『まんがホーム』2021年3月号、発売されました。表紙は『らいか・デイズ』、らいかがですよ、バレンタインデーですよね、チョコレートの入っているだろうラッピングされた箱を差し出しているんですね。これ、すなわち渡す相手は竹田くんでしょう。ちょっと頬に赤みのさして、けれどどことなく自然さ感じさせる表情は、こうしたことが特別で、だけど素直に気持ちを伝えられる、そんな関係であること感じさせてくれるのですね。他に『孔明のヨメ。』、『天国のススメ!』、『ヲトメは義母に恋してる』のバレンタインイラストがございます。
『孔明のヨメ。』
劉備軍本隊と別働隊が合流を果たし、疲れきった兵たちも船に収容されてようやくの休息でありますね。同盟を申し入れるためやってきた孫権の使者、子敬も見事にダウン。劉備の奥方、糜夫人を守りきれなかったことを悔やみ、甘夫人と阿斗に付き添い続けていた趙雲も月英の交代を受けて即ダウン。
みんなどれだけ限界だったのかってのがわかりますよね。ようやっと一息つけた、というのでどことなくのんびりとした雰囲気もただよいはじめているわけですが、あちらこちらに負傷者があって、誰も彼もが疲れ果てていて、そして甘夫人の糜夫人を惜しむ嘆きなど、命からがらの逃走であったこと、いやおうなく感じさせられる思いです。
そして、この局面にあって劉備、どことなく甘さのあった劉備が、覚醒を果たしているというのですね。江夏を差し上げていもいい、そう申し出る劉琦に対し、それはダメだと即答するところ。これまでの劉備と同じ反応かと思わせて、その後が違ってくる。的確な情勢把握から、次へと繋がる提案まで、ああこうして方針さえ決まれば、それをいかに実現するか、孔明の出番となるわけですね。
で、ここで孔明がダウン。ほんと、みんな限界なんだなあ。と、ここで劉備の超人っぷりが光りますよね。この人、どんだけ元気なのか。
『スナックあけみでしかられて』
バレンタイン目前にして、スナックあけみでは節分で盛り上がっています。そんな中、乃里が来たるバレンタインに向けて力をたくわえているんですよ。いやあ、末おそろしいといっていいのか、あるいはこれだけ年若くしても女子とはこういうものなのか、鈴木先生を出し抜きたい、店で使ってもらえるものじゃないとマウントがとれないと、この物言い! おそろしい。いやはやテリブルな女子であります。
これ、他の誰かに差を見せつけてやりたい、そういう思いもありながらも、基本にはあけみに喜んでもらいたい、そういう気持ちがあるからいじらしいですよね。なにがなんでもあけみが大事。そんな様子が、策を弄するこの子を嫌味には感じさせないっていったらよいのでしょうか。そして乃里の辿り着いた結論が、おお、いちごサンド! あけみさん専用と宣言することで、おお、皆にマウントだーっ!
でも、ほんと、ほほえましい。いい子ですよ、この子。
『天国のススメ!』
笛の流派の次期宗家。家に伝わる伝説にいわく、家宝の笛から美しい音をきくことができたものは、一流の奏者になれるのだそう。しかしその若者が聞いたのは、笛の音どころか、きれいな音が出せないという嘆きの声。
ここで太一に相談が持ち込まれるわけですが、この声というの、笛を通じて自分の心の声? 思いが返ってきていたりするのかな? なんて思ったんですよ。伸び悩んでいる、その思いが笛から返ってきている。そんな話ね? でも、違いました。実際にこの家には笛の精霊がいて、その精霊の声が聞こえていたというんですね。
次期宗家、若様は自分がうまく奏でてやれないせいで、笛がうまく鳴らしてもらえないと嘆いている、そう思っていたんですね。だからなお落ち込んでいた。でも実は違っていた。笛自身も力を尽くして、よりよい音を目指している、その自分の力のなさにメゲていたというのですか。
いわば、若様が苦悩していたように笛もまた苦悩していた。このともに苦悩しつつ伸びていこうとする、笛と奏者とのパートナーシップ。その結び付きの描かれたところ。そうか、人と楽器がともに研鑽をつみ、ともに育っていくのだなあ。そうした様に、なにかすがすがしい、そんな思いさせられたのでした。
- 『まんがホーム』第35巻第3号(2021年3月号)
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