2017年4月28日金曜日

『まんがタイムきららキャラット』2017年6月号

『まんがタイムきららキャラット』2017年6月号、発売されました。表紙は『ブレンド・S』。おお、これはまた素敵な表紙ではありませんか。絨毯みたく群生した四つ葉のクローバーに白詰草の花冠、白いドレスでもってくつろぐふたり、苺香と麻冬がとても美しくて、印象的であります。座っている苺香に、甘えるみたいにうつぶせて膝元に寄り添ってる麻冬。麻冬の方が年上なのに、しかもしっかりしたお姉さんなのに、ずっと幼なく見えてさすがの麻冬さんですね。なんだかすきっとした苺香の笑みも魅力的です。

すわっぷ⇔すわっぷ』、さらなる探求でありますね。キスで中身が入れ替わる春子と夏子。もう散々キスしまくってるというのに、他に入れ替わる方法あるんじゃないか。それを探ります。というか、春子が驚いてるのね、ほんと今さらやもんね。春子の部屋での探求。手を握りあったりおでこをあわせたり、そして抱きしめあったりと、端から見たらイチャイチャしてるようにしか見えない。しかもさらにはキスで入れ替わる、そのキスについても探求しはじめて、ふたり迷走してますよね。でもこの迷走こそがこの子たちなのだと思いました。なんとなく楽しいやりとり。ふたりだけ、場所も室内とミニマムで、けれどこれだけ面白いってんだからさすがです。

まちカドまぞく』、いいですね、探し人、その核心に迫りつつある感がありますよ。シャミ子の家に喫茶店のマスターがやってきたんですね。なにゆえ? なるほど謝罪。そこでマスターにも知らされた桃の姉、桜が行方不明になっている話。マスターからかつての桃の情報聞き取りしていくんだけど、このくだりで、全然なんにも期待してなかったリコからの情報、さらにはマスターがたまさくらちゃんのデザイナーという事実、いやもうこれ全然関係ない余談、脇道だと思うじゃないですか。けれど違った。うおお、この枝葉がひとつの道筋にぴしっと整う感覚、素晴しいな。そして桜の消息に繋がるかも知れない事実を知るのはシャミ子というのがね、ほんと、ちょっと興奮させられるものありましたよ。シャミ子にいろいろすまないと思って元気なくしてた桃も興奮しちゃってて、ええ、やっぱりいつもの桃がシャミ子にはいいんですね。こういうところもよかったですよ。

『メイドさんの下着は特別です。』、ゲストです。田舎から都会に出てきた桜田蘭子。これまでおしゃれに縁のなかった彼女だけれど、上京を機にはじめた仕事でおしゃれに目覚めます! という話かと思ったら、ちょっと待って、なんか雲行きがおかしいよ? 豪邸での住み込み仕事。同僚に憧れのモデル、有坂ツカサがいるという、なんというプレミアム感溢れる展開なのでしょう! と思ったら、ツカサの着ているメイドの御仕着せ、背中ががばっと開いてて、まるで裸エプロン! ツカサいわく、下着に見えて下着にあらず。いや、けど、あなたランジェリーメイドっていってるじゃん……! ランジェリーメイドといいつつも、そこまで露出がはげしいって感じはなくて、かと思ったら際どいショットもちらほらあって、この塩梅がこの漫画の強みなのでしょう。モデルのツカサに、もともとは常識人だった東雲メグ。そこに蘭子が加わって、ああ、この今は抵抗している蘭子もいずれはここでの流儀に染まるのでしょうなあ。最後に出てきたご主人様。中学生くらいに見える女の子? というんですが、実は大人? この人の格好、毛皮に露出強めのドレス? めっちゃくちゃ似合わないっすね!

『貧乏神ちゃんはうまくできない』、これ面白かったですよ。公園で泣いてた女の子、これが貧乏神っていうんですが、どうも才能がないみたいで憑いたお家を大金持ちにしてしまう。そんな彼女が出会った子、結は、明るくほがらか、助けあいの精神に溢れた、けれどいろいろ残念なお嬢さんで、家は貧乏で傾いてるし、そんな境遇だというのに困ってる動物でも貧乏神でもなんでも助けてしまう。ああ、これ、貧乏神がいいですね。ちょっと価値観が転倒してるこの子の過去のエピソードとか、それだけでちょっとおかしいし、やたらと人のいいってのもいい。そして結の家、結の家族の底抜け加減もいい。貧乏神があきれるほどっていうんですね。結の貧乏状況、きっと貧乏神の才能のなさで脱出することになるんだろうなあ、そう思ってたら案の定で、いきなり札束掘り出しちゃうんだ! ものすごくテンポがいい。ラストでのどんでん返しも強引なんだけど、思いっきりよくって面白い。うまくいかない貧乏神と、貧乏には自信があるといってなぐさめるヒロインと、こういうのもなかなか見られるもんじゃないと思う。いやしかしこのラスト、実によかった。キャラクターも表情豊かでかわいいし、とてもよいと思いましたよ。

『ユメミるタマゴ』、これも面白かった。というか、導入がすごくはやい。椋野ユメミ、百乃アン、遠江マチ、沙戸サトコ、この四人の女の子のキャラクターや関係をすごい勢いで印象づけて、そして数ページでイベント発生させるという、この展開のはやさ、テンポのよさは特筆ものだと思います。しかも冒頭のキャラクターの紹介に使ったエピソード、展開が、メインのイベントにおいても十全に活用されて、ほんと無駄がない。しっかりした構成で、結構際どい描写まじえてのコメディ。当初クールに見せてたキャラもがらりと変わる。ちょっとした極限状態で登場人物の底近くまで見せるのはうまいですよね。しかもその極限状態を脱するのも、アレげなお嬢さんの大暴れっていう、ええ、ほんとしっかり組み上げられて、見て楽しい、面白い、ちょっと苦みもまじります、よいできでありましたわ。でもって最後の最後のオチ。これも導入をちゃんと引き継いでる。よくできてますわ! 絵もキャラもすごくよく整理されていて、この隅々まで考えられて、手が神経がゆき届いている感じ。すごくいい手応えでしたよ。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第13巻第6号(2017年6月号)

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