『まんがタイムきらら』2015年10月号、昨日の続きです。
『ひめかみ*ダイアリィ』、なんかびっくりするほど色っぽい扉に驚くのですが、今回は針仕事ですよ。温泉街にて出会った女の子。自分の母と、もうすぐ生まれてくる赤ちゃんのために、なにかプレゼントしたい。そうした気持ちを受けて、皆で百徳着物を作ろうというんですね。こういう風習、本当にあるんでしょうか。皆から端切れをいただいて、繋ぎあわせて作る着物。縁を繋いで徳を得て福を呼ぶ縁起物なんだっていうんですね。皆が集める端切れ、その絵柄から交友関係がうかがえる。そうした面白さあり、そして皆で針仕事する情景。めいがちょっと妄想で暴走だったりね、そうしたところも面白かったんですが、針がついーっと通っていく、その軌跡、縫糸のつらなりに皆の頑張りが見てとれる、そんな描写がとてもいいなって思って、ええ、本当に素敵だったんですよ。着物ね、赤ちゃんの着物だったんですね。なるほど、だから大きすぎ。けど、その着物のおかげで多くの人と知り合えて、親しくなれて、そうした様子もとてもいい。素敵な話だったと思います。
『オリーブ! — Believe, “Olieve”?』は、スズの封印、それをなんとか解こうとしている面々。コニーのマッサージで眠らせて、その隙に開錠しようっていうんですね。なるほど、魔法の道具を使うんだ。エイドグラブなる、魔力を器用にする、そんな手袋ですね。けれど、封印は手強くて、ひとつ解けばみっつ出てくる。みっつ解けば16出てくる。難易度もどんどん高くなっていくんですね。今回、結構重要なエピソードですよね。まず、スズが夢に見たこと。先輩たちのこと、一緒に過ごしていくなかで、だんだんに知っていきたい。そうした気持ちが確認されて、そしてそれが鍵を開くことに繋がっていく。開けていく楽しみってやつですね。それが語られた。また魔法使いたちの側では、先生がスズに魔法を見せたのが原因と手品部の皆に知られて、そして封印を解く、その条件も語られて、ああ、スズからも歩みよっていく。コニー、あおば、ちゑたちも近付いていく。それで、心を繋ぐことができたらあがりですよね。そうした目標明確にされて、ただなんとなく仲良くなるわけじゃなくて、より深く、より親密になる、そうした気持ちがはっきりしたのがなによりよかったって思うんですね。
『放課後☆Jasmine』、のっけから面白いですよ。柱のコメント、この子はオタクだった事を隠していますっていうのが、すごく的確で、すごく効果的に状況を説明していて、そしてなにより面白かった。いかしますよ。印刷のお店をはじめた女の子たち。そこに持ち込まれた、人気の漫画をもとにしたお祝いの冊子。それが春音の心を揺さぶったんですね。漫画『ミナ☆ミライ』、社会現象になるほどに人気だったタイトルで、アニメにもなった、映画にも小説にもなって、もちろん春音も大好きだったのだけど、まさか身近に作者の身内がいたとは! しかもヒロインのモデル! あまり騒がれたくないという美奈子に、なんとしてもオタバレしてはいけないと誓う春音、その様子おかしくて、けどただただ挙動不審になる春音。さらに春音の事情知ってる真理香が、春音の熱弁受けて、影響されちゃうとか、もうね、たまらんね、この展開。最高でした。印刷についての知識、経験のある春音がいろいろアドバイスします。そこでオタバレの危険があって、うまいこと切り抜けるんですけどね、それで春音も美奈子も赤面するっていうね。さらにはラストには美奈子の言葉に笑顔にノックアウトされるとかね、もう、充実のエピソードでありました。見事でしたね。
『担当編集ボツ子さん』、面白かったです。ボツ子さん、本名刺子愛、最近可愛くなったといわれるんですが、え、ちょっと待って、その格好、普段着なんだ? というのは置いておいても、照れているその様子実に可愛くて、それだけに次のコマの落差がすさまじい。担当している漫画家、田中一人のことが好きだというんですが、その対応は実に見事にスパルタで、まさしく愛の鞭といったやつなのでしょうが、ほんと、その愛、伝わっているのかなあ。事前の女子トークがために、自分の気持ちが気になってる刺子愛。顔赤らめて、ドキドキしながら、いうのはネームはくっそつまんなかったです、なのか。すごいな。けど、ドキドキしてる気持ちはしっかり伝わってるみたいで、いつもより可愛いとか、いい反応得られそうかも? と思ったら、特にヒロインがダメです、いいですか先生の女の子かわいくないんです、駄目押しに駄目押しを重ねる。うお、机の下では足踏んでるんだ。ほんと、これ、刺子の内心がところどころに差し挟まれるから、ああ、可愛いなあ、そのギャップ面白いなあって思うけど、田中氏にはどんな風に映っているのだろう。ちょっと刺子のことが心配になったりもしましたよ。でも、ほんと可愛い。田中の答える女の子の好み、ことごとく刺子の逆なんですけど、そしたら睨むは鞭打つは、最高だな、素晴しいな。でもって、自分をヒロインにして描くようにいう。まわりくどいのかも知れないけど、この素直に気持ちを伝えられない、表現しないところが、刺子の魅力なんだろうなあ。つくづく思わされました。そんな刺子の愛、伝わっていないのかと思ったら、ちょっとは田中の気持ちをとらえているようで、やったじゃん、よかったじゃん。ほんと、どんな風に進んでいくのか、まったく先の見えないふたりですけど、その不器用さはチャーミング。とても魅力的だと思います。
- 『まんがタイムきらら』第13巻第10号(2015年10月号)
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