『まんがタイム』2021年3月号、一昨日の続きです。
『ご主人様!確保します♡』
今回冒頭からえらいことしてるマミさん。娘の使わなくなった服やらいろいろもらいうけて、なにするのかと思ったら自分で着るのか! というか、小学生の服、着られるのはものすごいな。でもピッチピチのコマ、腹出とるよ?
今回、本編はメイド喫茶の皆で作るイメージDVD。メイド個々のイメージビデオを作って売ってるっていうんですが、監督やってる、というかアドバイザー? コトコがすごくいい表情、動きを見せてくれて素晴しかったですよ。
この漫画、キャラクターの可愛さ? 魅力を強く押し出してくる、もちろんそれが売りでしょうから当然なのですが、それにしても魅力的だよなあって。マミのベストショットに親指ぐっと立ててるコトコとか最高でなくって? さらに続く編集中のコトコ、さらにマミのエプロン姿など見どころをがつんと押し立てて、いやもう目にも鮮やか、とてもいいんですね。
でも見た目だけじゃない、ちゃんとエピソードも面白くって、マミの得意分野とかね、まさかの私人逮捕。あの流れのコミカルさ、たまらんものがありました。加えてさらに、マミの特典映像にツッコミいれずにおられないココ。そしてラストのシビアなコメントまで、いやもう、こういうセンス、すごく面白かったです。
『テレパス皆葉と読めない彼女』
ほんと、素晴しいよな。首が寒いという皆葉を思い、ついついマフラーを買ってきてしまった澄花。でも急にプレゼントとか変に思われたらどうしよう。ちょっと自信の揺らぐ澄花がいるかと思ったら、皆葉は皆葉で女子から話しかけられて勘違い、舞い上がってつきまとってという事例を知って、これ自分のことでは!? と不安つのらせている。
ふたり、えらいタイミングで、それぞれえらいもん見ちゃったもんだなあ。
ここからのちょっとしたすれ違い。でもこの漫画がいいなあって思うの、ちゃんと人物が自分から動いて、問題事象の解決しようとするところ。今回だと、勘違いしてるかもと自信なくして澄花を避けた皆葉のこと、ちゃんと澄花は追って、話して、誤解や不安の解消に働きかけた。この、ちゃんと話せばこじれないでしょ! と思うようなところ、澄花はちゃんと話して問題をクリアしていく。素晴しい。素晴しいわ。でも、それだけちゃんと対話してなお心の底にくすぶる不安。自信の揺らぎがあると描かれるわけですよ。
これ、できることをきちんとやった上で、それでも解消できないものがあるんだってことですよね。ええ、言葉でのコミュニケーションを尽くして、それでも通じあえない不安が残ったとき、それをどうおさめればいいのだろう。
皆葉はテレパスで人の心に直接触れることができるけれど、澄花にだけは届かない。届かないからこそ届けたい思いのあること。わからないからこそ知りたくなって、そして時には不安にさいなまれることもある。そうした人の心の機微を丁寧に描いて見事だと思います。皆葉の、澄花の交す言葉が、そして澄花の言葉以上に切実に物語る表情、視線にしたたかに打たれて、もうまいってしまっています。
『午前0時のおねだりごはん』
今回はおねだりごはんというよりも、米沢兄妹の小さなパーティといった具合ですね。兄の小説がドラマになります。そのお祝いの食事会を開きたいと米沢からお願いされて、米沢さんちょっとツンデレ風味だ! でもそれも可愛いですよね。というのは置いておいて、兄も妹もそれぞれに相手を喜ばせたいと思いめぐらせているのが素敵なんですね。
兄貴は牛喰と一緒に街に出て、これ妹へのプレゼントを選ぶの口実にしてるけど牛喰のこと口説きたい、そんな思いもまじってますよね! そんな兄貴のくすぐりをかわしながらの牛喰。思いっきり距離置くところとかほんとに面白かった。兄貴さん、あんまししつこくしたら逆効果になりますよ!
兄と妹のプレゼント、それぞれがそれぞれに同じように思い、同じコンセプトで選んでくるところ、それもよかったのですよ。似たもの兄妹。感情そのままに出してくる兄と、基本クールに振る舞おうとする妹で、表現のタイプは違うんだけど、でも根っこのところは似てるんだろうなあ。そんなことがわかるプレゼントのチョイスとか、それから牛喰のご飯を食べてるときのあの顔! いや、気持ちの触れ合う、その様にあたたかみ感じさせるいいエピソードでありました。
ああ、そうそう。プレゼント選びに気合いを見せる牛喰の、先輩のためなら! って書き文字。いい字ですね! 線のかすれ、文字の配置。またその字形、書きぶり、踊るように高まった牛喰の気持ちをよく出していましたよね。こういう字が書けるの、ほんとすごくいいですよね。
『お天気おねえさんの晴れ舞台』
今回から登場の新人さん。浅井真由さん。めちゃくちゃ可愛いな! 気象予報士の資格はないけどカメラの前で伸び伸びと自分を表現する琴音と、予報士はじめ大量の資格を持ってるものの自信に欠ける真由。ふたりそれぞれキャラクターの持ち味、強みと弱みを対照的に配置して、そしてこのふたり、意気投合してそれぞれに影響しながらやっていくことになるんかな!? いいんじゃないでしょうか、素晴しいんじゃないでしょうか。ほんと、これ、わくわくの展開だと思いましたよ。
真由が大量に資格を取得しているの、これ、自信のなさの反映だったんですね。こういうキャラづけ、うまいなあって思った。資格があれば自分のやることに自信を持てるのではないか、そう思ったもののうまくいかなくて、それがコンプレックスになってる。でも、牧たちの話によれば、琴音も最初はこうだったんだ。それが現場現場で体当たりで自分の扉を開いていったんだなあ。その先に今の琴音の笑顔があるというの、これは胸に迫るものありますね。ああ、頑張ってきたんだなあ。
そして今回はというと、公開収録の前説に琴音と真由、ふたりで着ぐるみにはいって踊ってほしいって、奥田からのちょっとしたムチャぶりってやつですが、でもこれ、真由に成長のきっかけを与えたい、そんな気持ちも見え隠れしますよね。そして案の定、琴音が買って出ましてね、真由も引っ張られるかたちで参加することとなって、ああ、ふたり頑張ったじゃないですか。できなくってもどーんと飛び込んでいく琴音に、自信なくとも実は結構ちゃんとできる真由。ああ、いいペアじゃないですか。
かくしてミッション大成功。ともに達成感を味わうふたりの姿、その表情なんかも、素晴しいものありました。
真由さん、今回だけのゲストキャラクターじゃなかったらいいなあ。見た目といい雰囲気といい服装といい、正直完璧だと思う。狙い撃たれてるのでは、そう思うほどに直撃なのです。
- 『まんがタイム』第41巻第3号(2021年3月号)
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