2022年8月24日水曜日

『まんがタイムきららフォワード』2022年10月号

 『まんがタイムきららフォワード』2022年10月号、発売されました。表紙は『魔法使いロゼの佐渡ライフ』。たらい舟でいいのかな? 大きなたらいに舵のついた乗り物。これに紗菜とロゼが乗り込んで、ロゼの足元にはトキに似た謎生物がおりますね? これ、トキでいいのかな? あるいはロゼの故郷のなにものかとトキの概念が合体融合した、そんなのかも知れませんね。

今月は新連載が1本、新規ゲストが3本です。

『魔法使いロゼの佐渡ライフ』

王の圧政が続く異世界。王から追放された王女、ロゼスタリアは国民から信頼を得ていない、それどころか疎まれていることを知って絶望。復讐と称し、持ち前の魔法でもって異世界への出奔を図る。いや、どうせ復讐というのなら一発世界を焼き払ってからでも遅くなかったのでは!?

そんなロゼが辿り着いたのは、私たちの暮らす現代日本。しかも佐渡島というのです。たまさか助けられたその家で見たテレビ。映し出された大都会に、異世界熱も高まるロゼ。しかし表に出てみればビルディングは影もかたちもなく、むしろひなびた木造小住宅の密集する様が印象的だったというのです。

そんなロゼの日本ではじまる生活。彼女を助けた娘、紗菜は少し対応を誤ってしまったものの、誤解も解けたようで、まずは安心。というか、かんずりってそんなてんこ盛りにせんよね? 相手の嗜好もわからん時点で無茶な食べさせ方させたものですよ。

ふたり和解を果たして、ともに誰かのためになりたい、思いを同じくしたふたり。この先、ロゼの魔法が役立つ、そんなシチュエーションもあるのでしょうか。どんな活躍が見られるかが楽しみですね。

『君がまた私に恋してくれるまで』

予想したよりも切ない物語。同性の同級生、凪に告白しては袖にされ続ける八重。それでもまるでくじけることもなく、冗談みたいに、茶化すみたいにしている八重だけれど、時に見せる真剣さ、そして凪に背を向けたその時の、打って変わってシリアスな表情。

表に見せている態度とは違い、なにかしら思いつめたものを抱えているようなんですね。

ふたり、一緒に街に出ることになった日。八重は、凪がガーベラが好きということを知っていて、なぜこんなにも凪のことを知っているのだろう。そうした謎も八重の思いも一緒に判明する終盤。かつて恋人としてつきあっていた、その記憶を失ってしまっている凪のこと。ひとり凪の思いがふたたび自分に向くことを信じ、アプローチし続ける八重の思いの切なくも一途な様は、ふと引き込まれるもののあったように感じました。

そんな八重の願いの成就するかも知れない予感? 今はまだわからないものの、いずれは思いも果たされ、凪の記憶も戻る。そんな未来がくればいいですね。

『ささ姉はめいパートナー?』

大好きなママとふたり一緒に暮らすはずだったのに、叔母の紗々音と暮らすことになってしまって消沈している愛唯。そんなふたり暮らしの、文字通り前日譚が語られるのですが、姉妹だけあって母ににている紗々音だけれど、その生活はだらしなく、少し荒れていて、そんな叔母に反発しながらも、一緒に過ごすうちにだんだん打ち解けていく様子はほのぼのとした楽しさがありました。

とりわけよかったのが、愛唯にとっては絶対で、完璧なママ。そんな母の過去、いろいろ無理して頑張っちゃうところとか、小さい頃、一緒に寝ていたことだとか、愛唯にとっては見知らぬ側面、時に子供っぽかったり、ちょっと意地っぱりだったりする姿を知るにいたる一連のくだりでした。自分も似ているといわれてドギマギしたりね、それでいて素直になれない愛唯の反応など、確かにキッズセットのおまけを無理して我慢していた幼い頃の母に似たもの感じさせる、なんて思わされたのでした。

そうして打ち解けた叔母、紗々音だけれど、まさか母の都合で一緒に暮らすことになろうとは!? しかも母は仕事でひとり家を離れて、まさしく晴天の霹靂ってやつですよ。ママの前では素直だった愛唯も、紗々音を前にすると素直さが引っ込んじゃって、ええ、まだまだなかなか本音を出していくのは難しい? というか、ママと離れて暮らすのがショックだよね!

『ふたごなうぃっち』

小さな頃は双子の姉と一緒に魔法使いごっこをしていたらいら。すっかり大きくなってしっかり者に育った今も魔法に対する憧れは続いていて、そんなところを姉、ももこからからかわれたりしているんですね。

そんならいらがももこと一緒に魔法使いになるというお話。木から落ちてきた黒うさぎ、みぞれ。人の姿になったその子に頼まれ魔法使いになるというのですが、なにか不思議な力があったからとかじゃなくて、たまたまそんな話をしてるところを耳にして話がはやそうだったからとか、ふたりが選ばれたのも、一度にスカウトしたら手間が半分になるからとか、妙にドライで合理的? そんなところがおかしくてよかったです。

魔法使いになることを承諾してからも、いきなり変身して魔法を使ってとかじゃなく、特訓やらされるとかね。しかも体力づくり、走り込みからはじまるというのだから、予想をはずしてくれます。さらに変身も、自分たちで衣装のデザインして、その衣装に着替えるという、DIY的展開ですよ。その衣装っていうのも、ただ見た目を変えるだけで、普段着のままでもなんら問題はないという。うん、ドライだ。でもこういうの結構好きですよ。

かくして魔法で人助けをすることとなったふたりの初仕事。新しいレインコートと傘を持って雨を待っている子のために魔法を使ったその顛末。変身あり、そして思いもしない落ちにまで繋がって、その子を笑顔にするという展開。罪のない、けれどひとくすぐりあって面白い、そんなところが大変によかったと思います。

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