『まんがタイムオリジナル』2021年3月号、先日の続きです。
『敷金礼金ヤンキー付き』
悪の訪問販売員だ。半梅子。自身、騙し売りのウメという呼び名を受け入れているというの、結果的に騙し売りになってるとかじゃなく、むしろ確信的に自ら騙しにいってるガチの悪徳販売員じゃないか。そんな梅子も、最近はなかなか苦しいらしい。うん、でもだからといってサンライズ荘にいくのはどうだろう。だって、主力商品がツボなんでしょう? それ、ヤンキーが欲しがるようなもんじゃないのでは?
というか、それ以前の問題でしたっていうんだから面白い。七恵なんてほぼはなっから話が通じないし、通じるやつがいるかと思ったらゴリゴリのマニアとくる。まともに売り込みかけられないと思った次は、たえが当たり前に門前払いしちゃって、このくだり最高に面白かったです。いきなりの肩透かし、そんな感じでもろに食らってしまって、これを笑わないっていうのは無理。ええ、普通じゃないのが続いた後にいきなり普通って、逆に意外性でありました。
しかし、なにがこの人のプライドを傷つけたのか、水の早飲み勝負を挑むというの、いやいや、それ危険やから! とはいえど、危険をかえりみるような人たちじゃないよなあ。しかも罠にまでハマって、ってとこからの大家ご乱心。いやほんと、きっと酷い目にあうだろうなあとは思ってた、その酷い目に加えてラストの迷走。むしろこの展開こそが安心感。ええ、いい感じに暴れてくれてそうですよ。
『カントリー少女は都会をめざす!?』
八重はチョロくて可愛いなあ。亜紀がくれたバレンタインチョコ。有名高級店の袋だ! まではいいんだけど、袋だけか! これ、さぞやがっかりするのでは? と思いきや、八重はすごいな。普通の板チョコを袋効果でおいしくいただいてしまう。その目の輝きよ。驚きの憧れ効果。ネタがバレても失われないのは、ほんとすごいよな。この子のらしさ、それが全開です。
この、袋に対する話のふくらみ。それも面白かったんですけど、いつになくテンション高く感じられた八重の行動。袋に顔つっこんでスーハーとか、アホ可愛くて素晴しいとか思ってたら、まさかその袋の魅力が亜紀の投入したカレールーで台無しにされるっていうのな。いや、カレールー、開封されてるやんか! いやもう、この思いもしないオチ。涙目八重もまたキュートでした。
『氷室君は板野さんの事が覚えられない』
ものすごいエピソードがきたな。氷室を訪ねてきたのは二太郎の妹、三雛。兄が思いを寄せる板野のこと、ちょっと気になって探しにきたっていうんですけど、いやあ、それなら氷室を訪ねたのはマズかった。だって氷室は板野のことを覚えられない。それで、三雛が兄のこと、モテないあまりに脳内存在作り上げちゃってるなんて思っちゃうの、ほんと面白くって、三雛のあの顔ですよ。いやもうものすごかった。
しかもその後、脳内彼女疑惑を裏づけるような行動を二太郎がとっちゃってるの、信じてた二太郎に裏切られることとなった氷室のあの表情もまたすごかった。二太郎が話しかけていた木に向き合う氷室と妹。あまりのことに三雛ったら木に挨拶なんてしちゃって、いやもうめちゃくちゃ面白かったです。
これね、最後にちゃんと板野の存在を三雛は確認するんですけど、そこでふられる兄を目撃することにもなってしまってというの、やさしくしてやれよって、これもまたおかしくって、今回のエピソード内で提示されたことが、きちんと面白く回収されるの、もう見事、きれいな流れができていたと思います。
『通勤通学クエスト』
松島、竹重、ふたりともに水泳部なのか。応援にきてと誘われた柏木が、しっかり水泳に打ち込むふたりの姿を見てね、意外だ! かっこいい! って、なんだろうこのほのぼの。いいよな、この素直であれる関係といったらいいのか。というか、柏木よ、相当な傷を過去に抱えているのな。うん、君の気持ち、なんかわかるわ。
でも、そんな仕打ちされながらも、今ここに素直に誘いに応じ、応援し、真摯に思ったところを述べる柏木の真っ直ぐな様。いやあ、松島、竹重ふたりの素直さ、くったくなさ、それがあってのことだろうとも思うんですけど、この漫画の主要人物、皆がこうしていいやつ、いい子ばっかりじゃないですか。柏木が今回こうして癒されたように、読んでる私にしても気持ちがすーっと楽になる? 気持ちのコリがとれるといったらいいでしょうか、そんな心地よさがありましてね、ええ、これ大好きな漫画です。
まとめて読みたいなあ。なんて思っちゃうんですよね。
『とびだせT.O.Z』
すげえ、ちゃんとしたスポーツものだ! 兄貴が出ないとこうなるのか? というか、協調性がないから兄はリレーの選手に選ばれないのか。とか思ってたら、選ばれてる男子連中、チームワークあるのはいいとしても、それはさすがに過剰では!? そんな彼らの歪み、見事に発揮されていた今回、いやもうめちゃくちゃ面白いな。兄貴とは現れ方が違うだけで、ほぼ同じベクレル持ったナイスガイ。リレーに勝てれば選手として喜ばしい、けれど負けても先生からのおしおきが心踊らせる。
あかん……。この漫画、とりわけ男子陣があかんやつらばっかりや……。
でも女子はわりかしちゃんとしていて、でも宇佐美、陸上アイドル路線を志向している子ですけど、この子はちょっといろいろありますね。ほんと緊張に弱い。バトンパスに失敗したりね、しかも悪いことに決勝で転倒。でも浅葉先輩がかっこいいんだよなあ。まず自らが結果を出す、それでいて勝ち負けにこだわらない。その真っ直ぐな心意気。ほんとにかっこよくて、転倒した宇佐美のこともまるで責めないでしょう? さわやかスポーツものとしての風格感じさせるじゃないですか。ええ、浅葉の言動も、そして自身の省みる宇佐美のことも、ちょっと感動してしまったんですよ。
で、この印象さわやかの帳尻を男子があわせてくれる……。うん、男子よ、いろいろあってそれでいい……。
- 『まんがタイムオリジナル』第40巻第3号(2021年3月号)
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