『まんがホーム』2022年9月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』。らいかが夏を満喫中? 夏と書かれたシャツを着て、左にうちわ、右にアイスキャンディー。前髪をクリップであげて、涼しさに一息ついている様子です。『天国のススメ!』太一は、麦わら帽子姿、スイカを抱いて座り込んでいます。『魔界の愛されCEOは元勇者』魔王とソヴァンがトロピカルなドリンクにスイカと、リゾート感あるアイテムで飾っています。『孔明のヨメ。』孔明、月英夫妻は、空を見上げて、その先には中秋の名月でしょうか。手にした杯に月が映って風情感じさせます。
今月は新規ゲストが1本です。
『オオカミさんと大魔導士』
狼の要素を身につけた存在、狼族は人に、獣に嫌悪される孤独な存在。だというのに、森に足を踏み入れたゆるふわ女子はなんら躊躇なくコンタクトとってきて、むしろ可愛いといってぐいぐい接近してくる始末。
ペースを乱された狼族の娘、その女子を脅そうとするも、尋常でない魔力を行使する大魔導士であるがゆえに、まるで怖れない。怖がられるはずが、興味を持たれ好感も持たれ、さらには傷を癒されるほどに親切にされて、こうした関係に狼族の娘もかつてこれまで経験のなかったこと、これから先もまた知らぬ感情、抱くことになったりするのかも。そんなこと思わせてくれるエピソードでした。
『孔明のヨメ。』
緒戦を勝利で飾った劉孫同盟軍。陣地も沸き立ち、孫尚香のふるまった酒もあって、祝賀ムードに包まれていたのですが、その灯火からうかがえる曹操軍の陣容に徐々に士気も落ちてゆく。
孔明の見立てでは、陸路を移動している兵も今後合流し、曹操軍はより一層大きくなる。その見通しの暗さ。これをいかにして打破するか、それこそが見どころになるわけですが、まだその手立ては明らかではない。ええ、ここはまずは待ちの状況といった具合です。
対し曹操はというと、こちらはこちらで御冠。緒戦の敗退。しかし、そこで負けた理由を明らかにし、その対策に動き出す。この判断と決断。また配下の進言を重んじ、具体的な対策をとらんと大きく動こうとする荀攸の策に即断で乗っていく。
こうした曹操の姿見せられると、この漫画の主人公、表のそれは間違いなく孔明と月英であるわけですが、裏の主人公は曹操なんだろうなあって心底思わせられて、その人柄、実力のほど、見せつけられるごとに、悪辣というよりもむしろ魅力的と感じさせるのですから! ええ、ここからの孔明の動きに対し、曹操はいかに対峙しいかな反応を見せるのか。双方並び立つからこそ際だつ、そんな感じがいたします。
『座敷童子あんこ』
農家スタイル、めちゃくちゃ似合いますねあんこ。本編でも農業ですよ。家庭菜園に目覚めたというんですが、野菜はそんな好きじゃないの? でもなんか興味本位で珍しいのを育てるつもりになっていて、そのうちのひとつがマンドラゴラ。やべえな、どこから入手したんだ。と思ったら、幸太の父か……。相変わらずヤベえな。
今回はマンドラゴラの煮物とか危険物もあったけど、わりと実りの喜びを満喫する、そんな普通の楽しみがよく描かれて、ゴーヤのくだりとか、ほんとに普通の収穫風景だもんな。でも、それでもなんか面白いのはあんこのキャラクターがあるからだろうなあ。どことなくとぼけた感じ? ゴーヤの熟れた種が甘いと聞いて即食べて、言う程でもないな。このテンポなど実によかった。
そしてラストの傘のまじない。それ、傘の柄に「呪」とか書いといたら盗られない、みたいな話じゃなくって!? いやもう、確かにその傘は手にしたくない、そんな感じがバリバリしてますよね。
『スナックあけみでしかられて』
夏ならでは? 怪談話がスナックあけみのみならず、町のあちこちでささやかれて、いわく、ぬいぐるみを抱いた髪の長い女が、手に刃物のようなものを持ってずぶ濡れでさまよっている。まさしく怪異思わせる様相の女が目撃されているというのですが、ゲリラ豪雨では? わりと冷静に受け止められてるのがおかしいところです。
で、問題の女性、にゃーにゃーいいながら歩いてるところが目撃される。いったい何者なのか。その理由がちゃんと判明するんですね! いやもう、全然怖い話じゃなかった。むしろこの人、困ってらっしゃる。飼ってた猫が逃げちゃって、ずっと探してるっていうんですね。
刃物というのはまったくの誤解で、猫のおやつのパッケージが銀色。あー、なるほど。全然危険な話じゃありませんでしたね。
ここからの迷い猫捜索。張り紙にて情報を広く伝えることで、怪異扱いされていた女性の名誉が回復。猫探しの猫女の人とか、いろいろこじれた呼び方されてるんですが、怪談扱いよりずっといいですよね。そして張り紙の結果もたらされた有力情報。ここからの決着。あの、泣いて喜んでる猫女の人の姿が、よかったねえ! ほんとに心配してたんだね! って思わされるもので、ええ、ほんとによかった。皆が猫のゆくえを気にしていて、猫に興味も持っていてというところもとてもよかった。心暖まる、そんなお話でした。
- 『まんがホーム』第36巻第9号(2022年9月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿