2020年3月4日水曜日

『まんがホーム』2020年4月号

『まんがホーム』2020年4月号、一昨日の続きです。

『僕のパパになってください』

なんだか切ない最終回を迎えてしまいましたね。

父と息子。本当の親子ではないけれど、父になって欲しいという春樹の願いを受けて父の役割りを演ずることとなった灰田。春樹にとっては理想の父、親子関係を得ることができ、そして灰田にとってはかつて失ってしまった父親という役割りを再び得ることができた。

この互いに、失ったもの、得られなかったものを回復させることができたという、これはとてもいいことなのに、それが父親、息子という関係であったがために、違うあり方に踏み出すことができなくなってしまっている。初詣からの帰り、春樹の願ったこと、この気持ちがどうか恋にはなりませんように。けれど、その願いがかなうことがなかったという彼のモノローグ。そしてその後の描写……。

ふたりともに思いあっているのに、春樹は息子で灰田は父。この関係がふたりの気持ちをしばっている。その悲しさ。明るく暖かな光の中、ふたりの表情に射す陰が悲しくて、ええ、しあわせでけれどうらはらに切ない、そういうほかないエンディング。心に跡を残すようです。

『うちの可愛い掃除機知りませんか?』

ええと、これは次回クライマックスとかグランドフィナーレとか、そういう流れではないんですよね?

モニターとして掃除機のアプリと一緒に暮らしてきた智枝。けれどモニター期間の終わりがアプリとの別れ。正式に発売されたAI掃除機を購入してみたものの、あらわれたアプリは、姿こそはかつての彼女のままであっても、一緒に過ごしてきたアプリとは違っていて、動きは洗練され、天真爛漫さも影をひそめ、そして思い出の品についての記憶もない。

これ、悲しくない? 余計に悲しくない? 十萌があまりのことに泣いちまってるけど、いやほんと、こりゃそうなるよ。なまじ姿かたちが同じなだけに、よけいにつらいじゃんよ。

そう思っていたら、透が大丈夫って。ふたりならきっと乗り越えられるって。その楽観、ああ、なにか開発者である彼女にしかわからないことがあるのか。あるいは、新しいアプリに、面影ではない、まさしくあのアプリに通底するもの感じとった智枝のあの様子。これを信じていたというのか。と思ったら、アプリ? 記憶が?

ここで来月に続く。ああ、この流れ、次回で終わりなんじゃないか? そう思わないではおられなかった。けれど、もしかなうなら、帰ってきたアプリと智枝の暮らし、もっと見ていたい。アプリと智枝と、そして透と十萌と、皆のしあわせそうにしている姿、それを見たい。

ええ、新しい、けれどこれまでどおりのアプリとの暮らしの情景。それに触れたいと思ってしまうのです。

『歌詠みもみじ』

もみじ、大ピンチだ。試験の結果が奮わなかったというので、家庭教師をつけられることになりました。父の大学の学生。現役大学生!? 恋愛の王道コースってやつだ! 騒ぎになってるけど、さすがパパさんやね、女子学生を選抜してきました。

この人、花見咲子。ちょっとヤバい系? あのパパさんのこと、紳士でカッコいい憧れの先生とかいっちゃってる。ママさんの手前、お世辞でもいってるのかと思えばさにあらず。これ、本気なのか! ヤベえ。ヤベえよ。しかもなにがヤバいって、父は既婚者、なら娘のもみじ。写真で見るより可愛い……、私的には全然アリ!

しびれました。面白くなってきました。このちょっとヤバい系の花見さん。もみじに急接近。彼氏とかいる? って、怖い、怖いよ! しかもべたべたコミュニケーション濃密で、さらには母にも取り入って、すげえ、外堀埋めちゃった! なんてったってお義母様だもんな! いやもう、もみじもそりゃ必死で勉強して逃げようとするよ。でも、それが花見さんの手柄になって契約延長! どうする! どうなるもみじ! いや、私はむしろ大歓迎!

毎日衣装替えして見栄張る花見と、毎日違うお茶菓子用意して見栄張る母と、この互いの大変さ描かれるところ、その機微、見事。互いが対になって畳みかける構成もすごく面白く、今回、かなりの充実。見せて、引き込んで、このドライブ感! 最高でした。

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