『まんがタイムきらら』2016年10月号、昨日の続きです。
『箱入りドロップス』は凝った表現してきましたね。文化祭での雫と陽一。クラスの出し物、焼きそばの店の描写からはじまり、そしてふたりで校内をめぐる。その情景、陽一が思っていること、雫が思っていることが、左右ふたつの四コマでもって併置して描かれる。陽一の雫に向けた視線。そして雫の内面に渦巻いていた気持ち。自分はまるでいたらないと泣いてしまった雫に、思いがけず告白することになってしまった陽一の、けれどそうした言葉が出るだけの前提はもうすでに描かれていて、けれどそれは雫にとっては唐突で、さあ、雫、どう出る。ああ! けれど、本当、雫は陽一にどのように答えるのだろう。この言葉を受け止めて、雫はどのような答を出すのだろう。ふたりの関係、正念場です。
『泣きむしストラテジー』、面白いですね。クレアが牡丹を泣かせます。そんな話なんだけど、それでクレアがつくしに協力頼んだりしてるんですけど、この導入すぎたら、泣かせるどうこう、すっとんでしまってるんですよ。調理実習です。クレアは牡丹を泣かせるために香辛料たくさん投入する? そんな作戦たててて、あかん、進歩してない。望みをかけた玉ねぎみじん切りも、先生が事前にレンジでチンしておいてくれたおかげで涙が出ない! と、ここからですよ。牡丹、こんなにあかん人なのか! 不器用とはいうけど、ほどがあります。包丁使わせるとまな板まで深く切り込む勢い。卵は握り潰すし、ハンバーグは全力投球。けど、ほんと、そんな牡丹の素直な感謝の気持ち、それが実に素敵なエピソードでした。そして二本立て二本目。どうして牡丹が今みたいな状況に陥ったのか、そのはじまりが語られて、ああ牡丹、最初はなんとかしたいと思っていたんだ。入学初日から気合いたっぷり。見た目にも美しい牡丹は、羨望の眼差しでもって迎えられるのだけど、その侠気でもって無礼な男ぶっとばして、女子からはなおも憧れの眼差しを向けられる。って、いや、そうでもないね、引いてる人もいるね! かくして入学初日の失敗をずっとひきずってきた牡丹。でも今はもう大丈夫っていう。ええ、ほんと、クレアの牡丹を泣かせるというミッション。むしろ喜ばせてばかりいる今のところ、達成の見込み薄っぽいですね。
『ぽんこつヒーローアイリーン』。アイリーン、公園でダンボール生活してるのか。先が見えない状況で、うかつに宿には泊まれない。お金がないのかな? 蓄えが少なくて不安なのかな? 上司はちゃんと考えてくれてるみたいですけど、むしろアイリーンが心配性みたいに見えますね。そんなアイリーンのもとにやってきたラブリーメロン。ベビーカステラもらったりして、でもこの生活状況、見られるの、知られるの、恥ずかしいんだな。わかるわ、プライド傷つくよな。そんなアイリーン、ラブリーメロンの誘いにのって、公園の掃除を頑張ります。いろいろ失敗しながらも頑張って、こうしたヒーローのボランティア活動、結構なやりました感ありますよね。ミッションコンプリート。あの描かれかたがいい。そしてラーメン屋へと赴いて、お、アイリーン、はじめてのラーメン? ほんと、失敗しながらもいろいろ学んでいく、経験していく、そうしたところいいですよね。それで、ラーメンでの経験をティラミスに応用して失敗する。散ってる粉の描写、めちゃくちゃ面白かったですよ。
『ヒトより私はそれが好き!』。皆でプールにいきまして、楽しく遊んでるのかと思ったら、どこかおかしい、イヨリ、元気がない。生徒相談係の廃止がきいているんですね。しかしなぜイヨリはこんなにも相談係に入れ込んでいるのか。それが語られて、ああ、子供の頃の思い出。迷子になってしまったイヨリを、相談係の先輩たちが助けてくれたんだ。大きくなったらウチの高校入ろうね。その約束をイヨリは果たして、その助けてくれた気持ちを大切にしたまま、相談係を引き継いだっていうんですね。ああ、それ聞いて綴月とミュエル、芽々がやる気出しまして、なんとか廃止を撤回させよう。相談係を守ろうという。プールに飛び込んで、ガンガン注意されてるのがおかしいんですが、こうでもしないと収まらない気持ちがあったんでしょうね。ええ、青春じゃないですか。ほんと、この子らの頑張り、むくわれて欲しいって思いましたよ。
- 『まんがタイムきらら』第14巻第10号(2016年10月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿