『まんがホーム』2015年10月号、昨日の続きです。
『ようこそ!オーロラ百貨店』、この百貨店のメンバーは、プライベートでも仕事を忘れない、プロフェッショナル中のプロフェッショナルですね、というか、仕事にプライベートを持ち込んどるのか、この人ら。カフェにておいてはお客にからみ、そしてつまみ出されるという様式美。今回、倉沢の家に集まって、というか、カフェを追い出されたからなんだけど、なんと、ガマン大会やるっていうんですね。エアコン故障中。最高級和牛でもってガマン大会。ああ、暑いのはつらそうだけど、おいしさは間違いないのだなあ。縁のあの表情、素晴しいものありました。今回、意外だったの、最後の最後ね、小早川に倉沢、ふたりの目的、ダイエットだったんですね。いや、もう、すがすがしいほどの罵倒。さすがの一言でした。
『うちの秘書さま』、おお、七瀬さん、とても奇麗。さて、せっかくの休日というので、はじめをともなって美術館にお出かけですよ。メイドさんがはりきっちゃって、デートではありませんか! ああ、この人、可愛いなあ。美術館での会話、面白かったですよ。はじめ、なんだかんだいって、いいとこの坊ちゃんであるわけで、教養とか期待できそうにない、そう思っていたら、いやはや、さすが、知らず身についているものがあるって話ですよ。この絵、なんか見覚えある、というその絵、教科書にも載るような絵だから、と館長が解説に入ろうとしたら、じーちゃん家の物置にあるのと同じ画家だとくる。かと思ったら、年相応の絵葉書プレゼントとか、ほほえましかったりもするんですけどね。しかし、ほんと、はじめの教養。これにはまいりました。私、大学で音楽学んでたんですけど、そうした時にね、その家の教養の度合いっていうのが馬鹿にならなくって、ほんと、普段から普通によいものに触れている、それが芸術の理解、ひいてはアウトプットにおおいに作用するって、何度も何度も思い知らされたのでした。いや、ほんとね、はじめのこと、アホなボンや、甘やかされて育ったアホなボンや、とか思っとったら足元すくわれるよ? そんな話と思いましたよ。はじめ、この人の将来、それが見てみたくなる、そんなエピソードでした。
『マチ姉さんの妄想アワー』、これまた素晴しいな。ツルとキツネのお呼ばれの、仲良しじゃないの? そう問う動物たちへの答が秀逸。おおう、ユニバーサルデザインを追求するデザイナーだったのか! いやもう、これ面白い。生ずる事象に対し、様々にありうる可能性をつぶさに拾い上げる、そうした試みを感じさせるものがいっぱいで、続く「名所消失」なんかもまいりました。赤ずきんのオオカミの、あのひしひしとつのる不安とかね、どんだけ君小心やねん、みたいなのとか、裸の王様のあの思惑! もうね、最高でしたね。本来なら王様を手玉にとるはずの仕立屋が、すっかり王にしてやられて、もうね、素晴しかった。ほんと、どれも面白いんですけど、そんな中にとりわけさらに面白い、強烈なのがあるという。毎回毎回、本当にすごいなあって感心ばかりですよ。
『歌詠みもみじ』は十五夜のお月見会でありますよ。もみじの家に集まって月を楽しむ、と思ったら、まりなが天体望遠鏡持ってきた。いかすな! 素晴しいよ! この人のこと、ずっと好きになりました。さて、お父さんがね、ものすごく肩身狭いのね。それはこの人のデリカシーのなさ? 駄洒落というか川柳ですね、そういうのもあるんでしょうけど、たまにはすごくいい歌詠んだりして、そうしたら千恵から珍しくいい歌とお褒めの言葉が。ああ、珍しく……。しびれますよね。ところで、今回の柱のインタビュー、テーマは萌え話だったわけですが、作者の萌えはギャップ萌えなのだそうでして、ああ、そのギャップ萌え、見事に本編にても描かれていましたよね。母の父への態度。普段はなんだからきついけど、実はそうばっかりじゃないんですよっていう、そのデレがちょっと垣間見えた、ってすぐに雲隠れなんですけどね、そうした描写もいい見どころになっていたと思います。
- 『まんがホーム』第29巻第10号(2015年10月号)
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