2020年9月28日月曜日

『まんがタイムきららキャラット』2020年11月号

 『まんがタイムきららキャラット』2020年11月号、発売されました。表紙は『おちこぼれフルーツタルト』。10月からのテレビアニメ放送開始を受けて、表紙をイノ、ロコのふたりが飾ります。ふたりの衣装、細やか華やか絢爛で、これ本当に素晴しい。こちらに視線を向けながら、ひとつのフルーツタルトをふたり一緒に食べようとしている、普通ではちょっとないような状況、これ、グラビア撮影かなにかなのかい!? まさに、この表紙のために撮影された写真、そんな印象がアイドルとしての彼女らにはよくよくマッチしていて素晴しいです。

今月は新作ゲストが2本です。

『星夢細工のシュトーレン』

本の世界に憧れて、その舞台となった街を訪れたりんご。この街にくればファンタジー世界の断片に出会えるのではないか、そう思っていたのだけれど、残念ながら現実には妖精も天使もおらず、かくして一週間の滞在は空振りのまま今日がもう最終日。そんなりんごがたまたま訪れたパン屋、そこで出会ったテンション高い女の子、ラズリィ。相当な変わり者? りんごとはまた違った方向に振り切れてる感あるこの子とりんご。天候の悪化で、この街でのもう一日をふたり一緒に過ごすこととなったっていうんですね。

そこで出会った星降りの街の情景。これはりんごひとりが見た夢なのか。あるいは、目覚めてすぐに報告にやってきたラズ、この子も一緒に見た夢なのか。そしてりんごに生えた猫耳。ここにきて唐突にファンタジー世界の断片に触れることとなったっていうのですね。

これ、りんごはしばらくこの街から離れられないのでは? だとしたら、ラズと一緒に星降りの街を旅したりなどするのでしょうか。いよいよ物語の動き出そうとして、そのうずうずする感じ。じわっとにじんでいい感じです。

『アニメのお仕事』

今日からアニメーターとして働くことになった橘優佳。アニメ会社SEALにいけば、先輩の高橋みのりから数日で消えないでねと釘を刺される……。教育係が厳しかったのだそうだけど、実際、こうやってすぐやめてしまうっていうの、よくあったりするのでしょうか。

優佳と同期になる新人、相川凪。なるほど、ふたりともに絵はうまいのか。むしろみのりがダメージ受けてるのだけど、ともあれ凪の実力は確かなもののようで、そんな凪のコンプレックス? この会社に所属するトップアニメーター、相川藍、姉に技量で上回りたい、そんな気持ちがあるのでしょうか。

仕事の前に課された課題。絵は描ける優佳だけど、トレスに40分かかってしまったというの、求められる技量が違うっていうことなのだろうなあ。そして、姉を意識するあまり描けなくなってしまっている凪の気持ちをほぐして、無事課題をクリアできたふたり。こうやって仕事を通じて、仲を深めていったり、切磋琢磨? 刺激しあって、支え、助けあって、そんな関係が描かれそうでありますね。

『精霊さまの難儀な日常』

最終回を迎えました。

光の力の影響から人間界を守るべく、海底へと身を投じたサラたち。危機に挑む過程で、4人の精霊たちの結束もより強くなり、またサラのともりへの気持ちもより一層鮮明になっていくそのくだり。大変充実して見事引き込まれるものありました。

封印の布をはずして能力を解放するシィル。対となる人間、ともりの大事なものを奪うなんて考えられない、自分の試練の成否よりもともりのことを大切に思い、問題解決に全力を尽くすサラ。この鬼気迫る感じ素晴しく、それだけに皆の到達した状況、大きなことを成した! そんな実感与えてくれるその後の描写も充実していたように思います。

しかし驚きました。対の人間から奪ってくる大事なもの。それってなんだろう。一緒に過ごした記憶なのかな? 大切な存在となっていた精霊との別れなのかな? そんなことをずっと考えていました。けど、それが思いっきり違っていて、というか、むしろそれ対の人間についてよく考えさせるための方便だったんですか、女王様!? びっくりしましたよ。けど、それぞれにちゃんと人より贈られたものを身につけていたこと、それが大事なものであるということ、ああ、この場面などしっくりときて納得感あって、そうか、そういうことだったんですね女王様!

まさかこれでともりとサラ、お別れになってしまうのかな? そう思ったものですから、数ヶ月を経て春の日、再会を果たすふたり。あの場面、本当に感動的でした。ショートカットのサラもまた素敵ですね!

『NEW GAME!』

素晴しい扉絵だ! というのはいいとして、コウ不在で急遽採用面接の面接官に抜擢された青葉です。ひふみとゆんも巻き込まれていて、と、なるほど扉の3人は急造面接官ってわけですな。りんも面接に立ち会うのかな? と思ったら、本当に青葉、ひふみ、ゆんの3人だけっぽくて、怖ろしいな! 青葉、ちゃんとできる?

ここからの展開。面接を受けにきた学生に、青葉、思いっきり就活生と間違えられてるじゃん! 学生さん、やたら青葉への距離が近くって、肝っ玉の太い子だとか青葉思ってますけど、いやいや、違う違う。この掛け違いが掛け違いのまま進行していくくだり面白かった。

このやりとり、意図せず面接みたいになっているのがね、悪くないなあって思ったんですね。ツインテールはないんじゃないか? ってことで髪を結ってもらってる青葉が、この会社を受けようと思った動機を問うてみたら、涼風青葉の名があがるんですね。それだけに、目の前の元ツインテールが青葉当人と判明するくだり。緊張しながら面接会場の扉を開いたら、そこにさっきまで髪を作っていた青葉が座っている! まさかの土下座! ツインテールをバカにして申し訳ありませんでした!!

自分のやったこと、その軽はずみに後悔する青葉の、きちんと詫びて、そして続けた言葉。その態度に余裕と自信を感じさせたこと。青葉の真っ直ぐに向けてくる落ち着いた視線に、就活生、水野あやも動揺から立ち直り、自分を取り戻していった、その呼応する様など、短いやりとりにピリッとした緊張と、伸びゆく強さ、瑞々しさ感じて、背筋のあらたまる、そんな感触覚えて刺激的でした。

この面接、青葉たちにしても好感触だったようですが、ということは今後、水野あやも仲間として一緒に働くことになるのでしょうか。だとしたら、どんなやりとり見られるのかな。なんか楽しみになってきましたよ。そんな好奇心もちょっと意地悪みたいですけれど。

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