『まんがタイムきららフォワード』2018年8月号、先日の続きです。
『おなクラの幽霊さん』。同じ人が、同じ人物として描いてるはずなのに、衣更と幽霊さん、まるで同じ人に見えないっていうのが見事ですね。葉一とつきあうことになった。それで結構舞い上がってはいるんだけど、知っちゃいけない、知られちゃいけない、幽霊さんの正体が自分であるということ、バレるわけにはいかないっていうの、衣更にとって酷なシチュエーションであります。バレてはいけない理由、ひとつは男女交際の禁止。校則で決められてる。ひとつは、校外の誰かと葉一がつきあってる、その噂がもう広がってる。ライバルとなる女子の存在、多数。バレたら、彼女らのやっかみを一身に受けることになる上、これまで校則を盾に取締ってきた自分がどの面さげて? でも一番面白かったのは、葉一に聞いた、自分のどこが好きなのかというやつ。全部キャラつくってるところだ! ってやつ。真実が知られたら捨てられる! そう思い込んじゃって、もうややこしい。さらにややこしいことに、葉一、幽霊さんとの交際を賭けて、学年一位定席の衣更相手に試験の点数で勝負するなんていっちゃって! ほんと、これ、どうなるのか。衣更、手加減するしかないのか!? しかし、衣更のポンコツ具合、これがいいですよね。
『なでしこドレミソラ』。香乃、挑戦ですね! 文化祭でやるクラスの劇、主役に立候補ですよ。で、なんでそれで恵麻がそんな顔になってるの? この子のことだ、香乃の挑戦を応援しないなんてことありえないよね? そう思ってたら、ああーっ、自分も劇に出るっていいはって、でもあまりに私情が勝つもんだからと裏方に押し込められたのが不満なんだ。なんか、わかる。それはそうと、月の民を提案する時の恵麻、びっくりするほど気高く美しかった。それだけに、ページめくったところの恵麻の落差が際立とうってもんなのですが……。香乃の頑張り。和楽器同好会のためだったんですね。経験が演奏に生きるだろう。そして知名度にも繋がるだろう。苦手なことに向き合って、怖いと震えながらも踏み止まって、そんな香乃に寄り添う恵麻の姿、これがまた美しかった。そして結果を出しつつある香乃の倒れてしまったこと。それがまさか佐々木に言葉を届けさせることに繋がろうとは。香乃の本心、それがストレートに届いたのではないか。たとえわずかでも、佐々木の心に響いたのではないか。そんな予感させる展開。ここもまた美しかったです。
『夢喰いメリー』。これ、すごかった。六花高校に起こった異変。テレビニュースにて伝えられるその様子に、橘のおやっさんも釘付けです。そして思い出すのが、昨夜のメリーとの会話。そこでね、メリーのこと、なにも聞かずに置いてやった理由語られるの、きましたね。かつて、子供だった夢路が探していた相手、それがメリーだろうって。メリーがきてから夢路の目に火がついた。かつての夢路に戻ったんだっていって、ああ、この人は夢路やメリー、自分の娘がなにかしていることに気づいて、それでもあえてなにもいわず、ただただ見守っていたんだって、そのかっこよさですよ。太いおっさんだわ。もう、ほんと、マスター、渾身の見せ場でありましたよ。そして見せ場は続きます。押し寄せる大量の銘無しを食い止めるために戦うも、多勢に無勢、いよいよ追い詰められるアルビレオ、ラナのふたり。もう駄目か、そう思われた時に飛び込んでくるレガレクス。めちゃくちゃ強いな! ほんと、これ、かっこいい。こういうぐっと見せるシチュエーション、ほんとうまいなって思わされます。こりゃあ、次回はレガレクスの見せ場となりそうですね。
『江波くんは生きるのがつらい』。清澄さん、やっばい! 彼女、作ってみない? 思いがけないこといわれて思考がとまってしまう江波ですが、これ、私と君、つきあってみない? とかじゃないんですよね。ないんですよ。女子と関わり持てば、江波はきっと苦しむだろう。その姿を見たいと思ってるんだから、この人やっぱりやばい。江波の小説にきっと役立つはずだよ、なんていって、本心ではそんなこと全然思っていない。江波の青臭い言動、痛い思い込み、それを糊塗しようとする自尊心。それらのないまぜになったふるまいにときめき覚える清澄。かわいい! 私に甘えてるってことじゃん! そんなこと思ってきゅんときてるの、それ恋とかじゃないよね? なんというか、小動物見て感じるもの、いや違うなあ、もっとこうなんか、近寄ったり触れあったりはしたくないんだけど、その奇妙な動作が面白い、癖になる、そんな感じで江波のこと捉えてるよね? ほんと、やばい。清澄、やばい。江波、逃げて! ほんと、江波、とんでもないのにとっつかまって、わりと人生の大ピンチじゃないのかな、これ?
- 『まんがタイムきららフォワード』第12巻第8号(2018年8月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿