。それを真摯に演じるふたりを見て、まだ高校生レベルときびしく評しながらも、自分の作品が演じられ、そして観客に受け入れられるのを見て、心動かされるものがあった!

かくしてはじまる雪と生徒たちの演劇の世界。生徒たちの成長が、いずれ雪解けをむかえさせることになるのかも知れませんね。

『Healingスペース』

建造物を組み立て分解する宇宙ステーションにて、ひとり作業に従事するアンドロイド、ARUT。ずっと孤独であった彼女の前に、どこからきたのかひとりの子供が現れて、ARUTは戸惑いながらも、言葉も話せないその子に食事を与え、そして世話をしていこうとするのです。

しかし謎です。この子はどこからきたのだろう。どういう存在なのだろう。さいわいARUTは自律型、汎用型であるらしく、ステーションの不用品にまぎれていた本を頼りに、その子のことを知ろうとつとめる。最初はその行動、反応から、犬だろうか、猫だろうか、試行錯誤の連続ながら、だんだんにその距離を埋めていく。その心を配る様に、ヒトとアンドロイドの絆、つながりなどが育まれていきそうです。

『JKリタ』

友達のいなかったりた。図書館でひとりでいたりたに声をかけてきた藍理という子が唯一ともいえる友達で、その子と会いたい一心で受けた同じ高校。クラスこそは違ったけれど、ついに藍理と再会できる。そうした思いとは裏腹に、自分と同じく友達のいなかったはずの藍理のまわりには人の姿が絶えることなく、また何度も同じクラスになっているという子までいて、今までのことは嘘だったのかと、りた、ショックを受けて学校を休んでしまうんですね。

そんなりたの学校復帰話? 母親に頼まれて買い物に出かけたりたが出会ったのは、同じクラスの子。皆で親睦会をしようと思ったけど、ずっと学校を休んでいるりただけ誘えなかった。だもんでこちらに出向いてきたというのだけれど、その子と話しているうちに、藍理に対し腹が立ってきたりたであります。見返したい人がいる。そういって、クラスメイトの助けを借りて、新たな学校生活をリスタートさせようとしたりたにふりかかる、人間関係の複雑さ!

本当、人間関係って大変! 難しいやら気をつかうやらで、やっぱりダメージ負ってしまうりた。なかなか上手に生き抜けない、そんなりたのハードな高校デビューの一幕でした。

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