一躍話題のサーバル本であります。アニメ『けものフレンズ』の人気に後押しされるように、あちらこちらでばんばん売れてるみたいで、ネット上では早速品切れをおこしていることでも話題になってますね。判型は小さめ、高さ21cm。ページ数は95ページかな。写真主体で、野生のサーバル、子どものサーバル、身近なサーバル、ペットのサーバルをそれぞれ紹介して、そして種としてのサーバルの紹介や国内のサーバル案内などを扱うコラム、サーバルナビ、動物園に行こう、サーバルとの暮らし、が読み物としての面白さを添えています。
写真が美しいです。「野生のサーバル」冒頭に紹介されるサーバル、8ページ、9ページなのですが、これ野生なんですよね? どうやってとったのか、ものすごい望遠なんだろうけど、よくここまでピント合わせたなあ、目のまわり、頬の毛の流れがありありと見てとれるほどの写真。目の美しさ、色の深さもまた印象的で、この写真がいきなりドーンとくるっていうことは、いわば目玉、これぞというとっておきの一枚なのでしょうね。出展見ると、ええと、どれなんだろう、よくわかんないな。とりあえず、roberthardingで見つけられるこの写真なんですが、全然イメージ違うな。本で見る、はっとさせられるみたいなインパクトの強さ、webの見本じゃわからないや。
こんな具合に、ほとんどの写真はストックフォトで見つけられるのですが、その構成や見せ方がしっかりしてるんだろうなあ。表紙の写真も、私の妙に気にいってる扉の写真も、どれも本の方が印象的。その表情や体付き、水辺にいるところや、木に登っているところ、獲物を仕留めたところなど、その生態を垣間見せてくれるようなものまで、たくさんの写真の中からこれというものをチョイスして、より印象的に魅力的に見せようとしているのだろうなあ。
「サーバルナビ」と「動物園に行こう」、これが面白かったです。まさかフンの匂いについてまで言及されるとは予想外。サーバルにはどういった特徴がある、どうしたところに個体の特徴が現れるなど、これらコラムを読んでからもう一度写真を見ていくと、気づかなかったところにまで目が届くようになります。ああ、この個体は鼻のピンクが大きい、こっちは小さい。模様の出方が違ってるなどなど。さらっと見て、もう一度見て、そしてさらにいろいろ知って見る、その度ごとに違った印象を得られそうで、長く楽しむことができそうです。
「動物園に行こう」、その「飼育について」において、動物園のサーバルは、野生動物としての特性を失わせないために人に慣れすぎないよう心がけているとあります。巻末近くのコラム、「サーバルとの暮らし」ではペットとしてのサーバルについて書かれているのですが、馴れればイエネコよりもよっぽど人に甘えてくるなど、なるほど、生態の展示を目的とする動物園と愛玩動物として育てるブリーディングの現場では、全然違う側面が出てくるということもわかるようになっていました。
このところの動物ブームを牽引した『けものフレンズ』も、その人気に後押しされたのだろう『サーバルパーク』も、そのどちらもが動物園へ、ひいては動物自体へ興味をうながすようになっているのはいいなと思います。実際、動物園、いってみたいかもなって思ってますからね。動物園で動いているところを見て、その印象をまたフィードバックして。そうした楽しみもあるのかも知れませんね。
- 南幅俊輔『サーバルパーク』 (SUN-MAGAZINE MOOK) 東京:マガジン・マガジン,2017年。
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