『まんがタイムオリジナル』2025年5月号、発売されました。表紙は『かつては最強無敵の勇者様~姫には内緒のレベルダウン生活~』。鍋の蓋をあけるステラが表紙を飾ります。わずかに不安そうな表情。けれど同時に紅潮した頬が期待をも感じさせて、これはステラの手料理なのでしょうか。ジュローのために作った。はたしてうまくできただろうか。そんな感情がうかがえるのですね。この他に『もどかしコンプレックス』、『小森さんは断れない!』、どうにも不器用な夫婦でして。』、そして『元アイドルのハロー!ワーク』のカットがございます。
今月は新連載が1本です。
『もどかしコンプレックス』
ネットでつながるコミュニケーションは不思議なもので、相手の背景もなにも知らないままに親しくなっていく。ひとつのテーマや興味がきっかけとなって集まって、誰ともわからぬまま、そのハンドルや発言内容からその人を知っていく。
この漫画では、児童向けアニメ『きずなフレンズ』が好きという同士が集まってのコミュニケーションが描かれて、ボイスチャットでアニメへの愛を語りあう。主人公のmochiは好きをイラストとしても公表していて、一緒に語りあう仲の43はアニメだけでなくmochiのイラストのファンでもあるのですね。
そんなふたりが、実際に会うことになりました。リアルイベント。遊園地で開かれる、当然キッズ向けのイベントだけど、そこにおもむくことになったmochiと43。はたして43はmochiの想像するとおりの女子なのか。期待と不安を胸に待つmochiの前に現れたのは、予想外に無口な女子。でもそんな彼女がアニメのキャラ着ぐるみを見てもらした声に、まぎれもない43と実感したmochiのときめき。
ああ、ここにこのふたりの出会いがなったのですね。この関係、いかに深まろうというのか。興味津々の導入です。
『かつては最強無敵の勇者様~姫には内緒のレベルダウン生活~』
実家、すなわち王城に顔を出したジュローとステラです。ジュローの人となりを知るために共同生活を送るステラ。その中間報告でも求めるのかと思いきや、父王アルタイルはむしろ親馬鹿の側面をあらわにしてきて、娘は楽しくすごしているか、しあわせに暮らしているか、身の心配をするあまり深酒しちゃってなんてこといっちゃってる。
なんだかめんどくさいおっさんだなあと思わせてからの、ジュローを他国への牽制、安全保障の手段として用いることを示唆してみせるなど、いやもう剣呑剣呑。ジュローののらりくらりとかわしてみせる様もまた、ただ便利に使われてたまるまいとする意識、ステラの平穏を守るために感情を抑え理性でもってことを進めようとする、ジュローのしたたかで同時に思いやりある人柄感じさせるものでした。
と、こうした舌戦、腹と腹の探りあいをしてみせた後にですよ、あのゴージャスセーターが出てくるのね! いやあ、びっくりだ。これがここでのハイセンスなのですね。ええ、ふたり揃いでペアルック決めた姿、見せてくださいよ。来月には見られたりするのかな? そりゃもう見られますよね!?
『うちこもり妻はコスプレ配信者』
公式コスプレイヤーの依頼に動揺するいぶき。けれどすぐに落ちついて、慣れてるのかな? と思ったらそうじゃないんだ。はじめての経験。まさか我が身にこんなことが起ころうとは。驚き、感慨とともに振り返る自分のコスプレ人生。それは小学生時分にまでさかのぼり、そしてそこには今の夫、駿との関係が抜き難くあったというのですね。
駿が中学にあがって、自分と遊んでくれる時間が減ってしまった。ひとり手持ち無沙汰に過ごすいぶきが本屋で見つけた一冊の雑誌。知ってるアニメキャラのコスプレ表紙が気になって、手にしてみればそこはめくるめく世界。付録の型紙に、わからないながらもミシンを使い、はじめて作ったコスプレ衣装。そいつを駿がほめてくれて、自分で嬉しい、評価されたことも嬉しい、どんどんコスプレの世界にハマりこんでいったというんですね。
そんないぶきの向きと不向き。仕事したくない、仕事に追われてやりたいことができない。そうしたもどかしさの先にあった駿との結婚。ああ、いぶきといぶきの未来を大切にしてくれる人がいてくれた。そしてその決断の先にあったのが、この公式コスプレイヤーのオファーだったのですね。
このオファーがいぶきの今後を変えていくのか。彼女の世界をより輝かしいものとしてくれるのか。それはわからぬながらも、間違いなくいぶきになんらかの影響をおよぼすだろう。その影響、そして変化するものはあるのか。いやもう楽しみですね。いぶきの飛躍、あったりするのかな。
- 『まんがタイムオリジナル』第44巻第4号(2025年4月号)
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