『まんがタイムきららキャラット』2021年3月号、発売されました。表紙は『ゆるキャン△』、ゆるキャン△!? ええっ!? 『mono』とのコラボ漫画が掲載されているですって!? いや、ごめん、知ってました。予告されてましたよね。でも、この表紙は予想をこえてきましたよ。『ゆるキャン△』からなでしこ、『mono』からはさつきが登場しまして、ふたり一緒にキャンプですか。あたたかそうな格好して、ワンコに猫を抱いて暖とりながら、ふたりスモアを食べているんですね。特に言葉をかわすわけでなく、けれどなにか通じあってる感のあるこのイラスト。とてもいいものでありますよ。
今月は新作ゲストが3本です。
『ちょこりき!』
これ、面白いな。切り口がすごくいいと思う。16歳になると超能力を授かる。そんな世界に暮らす女の子、奈乃が得た能力はなにかというと、プルタブを開ける能力。わざわざ超能力でやる必要があるのか? 手で開けた方が楽だったりせんのか? それにそもそも、プルタブに限定されるのか。
次々浮かんだそうした疑問、いや、ツッコミ? ともあれ、それらが本編中に回収されたのはすごくありがたかったし、こうした出落ちそのものの能力をうまいことひっぱって、展開して、キャラクターの個性もあわせて見せてきた。その広げ方がうまかったなって、面白かったなって思ったのでした。
ページをめくってすぐのエピソード。奈乃のメッセージがぷつりと途切れたところから察する友人っていうの、これがもう面白い。あー、よっぽど落胆したんだ! わかる、わかるわ。で、そこからも、応用きかないかといわれて試して、本当にプルタブ限定とわかって重ねて落胆とかね。いやもう、とてもいい感じでした。友人百葉さんの見た目に反した黒さとかも素敵。奈乃、りーちゃん、百葉、それぞれの個性、よく発揮されて、よくよく動いて噛み合って、このしっくりときて話の動いていく感覚、好感触でした。
しかし一番面白かったの、奈乃の能力披露の場面だと思う。あれ、笑ってしまうよ。ほんと、想像以上の威力でした。わかっていても抗えない、そんな強さありますよね。
『ドールがとーるっ!!』
ちんまりしたドール、というかデフォルメフィギュアといったほうがぽいのかな? 人になろうと頑張る話ですよ。というか、ちゃんとパッケージから出してもらえて、ホコリもこまめにはらってもらえて、ここのドールはしあわせものだな。私はこうして手をかけてやれないので、ドール、フュギュアには手を出せんのです。
ドールの神、ジョーカーの気まぐれ? で動けるようになったアイリ。これ、ドールの願い、その深さのためなのか、あるいはドールを大切にするオーナーの心掛けもあってのものなのか。前者っぽい、とは思うけど、やっぱり気まぐれ説が拭えない! だって、アイリの願いは人間になることで、そういう点では願い叶えられていないんよな。
一蓮托生? 同じシリーズのフィギュアの仲間、菱乃にミツバ、ツルギも動けるようになって、この4人で人になるべく修行することになる。別に人間になりたいなんて思ってない、そんな仲間を説得するのに、その性格に応じた働き掛けをするところ。これ、エピソードとしての面白みを加えながら、それぞれのキャラクター、背景などなど知らせることもできるわけで、このくだり効果的だったと思います。真面目すぎるよつるぎちゃんがいい感じにキャラ立ってましたよね。
人になるための修行というのがどういうものか、それはまだ手探りだけど、人と同じことができるようになればいいんじゃないか? ここにアイリのわりと無鉄砲な感じが出てましたよね。マグカップにインから、ティッシュ貼りついてミイラみたいの流れ、面白かったですよ。ああ、くっつくくっつく、みたいなの、このわかるわかる感、よく効いていましたよ。
『めがみさまのおねがいっ!』
学校の裏庭、七尾さんと恋人になれますように……、泉に願いを捧げる柚花の前に現れたのが、当の七尾さん。って、即バレやん! しかも願いもばっちり叶って、いや、これ叶ってるのか? むしろ、七尾とイチャつかないとその思いを消し去りますよって、バリバリの呪いやん。これ、七尾さんが協力的というか、むしろ柚花狙いだったからこそ無事ですんだだけで、そうでなかったら柚花、背水の陣で七尾を落としにかからんといかんかったんやん。
ふー、あぶないあぶない。女神がどこまでわかってやってたのかわからんけど、七尾の柚花狙いを知らずにやってたら、結果オーライでしかない。むしろ事故といっていい。そんな導入からの急転直下。むしろ柚花が引くほどに好き好きオーラ全開でぐいぐいガンガン迫ってくる七尾が頼もしい。うん、話がはやくていいね。もってまわって、くっつきそうでくっつかなくて、もやもやもじもじする話より、これくらいクイックな方がいいじゃんって人も多いのではないでしょうか。どうでしょう。私はこういうの好きですよ。
なにがいいかって、自分から言い出した話なのに、むしろ望んだ展開だったはずなのに、向こうからぐいぐいこられると腰がひけちゃう柚花の態度が、なんだかリアルというか、ありえる? わかる? そんな感じでポイント高かったんですね。もちろん嬉しい、けど当初のプランを上回る進展についていけなくて、いやもう意気地なしだなあと見るか、あるいは純情? ってのもちょっと違うかな。そういう気持ちのままならなさといいますか、よかったなって思いましてね、ええこのままどんどんいっていただきたいものであるななんて思ったのでした。
- 『まんがタイムきららキャラット』第17巻第3号(2021年3月号)
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