『まんがタイムきららMAX』2021年4月号、昨日の続きです。
『こみっくがーるず』
めちゃくちゃいい話だった。かおすの連載しているプリプロスピンオフのるかにゃん漫画。それが次号最終回というのだけど、どうしてもネームが描けない。かおすが悩んでいるんですね。ちょっとブルーなんじゃないかな。小夢が共感示すも、小夢の例えがかおすにはピンとこなかったようで、寮母さんに相談してみたり、そしてさらにはかおすのお母さんに電話で相談してみたりと、そのかおすを助けてくれる人がこんなにいて、皆が親身で一生懸命で、この子のことをよく理解しようとしてくれているところが素晴しかったし、そして遠く離れて暮らしていても我が子のことをこんなにもわかってくれている、それこそ自身の気持ちに蓋をしてしまっていたかおす以上にかおすのことをわかってくれていたこと、もう、涙なみだではないですか。
最終回を迎え、心血そそいで描いてきた愛しいキャラクターの別れを惜しむ、そんなかおすの気持ちも素晴しいけれど、今回は母の娘に向ける愛、それがもうたまらなかったですね。こんなに泣かされることになろうとは、まったくの予想外。マスターピースです。
『妖こそ怪異戸籍課へ』
帝華と睦子の関係、もうたまらんものあるな! ちょっと悪ぶってる帝華と、完璧に保護者モード入ってる睦子。というか、睦子、帝華の知人と見るや挨拶して、帝華に抗議されてぷんぷんとか、もうめちゃくちゃ可愛いな。睦子にとって帝華は妹みたいな感じなのかな。お母ちゃんっていうには若すぎるもんな。でも、帝華からしたらちょっと自分の社会的な側面、友人の前での自分とかね、そういうの見られると気恥ずかしい、そんな家族みたいな感覚あったりするんだろうなと思えるのが、微笑ましい? すごくチャーミングであったんですね。
帝華の学校の友達と出会ってぐいぐいいく睦子な。うん、これ、帝華からしたら困っちゃうよな。わかる、わかるよ。ほら、学校の友達に遭遇した母親がぐいぐいいく時のやめてくれよ感! ここでの帝華の気持ち、わかるわーって共感する人多いんじゃないですかね。逆に、わかるからこそ面白い。そんなにやにや感ありますよね。
帝華の友人、飯塚さんが強いな。帝華がいい子だって睦子に教えてくれるんだけど、悪ぶる帝華の裏をかくその手管がすごい。もうね、帝華のいい子ぶりも素晴しいけど、飯塚の帝華への距離感? ああ、仲いいんだね! ってすごくよくわかる。そんな遠慮のなさ、素晴しい。さらにお友達ふたり加わってね、もうみんな可愛いよな! 最高でした。あまりに魅力的なので、また出てきて欲しい、登場したばかりだというのにそんなこと思ってしまうくらいにひきつけられましたよ。
そして、饗子登場! うわー、読み返したらファミレスのひとコマ目からいたわ! すごいわ。これが、これがぬらりひょんの能力か……。しかし、妖怪ながら人の社会に暮らす彼女らの悩み、ビターな後味そえながらも、きっと大丈夫と思わせてくれる、そんな温かみ、信頼こそがより強く感じられた。いい読後感ですよね。饗子のつけた落ちが全体を軽くしてくれたところもあるけど、やっぱり睦子の帝華に向ける情や、帝華のまわりにいる人たちの気持ちの伝わってきたところ、それが大きかったって思うのですね。
『私を球場に連れてって!』
ファル子、なんだか切ないね。この子のレオナに対する気持ちのひっかかって、わずらわしくからみつくような感触。それがね、なんだか愛らしく感じられて、重い女なのかも知れんよね、でもそれは情の厚さでもあるのよ。大切なもの、この子はそれを毀損されたくないんよ。レオナに対する軽口も、自分の大切な気持ちを傷つけたくないからなんだろうなあ。そして、レオナを呼び出した手紙、さらにはこっそりしのばせたお礼の手紙。素直じゃないんよ。まわりくどいんよ。でも情の深さしこたま感じさせて、ああ、この子にとってレオナとの関係、今こうして過ごせる時間がどんだけ大切かわかろうもの。今回の突然の福岡行きも、少しでも大切な時間を、関係をいつくしみたい、そんな思いが感じられるじゃないですか。
ファル子、重くてめんどくさいけど、可愛い子だと思いましたよ。
対してレオナの、なに考えてるのかわからんくらいのあっけらかんとしたところ。軽く見える、なにも考えてないようにも思える、でもそうでもないんだよ。この子はこの子なりにファル子たちとの時間を大切に考えてるし、ずっとこの関係の続くことを信じている? そうした自信みたいなものも頼もしいよね。ええ、ふたりとてもいい関係だと思う。似てなくて、でもだからこそ噛み合うみたいな、そんな関係があるのだと思わされるふたりです。
- 『まんがタイムきららMAX』第18巻第4号(2021年4月号)
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