2021年2月27日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2021年4月号

 『まんがタイムきららキャラット』2021年4月号、発売されました。表紙は『RPG不動産』。初期メンバーの4人が、と書いたところで気づいたんですが、おおう、TVアニメ化ですか! こいつは嬉しい、こいつは期待させられますね。いい仕上りだといいなあ! さてさてこのイラスト、初期メンバー4人が手を繋いで並びましてね、それがすごく仲良さそうでいい雰囲気なんですよ。遠く背後にドラゴン飛んでたりするのがこの世界らしいってところですよね。街並みがあって、そしてドラゴンがいてという、ファンタジー世界における暮らしの情景。そこに魅力のあるこの漫画。アニメで描かれるとなると、どんな感じになるんだろうなあ。

今月は新作ゲストが3本です。

『ゆうやけトリップ』

COMIC FUZからの出張ゲストですね。ここは異世界というわけではないのか。単行本の惹句によれば、階段と坂道が迷路のように入り組む「宵の坂町」。どこかノスタルジー感じさせるような宵の坂町に暮らす学生たちが噂する不思議な話。噂の真偽を確かめるため現場へと向かい、その真実を解き明かしていこうというその話の流れは、心霊や不可思議を取り扱うというよりも、その噂にまつわる町の歴史や横顔を雨村、蜷森のふたりを通じて知っていこうとする、そんな探索ものといった感触の方をより強く感じさせるものでありました。

町あるいは土地というものは、そこに存在するもの、暮らしている人たちにより作り上げられていくもの、作り上げられてきたものだと物語るかのようなつくりは、たとえばNHKの番組『ブラタモリ』で知る町の歴史、知らなかった側面に光を当てるかのような面白さがあって、町を、土地を知るということはすなわち人を知ることで、暮らしを知ることでもあるという、そんなこと思わせる漫画でした。ちょっとの怪奇と、しかしそれ以上に感じさせる人の暮らしの息衝き。魅力ある漫画だと思いました。

『如月メイボは全力恋愛』

メイドロボットに感情どころか好感度があるというんですね。でもって、それがメーターで可視化されるっていうんですが、独立してパタパタ浮いてるこのメーター、いきなり振り切れて中の液が漏れてるんですが、大丈夫なんですかね!?

メイドロボットが起動してはじめて出会ったご主人様。本来なら徐々に高めていくはずの好感度がご主人様を一目見たその瞬間にメーター振り切るほどに爆あがりして、ここからのドタバタ、面白かった。メーターから吹き出た液に足を滑らせたメイドロボ、メイボがご主人様、如月理央に支えられるところ。高なるメイドの鼓動。ぐーっと気持ちが盛り上がるかと思わせて、如月がメイボの重さ支えるの限界になってるってなるの、テンションにギャップが生まれていい感じの切り替えになっていたと思います。

如月にドギマギするメイボのテンション高さと、どこか寂しげな如月の落ち着き、その差に面白さがあったと感じます。如月は自分が人に好かれないと思ってるんですね。それがメイボを購入した動機にもなってるんだけど、でも実は如月は人から避けられてるわけじゃないって途中で明確にされる。ただ如月は誤解しているんですね。それゆえの自信のなさ、寂しげなる様。これをメイボが癒していったりするのかな。なんて思ったんですが、むしろメイボは嫉妬で如月をひとりじめせんと暴走しがちなのかな!? これ、ちょっと一筋縄ではいかん感じがあって、それが面白そう、いいかもと思わせてくれました。

『カワイイは繕う!』

カッコよさ求めて髪を切った姉にずるいと抗議するちっちゃな女の子。妹? かと思ったら、違うのか。そもそも女の子でさえない。カワイサを求めて髪を伸ばしている男の子だというのですか。

可愛い見た目を追求する弟。髪を伸ばして、それを姉が結ってくれている。この可愛さに傾倒するようになったの姉の影響なんですね。でもいずれ可愛さを手放さなければならない日がくること自覚させられた弟君の苦悩。姉の女性であり続けられることに嫉妬を見せて、そして姉が髪を切った理由が自分のためであることを知らされた時の喜んでみせた様。これ、ぱっと明るく動きも見せて魅力あるシーンになっていましたね。

コメディ色の強い漫画で、LGBT問題とかに寄せていこうというような感じはないんですけど、弟君の悩みなどは決してコミカルではすまないものではありますよね。深く重く掘り下げる必要もないかも知れないけれど、テーマとしては結構しっかりとしたものとして展開していける、そんな広がりのあるものかもと思いました。いや、こうして重々しく捉えず、今回がそうだったように、ゆるくふわっとした中に悩みとそこからの解放を細やかに描いていく方が持ち味生かしていけるのかも。悪くない感触でしたよ。

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