2024年12月22日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2025年2月号

 『まんがタイムきららMAX』2025年2月号、昨日の続きです。

『プロジェクト・ユリフォーミング』

こんなかたちで、イオリとルナの気持ちが相通ずることになろうとは。

学園祭でメイドをやることになったイオリたち。しかしルナは当然のように反発して、そして当然のようにリリーが余計なことをするというのが様式美。今回のリリーの介入は、メイドを発端とした百合展開を期待してのもの。強制的にルナにメイド衣装を着せて、でもリリーの偏った知識が尋常ではないミニ丈として実現されてしまい、こんなの恥ずかしくて着て歩けるか! からの、クマの着ぐるみ強奪に進むというの。いくらなんでも予想しえない流れで、でもこれがルナとイオリ、ふたりの素直な気持ちを交換しあうきっかけになるというのですから、もうほんとミラクルでありました。

着ぐるみのせいで、ルナもイオリも互いが誰かわからない。前が見えにくいルナを介助するイオリ。この頼り頼られる状況が作用したのか、あるいはイオリからすれば下級生と勘違いしたことが功を奏したか、いつも以上に親身になったイオリに本心を吐露するルナですよ。そんなルナに対し、また素直な気持ちで応えるイオリ。この雰囲気よ。普段は素直になれず、ムキになって、話しあえないふたりが、こうして気持ちを通いあわせる。ああ、方向性は違えども、リリーの作戦、見事に当たった瞬間! しかも、リリーがちゃんとこのふたりに、相手が誰かわからせるというんですからね。ええ、なんだかんだで通じあってるんだよ、このふたり! ってのが見事明らかにされたエピソード。とてもよかったのです。

『ななどなどなど』

うわあ、こんな展開になろうだなんて。発端は、萌をひとりじめしたい女の子の暴挙でした。萌に詰め寄り、萌の特別になりたいって、手まであげちゃって、こうした修羅場が萌にるるとの関係を再考させることになってしまった? 自分ならこんな風にるるに詰め寄ったりしない。そう思うも、優子からは同じ独占欲がベースにあるといわれちゃって、ああ普段の萌ならあんなこと絶対いわないし、しないよね、ってことやらかしてしまった。

ほんと、これどうなるのでしょう。

萌が気づいてしまった。るるに接近するために小町との関係を利用した。るるからは友達の友達として一線引かれてしまっている。実のところは、るるからすれば萌に気を使ってもらっていると思って、すまないなあ、申し訳ないなあ、でももう迷惑はかけたくないんだ、みたいなこと思われてるんですけど、でもそれはやっぱり距離だよね。高山萌の重荷になりたくないという思いが、るるに独り立ちを決意させ、萌離れを、萌以外の新しい友達との関係を切り開いていこうという意欲に繋がってしまって、ああ、すべてが萌には逆風なんじゃないですか。

るるの本心に触れて、萌、どうしようもなく気持ちがくじけてしまったのか。るるに接近するのは、全部自分のるるに対する好きの気持ちがあるからだって、るるの特別になりたいんだって、ありのまま気持ちを伝えてしまって、そうしたらまさかの玉砕。

小町に届く萌からの報告いたましく、ああ、この夏休み、彼女らはどう過ごすことになったのか。そして夏休みが明けてから、どのような日々を送ることになるというのか。本当に、重く、苦しい、コミュニケーション巧者だっただけに萌には相当な痛手となる、そんな夏になりそうです。

『へるしーへありーすけありー』

くそう、知ってることが説明されているだけなのに、面白いなあ。いやほんと面白かったですよ。

日本画科で学んでいる七草たち。皆が日本画室に集まって、いつになく気持ちを高めているんです。なにごと? なんか大会にでも出るの? いや、違うんですね。画材の準備、和紙にドーサ引きをするというんです。さらにいえば水張り。これがそうとうに大変な作業で、仲間と一緒に数人がかりで取り組むことになる。

いわば今回はこの段取りが丹念に描かれ、説明された。面白くてためになる! 学習まんが的ノリとでもいったらいいのでしょうか、めちゃくちゃ面白かった。さらにここに、ヨモギが七草のこと、ちゃんとした大学生だったんだって見直したり、仲間がいないぼっちだとでかい絵を描くこともままならぬのかと絶望したりと、気持ちの浮き沈みがたびたびあっておかしいんですよ。

もう彼女らからしたら慣れた作業なんだと思います。文句もたびたびあるけれど、作業じたいは淡々と進んで、そしてきれいに張られた紙の美しさに感動するラスト。

ああ、これが七草たちの日常の一喜一憂なんだなあって、一緒になって嬉しくなるような思いのしたワンシーン。皆の活動を身近に感じるいいエピソードでした。

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