『まんがタイムオリジナル』2021年4月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。おお、ひな祭りだ、お内裏様とお雛様か。山下さんがお雛様で、お内裏様は米沢先生ですよ! ヨネ先生の方ね。見た目に涼やか、見事美青年風に仕上がって、いやまあほんとものすごい。素晴しいの一言、ナイスカップリングでありますよ。で、肝心の榊先生はというと、あ、男子医師勢で三人官女やってるんですね。他にお雛様やってる『小森さんは断れない!』しゅり、そして雛飾り、飾りつけの最中? 『らいか・デイズ』らいかのカットがございます。
今月は新規ゲストが1本です。
『鈴宮さんのダジャレをスルーできない』
高校に入学したその初日、美少女と、可愛いと話題になっていた鈴宮と出会った矢先にダジャレの洗礼を受けるというんですね。しかもわりと直球でひねりのない、そんなダジャレが周囲の、教室の空気を凍らせて、しかしこのあんまり面白い部類でないダジャレを口にする時の鈴宮の涼やかさ、華やかさ、そのギャップはものすごいものありますね。
鈴宮はダジャレが大好きなのだそうです。ウケるとかウケないとか、そういうのはもう超越している模様。むしろスベって凍った空気も嫌いではないという、そんな子との、ちょっとドキドキ? スクールライフがはじまろうという雰囲気ではあるんですが、なんせ鈴宮さん、ダジャレが最優先事項なのでどうにも真意がよくわからない! このいかにも読めないコミュニケーション。主人公、嶋はいろいろ苦労しそうでありますね。
『おしかけツインテール』
受験生はなにを差し置いても勉強優先で、つらいですね、せっかくの夏休みだというのに遊びにもいけない。勉強苦手な由利にいたっては、ストレスからかあらぬことを口走るほど。でも、こんな状況に置かれている友人たちを前にして、ひとり秘密を抱えている花梨が罪の意識感じちゃっててね、夏休み、遊びにいくかも知れない。それをとがめる良心は、母親のわがままに軽く昏倒させられている始末で、普段いい子だからね、ちょっとくらい羽目はずしたっていいんだけどね、でもそれを許さないのが花梨という子なんだろうなあ。
美代との会話がよかったですよね。この子、ちょっと大人びたところがあるなあって感じさせるの、その落ち着いた雰囲気からだけじゃないなあ。この子の置かれた境遇、寂しさを感じることがあったとしても、それも仕方ないとつとめて納得し受け入れてきた、そんな美代だからこそ花梨のこといろいろ考えて、ワガママいってもいいんじゃないかってアドバイスしてくれて、いや、そりゃちょっと特殊な花梨の母娘関係、外部からじゃあわからんですよね。ほんと、いいシーンなんだけどそれだけにおかしかったです。
そんな花梨のふんぎり。腹をくくった? 気合いをいれた? そうした様子、この子のいろいろ考えたはての結論が、この子を一歩大人に向かわせた、そんな感じにもとれましてね、ああこうして過ごす時間が人を成長させるのですね。きっといつか思い返した時に、いい思い出になるんだと思うのですよ。
『となりのフィギュア原型師』
いつぞやの癖の強いフィニッシャー、鳩居氏が再登場してきましたね。滝舘おこめの腕は認めるものの、その個性はむしろ苦手としている彼。同じく苦手なタイプであるせっちゃんに見事振り回された今回なんですが、ほんと、せっちゃんすごいよな。人の名前覚えない。でもそんなこと気にしない。基本、面の皮が厚いってやつなのだと思う。正直、自分などはせっちゃんのそういうところ、見習うべきなのかも知れんなあと思う。嫌われるとかどうとか、まるで斟酌しないで自分の都合、自分の興味でぐいぐいいくところなんかもね、ある種見習うべきところあるように思うんですよね。
いや、静けさを味わいにきた鳩居にとっては災難そのものではあったんですけどさ。
本当なら打ち解けるような要素、接点を持たないこのふたりが、思わずチャンネルを開いてしまうこととなったくだり、あのきっかけは本当に見事だったと思います。せつかが意図せず持ち出したフィギュアが鳩居の仕事だったりで、やっぱりフィギュアがらみとなると鳩居もちょっと態度を軟化させるんですなあ。自分の仕事に興味を持ってもらえるというのは嬉しいことなんだろう。でもそれだけに、せつかの色塗りくらいならできそう発言、こりゃあ大ダメージじゃないかい!? いやほんと、せつかのこのキャラクター、本当ものすごいと思います。
今回は終始災難続きだった鳩居。でも半藤から苦手キャラとの遭遇避けるための情報もらって、自分の時間を確保するのね、ああ、半藤はちゃんと理解してるんだあ。この気づかい? あるいはある程度通じる気持ちがあるのだと思う。ラスト、代表を前にしてしらばっくれてる半藤の表情が味わいあってよかったです。
『敷金礼金ヤンキー付き』
アパートの塀に落書きをしているヤンキーたち。酷いイタズラだ! そう思ってとがめてみれば、率先してやってるのが大家だというからこの物件は変わってます。でもある種の個性だよなあ。この価値観を共有できるかどうかは別として、商店街のシャッターに絵を描いたりとかあるじゃないですか。まあ、そういうのは大抵子供の絵だったりするんですけど、こういう、なんとか上等! みたいなのではないわけですけど、でもこうして自分の個性を表現するの、悪くないかもなって思ったりしますよ。
佳がおかしかったです。この人、漢字とか熟語とか好きじゃないですか。わりと常識人寄りみたいな雰囲気もあったりしたわけですけど、あれー、どうも見誤ってたのかな……? 佳の書いた紫電一閃の文字に、どういう意味と問うてみれば、知らないという答が返ってくる。見かけが好きなだけっていわれてますが、なるほどなあ、なんかちょいわかる。でも、佳、惜しいなあ! なんか惜しい!
今回、大家と祖母とのエピソードとか、なんかいい話があったりしまして、それ聞かされて隠れて泣く姫子ですよ。めちゃくちゃ面白い。この人、人情派だよなあ。そんな姫子と七恵の抗争、その果てにできあがった人型! ああ、バンクシーみたいだ。いや、それはいいすぎか。でも、ちょっと一味違うのができあがって、いい感じではないですか。こうした騷ぎに珍しく参加した、してしまった? ともあれ、姫子も結果的に一緒になって落書きの結果残せたこと、それがちょっと嬉しかったです。
- 『まんがタイムオリジナル』第40巻第4号(2021年4月号)
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