『まんがタイムきららフォワード』2015年10月号、先日の続きです。
『怪獣の飼育委員』、やっぱり結構好きだなあ。そう思わされた今回のエピソード。通称怪獣の楽園? 旧市街が怪獣の保護特区となっている、そこに皆でフィールド調査に赴くといった今回。テイマーの資格を持つ先生の、昔馴染みの怪獣と出会ったと思えば、宙のことを助けてくれた怪獣との再会もあって、けれどその怪獣は人に心を開いていない。怪獣は記憶力がいいから、人間にされた嫌なことは忘れない。それがために、その怪獣のこれまでに受けてきたこと、具体的でなくとも推察することができて、だからこそ、宙との思い出が怪獣の中に生きていたこと、宙に危機があれば助けずにはおられないということが、しみじみと胸にしみるといったわけなんですね。うれしかったこともずっとおぼえてる。そのフレーズの、シンプルで、けれど暖かで微笑ましく響くこと。やっぱり好きだなあって思うんですね。
『そこテストにでます!』、ぐいぐい動いていきますね。数馬、かえでからのメールを受けるんですね。参考書を選ぶの、手伝って欲しい。その文面にあった「付き合って」のフレーズ意識しちゃってるの、実に思春期少年らしいんですが、ともあれデートっぽい展開になってきましたよ。憧れのあの子と! ふたりの女の子、恋に疎いかえでと、恋に素直になれないもみじ。それぞれの恋の情景、それがもう鮮かでしてね、秋に色づく樹々のよう? といったら、うまいこといおうとしすぎてる感じがしますけど、いやもう、だんだんと数馬のことを知り、もしかしたら好きになりつつあるかも? そんな自分の気持ちに気付きつつあるかえでの、数馬へのアプローチ、その鮮烈さにはまいりましたよ。同時に、素直になれずにいたもみじが、これまでの自分のアプローチを思う。ライバルになりかねない女子を振り払いたかったのかなあ。憎まれ口ばかりきいてきて、それが悔いになってる。ほんと、この子は切ない。ほのぼのと萌えいずるかえでの恋に対し、苦くて切ない、それがもみじの恋。もう、この対照なんだろう。もう、この対比に、すっかり引き込まれて、ああ、自分はきっともみじにひかれることになるな、そんな予感に震えます。
『バミれ、みどりちゃん!』、今回は練習を経てミュージカル本番に挑みます。『ヘンデルとグレーテル』、それを子供たちの前で演じることになるんですが、その準備の情景はわいわいとしてにぎやかで、そして本番の様子ですよ。子供たちの前で演じるだけではなくて、積極的に子供に参加してもらう、そうした趣向が面白い。よく考えられてる、あるいは、盛り上げるということをわかっている、そういう漫画だなあと思わされまして、劇中劇としての盛り上げが、そのまま劇すなわち漫画の盛り上がりに直結する。ええ、面白かったですよ。子供たちが引き込まれていく、それはすなわち読者の興味をぐーっと引くことに同じで、そしてあの大ゴマ! 見せてくれますよね。もう、見事に目をひかれて、そこからの劇の落ちから漫画の落ちまで、一気に読ませられました。ほんと、うまくのせられて、楽しく読める。そんなエピソード。見事でした。
『鬼が出るか蛇が出るか』、おお、判明しましたね。三宅しろの種族ですよ。それは優には秘密で、けど、その気持ちはなんかわかる。ポジティブな意味でも、ネガティブな意味でも、それぞれ解釈できる余地がありまして、この幅、よいなあって思ったんです。さてさて、なぜそうなったか、その発端は優が自分自身のこと、いったいなんの妖怪なのか知ろうとしたことに発するんですね。ここで語られる妖怪の遺伝のルール。ほう、なるほど、妖怪と人の間に生まれた子は、種族がランダムになるのか。って、すげえな、なってみんとわからんのか。ということは、未だ優の正体は不明ってことになるわけか。種の存続、村の存続に責任を感じつつある優ですよ。そんな彼の話し相手になってくれたのがしろ。この子、あの犬フードの服とかね、可愛いよね。その子との会話でね、やっぱり色々わかるんですね。正体を知られたくないものもいる。コンプレックスや能力のために、知られることを避けたい。なるほどなあ、しろもそうだったわけだな。ここからですよ、しろの正体知らずと知ってからとでは印象が変わる。ああ、たしかにしろは、優の気持ちを受けてどんどん変わっていく。あの表情、笑顔、そしてお兄ちゃん。うおお、これは面白いな。と同時に、これまでのしろの言動、もういっぺん確認したくなる、そんなエピソードでした。
- 『まんがタイムきららフォワード』第9巻第10号(2015年10月号)
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