『まんがタイム』2017年5月号、一昨日の続きです。
『お兄ちゃんと呼んでくれ!』、妹遥から兄扱いされないことを悩む兄、ツブテでありますが、思わずこぼした、俺には兄の才能がないのか…。おお、兄に才能とか、そういう発想、なかなかに持てるものじゃあありませんよ。そんな彼のこと、先輩と慕ってくれる後輩の女性。見た目にも凛々しくきりっとしたこの人の内心に渦巻く感情、あれがもう最高に面白かったです。かわいい連れて帰りたいはともかく、どうしよう…半ズボンはいて欲しい! っての、ほんとこの人、業が深そうでよいですよ。なにも鼻血まで出さなくていいじゃない! 素晴しかったです。しかしこのツブテ君が妹のこといろいろ思って、どんなご飯を作ってあげよう、いろいろと気を使ってるのがとてもいい。受験生だからと脳に効くレシピとか、そして最後にはやせる!! 低カロリーレシピ。おお、わかりすぎる兄というのも大変だ。ところでツブテ君の、レッツラクッキング! おお、おお、レッツラまぜまぜですね。
『おかわり自転車』に新しい登場人物が増えました。筒井レイさん。17歳の高校生、コトコの幼なじみというのですが、ちょっと人付き合いの苦手な子? 見た目からしてクールで、言葉もちょっとつっけんどん。キツい受け答えにミトが怒らせてしまったと落ち込んじゃって、その点、コトコはよくよく幼なじみのこと理解していますよね。そんなレイの態度が軟化したくだりがいい。そうか、この子、食べるのが好きなんだ。今回のサイクリングも、絶品ランチ付きという言葉にやられた。そんなレイが、ミトの作ってきたお弁当にすっかりやられちゃって、表情がキラキラ。ミトの言葉もすーっと受け入れられたみたいで、すっかり懐いちゃったっていうんですね。ええ、ミトがくるならサイクリング、参加します。そんなレイのコトコについての評価とか、学校でのあだ名とか、それらもなかなかに面白い。魅力的な子の登場に、ちょっとうきうきさせられる感がありますよ。
『友ちゃん』、よいですよ。修一に置いて帰られてしまった。それで涙目。ああ、本当に修一のことが好きなんだなあ。しかし何故置いていかれたのか。心配して、不安になって、電話、メール、あの手この手で連絡とろうとするも返事がない。嫌われることしたのかな、不安つのるばかりという、この友子のいじらしさにすっかりやられてしまいました。そして友子の友達、優ちゃん、この子が帰りにいろいろ寄る場所寄る場所が、さっき友子が修一を探した場所に重なっていて、ああ、友子のこと思って! 修一のこと蹴飛ばしてやるんだって! ちょっと過激だけどいい友達だなあ。娘をなぐさめるため食事に連れていってくれた友子の父さんも、友達も、そして修一も、皆が皆、いい人で、そうした人たちに囲まれている友子のしあわせみたいなことも思いましたよ。
『サマー・キッズ・ブルース』、まんがタイム月刊新人展拡大版枠の掲載なんですが、絵柄からも、また内容からも、ストーリー志向であることうかがわせて、いわゆる四コマ目で落ちないタイプ。でもよかったですよ。路上ライブデビューをはかる高校生、美田村ミイの失敗と挫折。それがたまたま路上でギター弾いてた知人、砂原と組むことで、即興のデュオになる。そのくだりの、ちょっとグダグダして、けれどそのグダグダもまた青春の蹉跌、まぶしく思わせるものあり。そして歌っているところの描写は生き生きとして、ああ、ふたりにとっていい経験になったんじゃないの!? ギャラリーの歓声。メイも砂原もなんか感動しちゃってっるぽくってね、そして最後に、オレとバンド組まないか? ドキッとしたメイの返事ではなく、遠くであがる花火で締める、そのラストの情景、これが実によかった。心にこう引っかかるもの、しっかり残していってくれましたよ。
- 『まんがタイム』第37巻第5号(2017年5月号)
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