2023年12月22日金曜日

まんがタイムきららフォワード』2024年2月号

 『まんがタイムきららフォワード』2024年2月号、発売されました。表紙は『魔法使いロゼの佐渡ライフ』。お正月! といわんばかりの表紙がいかにもおめでたくしあがっておりますよ。思いっきり餅をつく紗菜を背後に、ぜんざい食べるロゼなのですが、ふたりともに服装が普段着のそれ! ロゼなんてTシャツに綿入り半纏! この気楽な様子が、お正月の特別な感覚と、ふたりの気を使わなくてもいい素朴な日常をうまくミックスしてみせて、ほんとう、なんだか楽しいお正月を思わせてくれるのですね。

今月は新規ゲストが2本です。

『巨大怪獣ポメラニアン』

なんかすごいのきたよ!? 絵を見たらわかる、『ももいろモンタージュ』の人だ! けれど今号は読み切りで、巨大化したワンコたちが大暴れする漫画が掲載されているというのですが、犬の描写がなんか尋常じゃないな!

リアルなタッチで描かれた犬たちの存在感たるやすさまじく、それが一般家屋どころかちょっとしたビルも凌駕する巨大さでもって迫ってくる。うわっ! デカっ! という感想と、そんなのが歯をむきだしにしたりするものだから、こわっ! という感想のいりまじる独特のテイストが異色ながらも読み手である私の興味を引きつけて、しかもこの破壊劇でもって描き出されるのが犬のしつけときたもんだ!

このギャップよ。

落差があまりにも大きいために、その効果や抜群。主人公リリが巨大ポメラニアンにぶっとばされる様子を見ながらも、へこたれることなく、というかものすごく丈夫よね貴方? 普通サイズの犬に接するかのごとく巨大ワンコに対処する。すごいわ。なかなかの怪作だったと思います。

しかし、クライマックスのあれもものすごかった。いやもう、インパクトってやつだと思います。有無をいわさず見せつける、そんな強力さ、さすがでありました。

『マンボウの人魚姫』

人魚姫、というからにはロマンティックなお話? いや、ロマンティックなんですけれど、なんだろうこの出落ち感。10歳になるまでに王子様を見つけないと人魚になってしまうと、友達のかもめちゃんに打ち明けたたゆちゃん。王子様を見つけることのできないまま10歳を迎えてしまったたゆちゃんは、なんと人魚に! 人魚に?

たゆを遊びに誘おうと家を訊ねたかもめを出迎えたのは、なんとマンボウの姿になったたゆでした! って、いや、これ人魚か? 人魚なのか!? たゆの痕跡は頭部側面のリボンだけ。でもちゃんと人の言葉は使えるし、当然コミュニケーションも可能。見た目は魚、心は人間。半人半魚の人魚姫! といいたいけど、人魚というよりかは魚人といったほうがしっくりくるなあ! いやほんと、ものすごい美少女ぶりを誇ったたゆちゃんをコミカルマンボウにしてしまうあたり、この思い切りにはやられました。

それからの王子様探しの難航する様子もおかしくて、呪いを解くには王子様とのキス! というので生鮮市場にやってきたかもめ。たゆちゃんは今は魚だから王子様も魚だよね? というんだけど、市場の魚は半死半生! 次に訪れたのは水族館。ついにはイルカにカニと魚類からも遠ざかっていくの。このかもめの天真爛漫というか、ちょっとズレてる感がずっと面白さのベースになっていて、そしていよいよお別れかとなった時のかもめの決断。

ここにきてきちんとセオリー踏んでくれるからこその主人公、王子様だったんだって思わされたのでした。

『魔法使いロゼの佐渡ライフ』

紗菜を訊ねてきた吉岡麻衣。紗菜の後輩にして、紗菜を崇拝するフォロワーだというのですが、この子が密かにロゼに向ける反感ないしは敵愾心。それはいったいなにゆえか!? ととぼけるのもおこがましいと感じるほどに簡単で、単純に紗菜と一緒に暮らすロゼに対する嫉妬。いつも一緒にいて、紗菜の助けにもなっていて、そうしたロゼに対し感じる悔しさがゆえだというのですね。

そもそもが麻衣にして紗菜を崇拝するようになったのは、かつて海で溺れかけたところを紗菜に救われたからだという。その麻衣の紗菜に向ける感情の激しさ。それゆえのロゼとの相容れなさ。それをどのようにしてかわせばいいというのか?

というところで発生した事件とその解決が、麻衣の感情を一変させた! って、いやなんだ麻衣さん、あなたチョロいとよくいわれない!? とはいっても、ロゼの活躍、麻衣を助けるため、おのれを顧みず使用した魔法、奇跡といってもいい救出劇に、麻衣がコロリとまいってしまったとしてもしかたがない。

しかたがないけど、これまで紗菜に向けていた以上の懐きっぷりなのでは!? ほんと、そのあまりの激変に困惑する紗菜もまた面白かったです。

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