2015年9月24日木曜日

『まんがタイムきららフォワード』2015年11月号

 『まんがタイムきららフォワード』2015年11月号、発売されました。表紙は『がっこうぐらし!』、りーさんにみーくん、るーちゃんの三人が、秋の日射しのもと、日向ぼっこしている、そうした雰囲気あるイラストでありますよ。ポラロイドカメラをしげしげ眺めるみーくんに、寄り添うるーちゃんに慈愛に満ちた眼差し投げかけるりーさん。それぞれの表情、そこに彼女らの性格よく現れていて、とりわけりーさんるーちゃんには、暖かなもの、感じさせられます。そして『あんハピ♪』のカットもございます。

『はるかなレシーブ』、じわじわ話が進んでいきますよ。前回対戦したふたり。遥は再戦を申し出たんですが、なんと相手高校生チャンピオンなんだそうですよ。駄目だ、こりゃ勝てねー! けど、遥はまだわかってませんからね、一週間後、ふたりが寮に帰る前に再戦することを約束する。それまでちゃんと練習するならとの条件づきでの約束なんですね。この約束あって、遥の特訓が成立するわけです。まずボールなしで、ビーチフラッグをしこたまやらされる遥。砂に足をとられないよう、また基本的な動きができるようになるよう、それに適しているというビーチフラッグでもって鍛える。さらにここで、かなたと成美との関係など語られるんですね。背の低いかなた。その背の低さが成美の足を引っぱってしまうと、身を引いてしまった。それが悔いになっているのか、あるいは怖れとして残ってしまっていて、ああ、かなたの問題はまだ少し後を引きそうですよね。今回は、背の高い遥、この子のコンプレックスなども語られて、水着のカスタマイズですよ。飾り紐を切ろう、いろいろ調整しよう、その段で、そうそう自分にあった水着なり、服なり、買えないという話になる。だから、かなたの気持ちはわかるよ。その気持ちの交流など、ええ、いいじゃないか! そう思ったんですよ。

『ゆるキャン△』、富士山近くでのキャンプから帰ってきて、野クルの活動も本格的になっていきますよ。といっても、いろいろ足りない、寝袋が夏用のものしかないのが致命的、それを工夫でもってなんとかしようというのが面白かったです。キャンプに必要なもの列挙して、あれが必要、これも必要、どこそこで買えて、これはいくらくらいするなど、なるほどキャンプの知識なども得ることができる。ええ、面白い、生き生きしてる、動いてる、そんな感触があって好感度あがりますよね。そしてひとりキャンパーのリン。この人の心の中に動いているもの、感じていること、それがちょっとだけ感じられる、そんな気がして、ええ、ひとりが気楽、孤独を楽しむ、そんな人だけど、それだけじゃない、誰かと過ごす楽しさなんてのも知っちゃったんじゃないの? なんて思えてくるんですね。とはいえ、話は一度には動きません。ゆるゆると、それぞれのペースで、できることをやっていく。そのマイペースさがね、なんだか心地いいと思うわけですよ。そして、出荷ですよ。出荷!

『ほんとの恋はどれですか?』、フォワードはほんと多方面に展開するのだなあ、そんなこと思わされて、恋愛ものですよ! ずっと気になってました、そういって男子に告白する女子ひとり。そこへ飛び出していく女子ひとり。伊藤さん!! 抜け駆けなんてひどいです!! というからには、この男子、南谷のことが好きなのかい? と思いきや、私が告白したいのは伊藤さんです! ああ、シンプルでいいですね。この真っ直ぐさ、気持ちいいですね。あきこちゃんは伊藤さんのことが好きなんですね。自分にもチャンスを下さい、そういうあきこちゃんのへこたれなさも素敵ですが、そのチャンスを与えようという伊藤さんもフェアで実にいい。かくして翌日、ふたりでデート、映画館でカップル割を宣言してみたり、そしてふたりお茶しながら話す。なぜあの人のことを好きになったのか。あきこちゃんの理由は? そこからの顛末は、わりとあっさりとして、でも読み切りだもんね、しかたない。でも、あきこの気持ち、伊藤さんに通じて、私は「恋」がしたい、このコマなどは渾身だったと思うのですよ。ええ、伊藤とあきこ、ふたりの関係はこれからどうなっていくのか。伊藤さんはいつも通りの友だちなんていうけどね、結構ぐっときてたんじゃないのん? ということは、あきこ次第でどうにかこうにかなったりしそうなんじゃないの? とか思わせてくれるラスト。サムズアップしながら倒れていくあきこに乾杯でありました。

『未完成キャンバス』、ゲストです。影のある転校生、上原はすみ。美術部に入ろう、絵を描きたい、けれどそこでは誰とも馴れ合わない、一人で描くんだ。なにか思いつめてらっしゃるんですね。けれどこの学校には美術部がなくて、それを一から作っていく。北島せいらなる子が美術部を作りたい、そういっていて、まずはふたりで部を作ることとなるんですね。しかしここでテーマの対立があるわけですよ。いいですよね。ひとりで描きたいはすみに対し、せいらは集団制作をしたい。このまるで相容れない目的に、はすみの心に残った傷、それが明らかになることで、先に進む糸口が見える。手を差しのべるせいら。せいらに呼応するはずみ。変わっていくはずみと、同じく変わっていたかつての友だち。この一時期を立ち止まっても、悩んでも、また歩きだすこともできるし、変わっていけるんだっていうメッセージは、すがすがしくて、とてもよかったと思います。

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