『まんがタウン』2021年8月号、昨日の続きです。
『相方が俺を好きすぎる』
漫才がテーマということもあってか、ボケとツッコミの応酬がメリハリよく展開されて、漫画自体にも活気を与えていると感じます。この勢い、初回よりも今回のほうがより強く感じられたのですが、これは押しかけ相方という前提がかっちりできあがって遠慮せずキャラクターを動かせるようになったからかも知れませんね。
しかしこの漫画、基本は相方志望の泰斗が重くてちょっとキモいってところがポイントだと思うのですが、だんだんといったらいいんですかね、昇が泰斗のこと受け入れていってるでしょう。そのせいで、時に昇がほだされてラブい雰囲気かもしだしたりなんかしてるのがいい感じでしてね、とか思ってたら、泰斗の方はどうも本気っぽいぞ。ええんか? そういう関係性と判断して読み進めてええんですか!?
泰斗が昇のことを大好きなのはもう確定として、その気持ちにラブはあるのか、あるいはそういうニュアンスを武器にボケを展開しようとしているだけなのか、そのあたりが気になる漫画であります。もしこれが仮に発展していって昇もその気になった時、泰斗が芸人として尊敬しているけどその気はないですよ! とかいっちゃったらどうなるんだろう!? みたいないらんこと考えてしまうのは、それだけなにか、そういう方面で、引き込まれるものを感じてしまってるからなのだと思います。
『君と銀木犀に』
学習委員の仕事をやっている葉介。同じく委員の愛子から、友達がいるのってどんな感じかと聞かれて、そうか、この子も学校に友達いないのか。葉介から友達いないのかと聞かれて、ただのひとりもいないと答える愛子。この子、強いなあ!
このふたりの会話が、遠慮がない、飾るところもない、思うところをそのままに相手に言葉にして受け渡していく、そうした感じが気持ちよくって、ふたりこの委員の活動を通じて友達になっていったらいいんじゃないかな。ちょっと変わったふたり。クラスや学校に溶け込めない、そんなところがあるようで、でもだからこそ互いに理解したり尊重したりできるところも見つけていけたりするんじゃないかな。
みたいなことを思わせてくれる今回のエピソードだったんですね。
そしてまさかの展開? 葉介が泉との関係を言葉にして、愛子に伝えていくんです。そこで愛子がえらいこというんですね。それって恋とはなにが違うの? 最初は恋とはぜんぜん違うといってた葉介が、恋についてのやりとりを愛子とかわすそのうちに、自分は泉のことが好きなのかも知れない、そんなこと思うようになっちゃって、おおう、これ、読者としてはどう受け取ったらいいのだろう。
そのまま恋として受け取る。思春期によくある恋愛感情の揺らぎと受け取る。愛子の言葉に感化された葉介の未分化な感情の発露と受け取る。いずれにしても、ちょっとした転換点。次に葉介が泉と出会う時、ええと次の日の朝かな? そこでなんらかの動きなど見られそうですね。
『立ち呑み布袋でもう一杯』
仕事が忙しくて飲みにいけない白井がですよ、布袋の焼きとんを思えば瞼に浮かぶは店長美里の表情ばかり。会いにいきたいのにそれが叶わない。そうした気持ちがつのらせるものなどありそうで、でもなんかあんまりロマンチックな雰囲気にはならんのがこの漫画です。
今回のテーマは宅飲みですね。店にいかなくてもお酒は楽しめる。けれどその質は店飲みとは全然違って、気楽で気ままだけどちょっと寂しい。多様な飲みのスタイルの、それぞれに違った楽しみに思いを馳せる白井の様子、それがこの人のお酒とのよいつきあい方してること感じさせてくれて、いや前回ちょっと失敗してましたけどさ、そしてこの人の女性との縁のなさ、その詫びしさも感じさせてくれて、実に面白かったです。
以前、リモート飲み会が描かれたこともありましたけど、今回の孤食ならぬひとり宅飲み。これもまた昨今の飲みをめぐる状況、その反映なのかもなあなんて思いながら読みました。取り寄せ、通販で各地の味を楽しんでみたりね、そうしたただ自宅にひきこもるばかりでない、ちょっと前向きな孤呑の風景。そんな今どきの飲みのドキュメントっぽく思ったりしたのでした。
- 『まんがタウン』第22巻第8号(2021年8月号)
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