『まんがタイムきららフォワード』2025年2月号、一昨日の続きです。
『魔法使いロゼの佐渡ライフ』
ロゼが自分の身の上を語ります。もとの世界での自分の暮らし。王族のひとり、たぐいまれな強い魔力を持った王女であったことをはじめて明かして、そしてその魔力が招いた悲劇についても……。
母を亡くした原因が自分の魔力であったこと。それを知れば、紗菜が魔力酔に倒れたときの焦りようも理解できる。自分がために大切な人を失って、そしてまたこの遠い地で大切な人を失いそうになった。そうしたロゼの抱える心の傷を紗菜が、麻衣が、そして我々も知ることとなって、だからこそ魔力酔を克服したロゼの安堵する気持ち、元の世界ではずっと皆から排斥されてきたロゼを受け入れてくれた紗菜たち佐渡の土地の人々への思いの深さもわかるように思われたのですね。
すべてを話して、それでも受け入れてくれた紗菜、麻衣のこと。どれほどにその気持ちが嬉しかったろうか。ええ、雨降って地固まるでしょうか。そしてここからいよいよはじまる、ロゼの母との約束を果たす日々。ああ、この土地でロゼの人生の彩られること、それがとても喜ばしく思われます。
『球詠』
神川・上里・長瀞連合チームを相手に、2点リードを許した新越谷。普通に考えれば相手になるはずもないシード校。それでも新越谷なら勝てる目があると踏んだ連合の彼女ら。策を講じて、仲間を集めて、そして当たった先行逃げ切りの作戦!
さあ、ここからどう逃げ切るか。というところで、新越谷が打って出る。慣れない投球にも対応しはじめ、さらには小町の気迫のストレート! これが完全に試合の流れを変えて、ああここからは新越谷の時間でありましょうか。
どんどん余裕を失っていく連合チーム。のしかかってくるプレッシャーに調子を崩しはじめ、新越谷打線に翻弄される。そしてついに1点を返されてしまい、あと1点取られたら同点、からの逆転までありえる!
この、策で勝ってきた新越谷に策で挑み、そして策が実力に押し潰される流れ。痛ましくも、またおもしろいと思える。そこにあるスリルと逆転の妙味。本当に魅せる漫画です。
『花唄メモワール』
今回は特別編。だからまだ梅は大正に暮らしていますよ。
アイリスとともにおつかいに出た梅。砂糖を買うのが目的なのですが、砂糖問屋で出会ったのがアイリスを思わせる金髪のお嬢さん。ええ、この人、アイリスの知り合い。ヴェロニカお姉さまですよね。ヴェロニカお姉さまに梅お姉さま、ふたりのお姉さまに挟まれてあわあわするアイリスがかわいい。そしてここに加わるのが和奏さん。またも知りあいが加わって、この人間関係のおもしろさよ。でもって、これからこの4人でドーナツを作ることになるのですね。
真剣そのものの和奏がいいですよね。またやる気いっぱいのアイリスもかわいい。伸ばした生地を茶碗とお猪口でドーナツのかたちに抜いていく。こうした作業とともに交されるやりとりがまた楽しくて、親しみ感じさせるところもとてもいい。そしてもう一品のオレンヂエード。作る楽しさと、食べる楽しみと、親しさあふれる時間がとても素敵でした。さらには、このしあわせを前に涙を流すアイリスです。この子のこうした素直な気持ちに触れれば、大正を離れてしまった梅のこと、残されたアイリスのこと、いろいろ思わないではいられなかったのですね。
今回のラスト、和奏がドーナツづくりをがんばってた理由が描かれる。ああ、いいお話でしたね。気持ちの機微に触れるよさがある。ああ、この楽しい一時よ、長く続いてほしいと願う気持ちのしたのです。
- 『まんがタイムきららフォワード』第19巻第2号(2025年2月号)
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