『まんがタイムきららフォワード』2020年11月号、昨日の続きです。
『球詠』
ヨミのホームランを受けての皆の反応。もう、誰もがあっけにとられてる、というか、魂抜けてない? ダイヤモンドを一周して、ベンチに帰ってきたヨミを無言で迎え、というか、迎えてもいないよね? 白菊とかあらぬ表情よ? でもって、球姫が動きだしたらみんながうわーってくるのね。めちゃくちゃ面白い。ヘルメットかぶせてべしべし叩いて、打率1割に乗ったんじゃないのか!? この発言に、ピッチャー日高凪が傷つく!
そして凪、バッターボックスの希に意識を向けると、そこには涙目の希が! ほんと、この反応、めちゃくちゃ面白い。なんともわからんお祭り騒ぎ感があって、これも練習試合ならではなのかなあ。思いもしないイレギュラーが招く動揺、狼狽、そのわいわいとした賑やかさが最高に面白かったです。
と、ただ面白いだけでなく、凪と希の対話とかね。おお、凪さん、希に名前を覚えてもらえましたね。嬉しそうにしてるその表情がもうおかしい。さらに、いってみたかったセリフ、全国で会いましょう。おお、クールぶってるよ! めちゃくちゃ可愛いな。この約束、果たされるといいですね。その時には双方万全の態勢でもって勝負できるといいですね。ええ、いいライバル関係が生じました。
後半の、白菊の家に集まっての勉強会。ここでの情景も面白かった。というか、ヨミさん、優等生だな、キミ! そんなヨミの打撃練習。そこでの球姫との会話も、野球のこと、ふたりの関係のこと、含蓄あって本当に魅力的。光のこと気にしてるヨミ、いいよねえ。それから、球姫が見せたヨミの顔真似! ほんと、予想もしないところに、想像もしない面白み放り込んでくるの、最高だったと思います。
『夢喰いメリー』
今回、大増量56ページですか!? 無茶するなあ! と思いながらも、白儀「本能」を倒したメリーからその後を託された夢路の逆転劇、そして決着までを途切れることなく一気に読むことのできるという格別のはからいではないですか! ほんと、ゆるむことなく、たるむことなく、夢路の、そしてメリーの活躍を堪能して、ああ、ふたりの戦いがいよいよ終わろうというのですよ。
正直、どういう気持ちになるのだろうと思っていました。思いもしないものを幾度も見せてくれたこの漫画。だから白儀との決着においても、きっとあっと思わされるようなことあるのだろう。そう思っていたのですが、意外やむしろ驚きよりも納得の気持ちが大きくて、そうだ、そうだった、今まで語られてきたことからすればこうなるのが当たり前だなって、すとんと落ちるものでした。これまで必死に戦ってきた夢路も、ただ目の前の相手をぶちのめして、ぶっ倒して、退場させてはい終わりなんてやつじゃないってこと、改めて思い知らされて、そうだ、ずっと夢路はそうだったじゃないか。あるべきものをあるべきところへ返して、暴力や力で物事を押し通すのではなく、とても穏かに、悔いも憤りもわだかまりもすべて押し流された美しさのうちに、そっとすべてを決着させた。そこには、なにか相互の信頼さえあった、そんな確かさが感じられて、清々しい思いのうちに読み終えたのでした。
しかし、あの見開きの2連続とか、渾身でしたよね、ぐっとくるなんてもんじゃすまなかった。力強く揺るぎない。そんなふたりの関係が、その絵でもっても伝えられてくるようで、ほんと夢路は、『夢喰いメリー』は信頼を裏切らないわ。ここからの展開、見せ方も本当に爽快で、読み進めればこれまでの鬱屈が押し流されていくかのよう。そうか、これがカタルシスか。もう本当にしてやられた感! あっぱれってやつですかこれ。この時の感覚、最後に白儀の辿り着いたのも、こういうものだったらいいよな! そんな感触。ええ、それくらいラストの白儀、いい表情していました。
『ちょっといっぱい!』
やっぱりエリカ、面白い。いままでこはる屋にはいなかったタイプ。給金もらって、喜んで、そして気持ちはどんどん前向きになっていくんですよ。
今回はもみじに弟子入り志願? 料理にチャレンジしたいっていうんですが、普段料理は? と問われて、全然! おおう、キミのやる気はいいとして、その自信みたいな向こう見ずはどこからくるんですか。でもすごく気持ちがいいですよね。店長からイモを託されてからも、できないなりに頑張って、失敗してちょっとくじけたりもしたけれど、それでも最後には頑張ろうという気持ちを復活させる。そこでもみじが見せたもの。エリカのこと励まして、その気持ちを後押しするの、ああ、これまでもみじが失敗したり迷ったりしてきた、そのたびに皆の助けを受け乗り越え、成長してきた。その成長の様が、先輩となったシチュエーションに発揮されるというのですか。エリカの登場、それがもたらすもの、その意図するところが端的、明確にされた、そんな描写でありましたよ。
タイプの違うふたり。でも、ほんとにいいコンビになりそう。そんな予感させる描写の連続。あのエリカの手をとるところなんて、最高でしたよね。
『スローループ』
今回、すごくいい。作文コンクールで入賞したふたば。けれど全校集会で発表するのはこわい……。迷いの消せないふたばのこと、知らず励ましていたというひより。その組み立て方がすごくうまくって、自分のやったことのない釣りに挑戦しているひよりが語ったこと。その思うところがふたばに響いていたんですね。いろいろ経験し、見聞広めて、新たな地平を開いていきたい。そうした姿勢、それこそは勇気であるのかも知れません。
文化祭でのいろいろ。小春の展示のヤバさもなかなかに面白いんですが、その隣りで喫茶店やってるひよりの思ってること、それがまた面白くて、だよねえ、サバサンドを売りにしてるのに、隣にはアニサキスの模型が展示されてるんだよ!? 営業妨害すぎる……。って、ほんと、確かにそのとおりですよね。
この喫茶店に、ふたばがやってきて、すごくいい笑顔でがんばれましたって報告してくれるの。もう、それだけでなにがあったかわかるじゃないですか。しかも、いい結果を出したんだろうなあ! 手応えもあったんだろうなあ! 描かれていないことさえも、ありあり目に浮かぶかのよう! ほんと、これは組み立ての勝利ですよ。すぐれた描写で、絵にして描かれていないこと、ふたばの気持ちの変化、迷いを抜けた時の晴れやかな表情、そして頑張りの果てに得たもの。それらが本当に雄弁! ええ、いい物語でありました。充実。
ひよりの和装給仕姿が可愛いとか、藍子さん大ピンチとか、ちょっと書く隙がなかったので、最後に無理矢理書きました。最高です。
- 『まんがタイムきららフォワード』第14巻第11号(2020年11月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿