『まんがタイムオリジナル』2021年9月号、一昨日の続きです。
『カントリー少女は都会をめざす!?』
田舎のスケール感、これわかります。よくいえば自然が豊かなんですよ。なので生物たちがすくすく育って、そうかみなちゃん、カエルが苦手か。って、そんなにデカいの!? 予想外のサイズ提示されて驚く大河。続いて亜紀からも、家に大きなクモが出た。そんなにデカいの!?
ふたりともにちょっと大きく表現しすぎの感じもしますが、いや実際、遭遇した時の驚きってこんな感じですよね。自分もずいぶん前ですが、嵐山にいったとき飲み物でもと思って寄っていった自販機に、てのひらサイズの蛾がとまってるのに遭遇して、ひえー、そのまま退散したものでした。デカい生物、一瞬怯まされますよね。
さて、カエルの話はいわゆる枕であります。今回のテーマは井の中の蛙、八重がいう田舎の都会と思っていたこの町が、テレビで田舎と紹介されてたショックが語られて、そこから皆が陥る恐慌、混乱! ええっ!? そこまで!? 大河も皆のあまりの驚きようにびっくりしてますけど、ほんと、八重たちの感覚、それはまさにその土地に暮らしているものにしかわからないものかも。自分たちの常識だった、ここらは田舎だけどこのへんは結構都会、そういった了解ごとをメディアから全否定される感覚! いやもう、いつもなら八重だけが落ち込んだり騒いだりというところが、今回ばかりはみなも亜紀も一緒になってまごまごしてる!
どれほどの驚きかわかろうもの。いやもう、予想以上でありました。
『通勤通学クエスト』
マッツ、最高だ。
クラスでの交友関係が広がっていくことに戸惑いを覚える梅子。これまではマッツ、松島だけを気にしていればよかったのが、ここにきて一気に友人が増えて、竹重に柳。これ、ウメちゃんが人付き合い苦手なんじゃなくて、タケ、ヤナギのふたりが突拍子もなさすぎるのよ! かなりの高難度。ウメちゃんじゃなくても、知り合って時間かけて理解進めていかないと対応しづらい系のふたりではありませんか。だって実際、タケとヤナギふたりが会話してるの見て、どんな風に絡んでいったらいいのかさっぱりわからない!
そんなウメちゃんが、なんとかして彼女らと交流深めていきたいって話だったんですが、なんとかしよう、なにかしゃべらないと、そう思っている間はうまくいかなくて、むしろ相手の行動に身をまかせた方がうまくいったというのがよかったなあって。無理してあわせなくていい。ちゃんと受け入れられてるんだから、自分のペースで、その時の自分にできること、できる反応でもって対応していったらいいんだって、そういうことが描かれてたように思ったんですね。
ウメちゃんがクエストをクリアしながらも、それでも人との交流の難しさを忘れないのがね、この子の性格というのをよく表現していたと思います。この子はこれからもなお迷いながら、けれど自分なりの距離感で皆との仲を深めていくのでしょうね。とりあえずはタケにえらいこと懐かれてるのが微笑ましいです。
『オネェの恋のはじめかた』
火野淡子よ。時宗、桜子にえらいことご執心。いかにもグイグイいきそうな時宗の、ちょっと強引? あるいは華麗なロマンス情景を目撃し、それを演劇部の題目に生かしたい!
これ、この子の趣味と実益の綱引きですね。あるいは趣味趣向のゆきつく先が演劇。ああ、適応機制でいうところの昇華ってやつだ! しかしそれにしても時宗のキャラクターを見誤ってしまっている淡子です。というか、普段の時宗を見ていたらそりゃ誤ろうってもんだよなあ。ふだんは押せ押せオネェ様系な彼が、桜子を前にすると初心な純情少年になっちゃうんだもの。
この状況を理解している水面との温度差とか本当に見事で、それだけにひとり感情をあっちにこっちに振り回されるようにして興奮したり呆気にとられたりしている淡子がおかしい。でもって同時に、この子、なんか可愛らしいんよねえ。
時宗にぶつかった時の反応とかもね、時宗ぽかんとしてたじゃん。時宗にこんな反応させられるの、この子くらいでは!? いやほんと、面白いキャラクター。これからもガンガン突き進んで、じたばた七転八倒してほしいものです。
- 『まんがタイムオリジナル』第40巻第9号(2021年9月号)
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