2024年12月9日月曜日

『まんがタイムきらら』2025年1月号

 『まんがタイムきらら』2025年1月号、発売されました。表紙は『ほうかごバスケット』。けいとつばさ、ふたりが登場です。背中あわせにして立つふたり、振り返るようにして視線と視線をからませるその距離感がとてもいい。くちもとには白い息。ふたり白黒のコート、マフラーも色合い反転させたの巻いて、このコントラストも印象的。ふたり違って、けれど確かなつながりがあるとふたりで支えあうボールが語っているかのようなイラストでありますよ。

今月は新規ゲストが6本です。

『運命のヤマダダダダダダダダダダ』

思いもしない展開してみせましたね!? いやね、あなたの運命の相手は山田。占い師に告げられてその気になった渡鳥千鶴がですよ、入学式で出会った少女が山田わかな。自分のことをいろいろと気にかけてくれる山田わかなに運命を感じる千鳥を見て、ふーん、なるほどね? そういうことね? わかったつもりになっていたらですよ、まさかこんなことってある?

新しいクラスの皆が自己紹介していく場面ですよ。なんと、のっけから山田甘音にはじまって、そこからずっと山田山田と続いていく。そして問題の山田わかなに辿りつき、最後のひとりが渡鳥千鶴!

で、これで終わらせない。担任教師もまた山田!

ここまで山田で揃えてみせて、さあ千鶴の運命の相手やいかに!? ほんと、いったいなにを見せられるのか。なんなら36人の山田とすべて運命結んでしまうがいいのです。

『異常探偵灰谷まふる』

物騒だな、灰谷まふる。人死にが出るのを心待ちにしていた。その心は、幼少期より嗜み続けた探偵ごっこ。いつまでたってもまふるの探偵ごっこは終わることなく、ついには自身を本物の探偵と思い込むにいたった、幼なじみにして助手をつとめる山岡ひさのにして異常と認めざるを得ない本物なのだそう。

そんなまひるが遭遇した、吹雪の山荘での殺人事件。完全に孤立した環境での密室殺人に探偵まふるは推理を開始するが、あれも駄目、これも駄目、まったく手掛かりのない状況が続いた先に、まひるが辿りつく真相は!?

いやもう、まさかこんな決着するだなんて、まったくの予想外。うわあ、すごい展開してみせました。本当、こいつはしたたか驚かされましたよ。

『にーとぐるーヴ』

高校時代は熱心にバンド活動していたのに、卒業後、大学で挫折。退学して以来、ダラダラと怠惰に日々を過ごすようになったユヅキ。今のこの生活のままじゃいけないとはわかってる。けれど、なにをどうすればいいのかがわからない。いっそ遠くにいきたいと、そう思ったときに再会したのが、かつてライブハウスで出会ったミア。

そしてこの出会いがユヅキの人生を大きく変えそうなんですね。

ミアもまたドロップアウト組? 勤めた会社のあまりのブラックさに、当然適応できず社会不信とともに退社したという。そんなミアの目的は、ここ鹿児島から北海道まで日本縦断ライブ旅。

その旅にユヅキを誘ったミア。こうしてギターとボーカルふたりの旅がはじまる。明日の見えないふたりの旅路。その先に待つものはなんなのか、ちょっとやけっぱちな行動力が見物でありますね。

『制御不能なカリスマ』

法条楓は名家のお嬢様。文武両道、人望も厚い生徒会長。しかしその行動は天然で、副会長卯月はるかは楓の尊厳と皆の憧れを守るべく、陰になり日向になり会長のサポートに全力を尽くしているのです。

そんなはるかの活動の甲斐あって、楓のカリスマは今日も守られ、けれどついにはるかがダウン。風邪と診断され、学校を欠席することになったのですね。

はたして楓は大丈夫なのか。心配の絶えないはるかですが、そんなはるかを見舞ってくれた楓。いろいろポンコツであぶなっかしいのは変わらぬものの、それでも自分のことを大切にしてくれている。その一生懸命さがはるかには嬉しいというそのラスト。

ええ、ふたり、いい友情を育んでいるのですね。

『厨二病のエチュード』

とりたてて長所といえるものがない小宮七瀬は厨二病。とはいえ、外聞を気にするだけの分別がある。ゆえにこっそり隠れて厨二病的自分を演じて楽しんでいたところ、なんと人に見られてしまった!

その上、自分の厨二病的世界観に参加してくれたその人は、演劇部の五十嵐円華。七瀬に演劇部に入るようお願いしてきて、最初は断った七瀬も、円華の情熱にほだされ、体験だけをしてみることに。

そこで七瀬の経験したこと。ふと正気に返った七瀬のために、円華が見せてくれた演技の手本。その演技にこそ魅せられて、ふと浮かべた憧れの表情。その表情が欲しかったといわれて七瀬のくだした決断は、演劇部への入部。この判断が明日の七瀬を変えるかもしれない。そう思わせる展開に、また円華とのつながりなども興味深いと感じさせてくれる掌編でした。

『オカルトマニア』

オカルト部の少女たち。オカルトに興味津々? 怪異への遭遇に憧れている? と思わせて、部長の忌部は目の前でおきたポルターガイストを静電気とごまかすほどに怖がりときている。

オカルト部には向かないんじゃないか? と思わせて、わりと無謀に人が消えると噂の空き地に草かきわけて入っていったりする度胸の持ち主。しかも謎の存在、少女の見た目を持ちながら、触手を生やしたり、さらには捕食した相手の記憶を共有するバケモノを捕獲。早々にリリースすべきでは? そう思いながらも、ずっとその子と一緒にいるオカルト部。やっぱ、なんらか肝の座ったところありますよね。

そんな彼女らの怪異探し。なかなかうまくはいかなくて、それどころか休日に普通に遊園地を楽しんでしまう始末だというのですが、そんな彼女らがついに出会った怪異中の怪異。UFOから降り立ったのは、自分たちとそっくりな3人組!

かくしてドッペルゲンガーに出会うと死ぬという伝承の真実に触れた3人。生還を果たしたのかどうなのか、なんともわからぬラスト。でもこの子たちならなんだか大丈夫そうな気もするのです。

0 件のコメント: