『まんがタイムオリジナル』2015年11月号、先日の続きです。
『みつめるっ!上野さん』、旧暮緋宮別邸美術館編、見事な展開見せましたよ。特別展のポスターができた。で、乙女ロードを狙い撃ったポスターなんかもあってという、根津さん、さすがというべきなのか……。今回の目玉は上野さんがタイムスリップした時に預かってきたカギ、それで開いた宝箱の写真なんですね。あたかも見てきたように、しみじみ宮さまたちの暮らしを思う上野が面白い。っていうか、見てきたんですけど。来館者の数に感動する桜木さん。あまりに多すぎる人出に、根津の奇策が光る。そして現れる暮緋宮の皆さん。幽霊になって出てくる。心霊写真として写る。そこからの対話、時を超えた交流、魅力的で、そしてまさかの桜子さま! 落ちとか、アレなんですけど、それも味。ええ、面白かったです。
『かでん屋さんの基礎知識』、創業セールでお祭り気分ですよ。園宮だけ。なんか、皆でセーラー服着てみたりね、ってか、さんちゃんまで女装か。わいわいと賑やか、楽しそうなんですが、それは見た目だけで、店員諸君は、いろんな催しやら覚えておかないといけないし、さらには売り上げ、これ重要、なんとしても売らないといけないっていうんだから大変です。園宮が考えた、セール期間中に何度も来店いただくための企画、これが三笠に褒められまして、ええ、今回は、園宮の成長、それをテーマとしているようですよ。店も40周年、70周年と、代を重ね、育っていく。それは人もまた同じということなのかも知れませんね。また、出自に見る店の個性。こういうのもまた面白い視点だと思いました。
『歌詠みもみじ』、仕切り直しでしょうか。登場人物をざっと紹介する今回。もみじたちの周辺、その人間関係、というほど複雑な漫画じゃないけどさ、どういう人たちなのかっていうのがね、あらためて説明されて、その毎回についてくる川柳がやっぱりおかしくて、ほんと、この漫画の魅力、面白さは、この川柳の出来によっているところが大きい。最初に読んだ時もそう思ったんですけどね、変わらずその魅力を保っているのですから素晴しいです。先生ね、芹澤シホ、この人の授業中の情景、見れば実に魅力的、悪くないと思ったり、そして瀬戸まりな、まさかの皆勤逃した理由とか、ほんと、みんながね、真面目というか素朴というか、そういう振る舞い見せながら、どこかちょっと抜けてたり、したたかだったり、茶目っけといってもいいのかな、そういう表情を見せる。それがいいなって思うんですね。とりわけもみじがそうでしょうか。ええ、かなり気にいってるんですよ。
『お手紙、あたためますか?』、これ、めちゃくちゃ面白いな! こんな展開見せるとか、想像もしてませんでしたよ。ののが風邪をひいたみたい。というので、防寒具貸してもらって帰るんですけど、それが蓑に笠! 保育所の子供たちは、おじぞうさま! おじぞうさま! って喜んじゃって、そしてののも、笠地蔵を夢に見る。って、すごいな、そのご馳走の山、つつじさんのお見舞いだったんだ。豪華すぎるよ。あのパニックに陥るののとか、すごい様相でした。さらにすずさんのシナモン。風邪の薬にもなりますよ。また、すずさん愛用のシナモンが、近所のパン屋のシナモンロール売り上げに大貢献したりして、その不思議なご近所関係。さらにまだまだ、コーヒー染めのレターセット。あの落ち込むののも最高で、その上に蓑笠愛用するのの! 強烈な見た目、面白さ。そして、すずさんのシナモン代用品、つつじさんへの恩返し。全体に、ぱっと光る、そんなアイデアがちりばめられている、そんな風に思っていたら、最後までしっかりと流れるテーマもあって、このふたつの印象が同居している感覚も悪くないなって思ったのでした。最高です。
- 『まんがタイムオリジナル』第34巻第11号(2015年11月号)
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