『まんがタイムオリジナル』2021年3月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』。山下さんが、どーん、思いっきり豆をまいておりますよ。節分ですね。赤い裃つけまして、でも和装ではないっていうのがちょっとしたイベント感。左手に升、でもって右でえーいっと伸びやかに豆をまくその姿。元気いっぱい素晴しいです。他に、もりもり豆食ってる『らいか・デイズ』らいかと、オムカレーを食べようとする『冷めないふたりのひとりご飯』レイカのカットがございます。
今月は新規ゲスト、いや連載? が1本です。
『冷めないふたりのひとりご飯』
ダブルワークをしている夫婦。妻はデパート、そして夫は介護士として、片や昼勤、片や夜勤。生活のリズムが全然違っていて、それこそ家庭内すれ違いといった感じなんだけれど、それがすれ違い、疎遠にならないのは、ふたりを繋ぐものがあるからっていうんですね。
それは、晩ご飯。仕事で疲れて帰ってきた妻を迎えるのは、冷蔵庫にて待つオムライス。ちいさく添えられたメモに、おしごとオムカレとあるのがおかしい。そうか、このカレー、前日に妻の作ったカレーがアレンジされているんだ。妻の得意は洋食なのかな? 対して夫はバイトの経験活かして和食を得意としているという。このそれぞれの持ち味の違いが互いの食の興味の幅? それを広げてるみたいな感じありますね。ええ、こうしたところもいい夫婦なのだと思います。
ともに食事を作りあって、それで得意もちょっとずつ違ってと、似ていて違う、そんなところが円満のコツなのかも。ということで、今回は妻が食べる番。そして次回、『まんがタイム』においては、夫が食べる番であるのだそうですよ。そうかあ、二誌に渡ってそれぞれの状況描く連載とか久しぶりのような気がします。
『となりのフィギュア原型師』
はぐちゃん、太りました。というか、服のセンスも変わったの? シャツにハンバーガーのイラストと、添えられたEXTRA FATの文字! いやいや、EXTRA FATは駄目でしょう。変わってしまったその姿に、半藤が、そして代表が驚いて、と、驚くのはいいんですが、代表、もうちょっと言葉を選びましょうよ。言葉が脳直結やないですか。
正月に、こたつにあたりながら食ってばかりいたら太りました。じゃあこうして正月が明けて仕事も再開となれば、自然痩せていくのかな? なんて思ったら、痩せようって気、まるでないのか! というか、斉藤のわかってる感、あれおかしいな。バトルものの解説役みたいな存在感がある。そうか、斉藤氏はデブキャラであったのか。
Fatはぐちゃんのふくよかなる魅力に代表の落ちる様、これすごかったな。でも、このふくよかが仕事の支障となる。って、なるのか? なんで本人太ったらフィギュアもむっちり太っちゃうの? これを指摘されて即痩せることを決意するはぐ、これ、プロフェッショナルの矜持なのでしょうか。最初のうちはぐだぐだと潔くなかったはぐだけど、半藤の献身あってきっちり痩せました。とはいうんだけど、はぐちゃんってもともと筋力ある方じゃないですよね? プランクとかさぞやキツかったろうと思う。これ、筋力ないと腰をいわすよね。
『おひとり好きの富士宮さん』
富士宮さん、神出鬼没なのかあるいはたまたま内山と行動範囲がマッチしてしまってるだけなのか。
帰りの電車が事故かなにかか、トラブルあって運転見合せ中。帰れなくって困ったと思ったところで、ホームのそば屋に富士宮さんの姿を見つけてしまうっていうんですね。ビール、そしてコロッケ。そうか、コロッケをそばに投入するのか。こういう食べ方はしたことないなあ。でもって、富士宮さんがやたらおいしそうに食べるもんだからと、周囲の人がどんどん感化されていくのが面白おかしいんですね。
そばには揚げ物があうんですかい? 以前、大阪の駅そばがフライドポテトをどかっと添えたそばを売り出して話題になったりしましたよね。てんぷらそばは定番だもんな。コロッケなんかもそうなのかもな。と、そうした味の想像させるようなエピソード、ちょっと試してみたいかもと、それこそこういう食べ方は駅そばみたいな安っぽいといったら悪いけど、気取らずカジュアルなタイプのそばにこそマッチしそうに思います。
内山はこうした普段の飾らぬ富士宮さんを知っているわけですが、肝心の富士宮さんはそのことに気づいているんでしょうか。いや、あの乗り合わせた電車での様子見るに、意識してないようですね。あるいは、彼女もいつか内山の普段を知っていったりすることもあるんでしょうか。とりあえずしばらくは、内山からの一方通行が面白そうに思います。
『おしかけツインテール』
花梨は高校三年生。受験を控え、また目前の期末試験にも余念なく、それでもってお疲れ模様だというんですね。受験生ったら大変だ。けど、勉強ばかりでいいのかなと、親が心配するくらいに打ち込んでいるのかな? いや、八重さんのことだから、自分が楽しみたいだけじゃないのか? 俊郎の懐疑的な姿勢、ほんとおかしかったです。
夏に出掛けよう、皆で出掛けよう、海にいきましょう。それで夏らしさ感じさせるもの、海のレジャーに向いたもの、蔵から発掘していくっていうんですが、そうかあ、やっぱり花梨は受験優先かあ。最初はね、そんな感じだったのが、今年の夏をただ勉強だけで過ごしてしまうことにもったいなさを感じた? あの、夜、窓辺にて風鈴の音を聞きながら空を見ている花梨の表情。勉強の合間、ふとさした気持ちの空白とでもいえばいいのでしょうか、吹き込む風のようにこの子の心に、ささやかな気持ちの余裕、じきに迎えそして過ぎようとする夏への気配に、それを惜しむ思いの芽生えたようなんですね。
これ、まさに受験生としてその時にある花梨にとってはどうかわからないけれど、その時分をとうに過ぎて懐かしむ立場の我々にとっては、なにか郷愁に似た懐かしみ、切なくさえもあるそんな気持ちをさせる名場面だったと思います。
で、ここからの展開ね。思い直した花梨、と思ったら、お母さんが! お母さんが! 花梨が今度のテストで80点以上とったら海にいきましょうよって、逆! 逆! お願いする立場も出される条件も逆! お母さん、頑張る要素ないじゃん! ほんと、あの呆れかえる花梨が最高でした。
どうでもいいんですが、タイトル否定するみたいであれですが、ツインテールでない花梨もまた素晴しいですね。
- 『まんがタイムオリジナル』第40巻第3号(2021年3月号)
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