『まんがタイムきららキャラット』2023年1月号、発売されました。表紙は『またぞろ』。冬の寒さ感じさせる表紙。コートに口元まで覆ったマフラー。そして手には、缶のコーンスープです。指先がほのかに赤くなっているのがまた寒さを感じさせてくれますね。冬の朝? まばゆい光に包まれた、そのまばゆさが逆に冬の寒さ、その厳しさを痛みをともに感じさせるようにも思わせて、一種鮮烈な表紙であります。
今月は新規ゲストが1本です。
『のけもののまち』
電車で寝過ごしてしまい、目覚めたらそこは知らない土地。獣耳を生やしたハンターが猟銃を手に立ちはだかって、いったいなにごと? ケモミミにしっぽ、これはコスプレかなにかかと、それらをもふもふやってみれば、どうにも本物っぽい! と、実際それは本物で、この過剰なスキンシップゆえに痴漢と思われ捕縛されてしまうというのですね。
この捕縛された人、煎本るい。17歳の高校生。聞いたこともない、どってこ山のふもととやらに流れついて、ここの住人は狼の耳に狐の耳にと、半人半獣とまではいわないけれど、けもの要素がついてくる。彼らがいうには、るいの暮らしてきた土地、埼玉については知らないという。さらには日本もわからない。スマートフォンを取り出しても圏外と、まったくもって異世界にきてしまったようなのですね。
狼耳のネルの家にごやっかいになり、そして狐耳のルフナの営む喫茶店にてバイトのヘルプ。この店はコーヒーがまずいと評判で、客も店員も怖れるレベル!? そこで、普通にコーヒーをいれられるるいのスキルが役立って、かくして継続して働くことに?
いずれ日本に、埼玉に帰ることのできるまで、ネルの家、ルフナの店にいさせてもらうこととなって、いわば異世界喫茶店繁盛記。ねるのコーヒー、評判になったりするのでしょうか。だとしたら、ちょっとした人気の店員になりますね。
『ばっどがーる』
るー先輩、大活躍だよ。
試験勉強をしようと図書室にいった優たち。そこでるーと遭遇して、なんの因果か皆で一緒に勉強することになりました。
ここで垣間見える人間関係。亜鳥の妹、水花と清の接点はわかったものの、なんか弱味まで握られてませんか!? というか非常に成績が悪いということが清の発言きっかけに皆に知れわたってしまって、針のむしろでは、水花さん!?
ここからの勉強の様子が面白かったんですよ。るー直伝の勉強法。問題に自分自身をぶちこんで勉強する。歴史なら自分がその場に居合せたかのように。で、ここまではまあわかるとして、資本主義、社会主義にも自分自身を盛り込んでいくんだ! 斬新、けれどわかりやすい? 少なくともインパクトあるな。このなにをるーに置き換えるかというポイントが、覚える勘所というのを見つける訓練になってるように思ったのですよ。
さて、悪い事には苦手なものを代入しよう。ここからの展開、まさかの清が雷苦手と判明して、机の下に逃げ込むほど!?
意外な苦手が判明して次回に続く! これ、清の知られざる側面が! みたいな展開と思っていいんでしょうか!?
『mono』
とことんついてない春乃一行。さつきの提案で富士宮口五合目に向かっているその理由というのが、雲の様子を確認するためだったというのですね。見事に晴れた五合目。ここから眼下を見渡せば、そこは一面の雲海。
ということは、下からは雲に覆われて富士山が見えないってことだよ!
かくして春乃の巡る富士山展望スポットは全滅とあいなって、大渕茶園からも富士は見えず、田子の浦からも見えず、とにかくイメージで補うしかないという、前回に引き続きシュールな展開が次々と繰り広げられていくというのですね。
でも今回のクライマックスは海だったと思う。山梨県民にとって海への憧れはいかほどなのか。海が近づくとそわそわとして、海が見えれば興奮して、海だ、船だ、潮のにおいだと、とにもかくにも大騒ぎ。桜子までもがここまで興奮するのだから相当です。
この後も富士山スポットを巡っていくのですが、もうこれ、雲の向こうで見えないってのを確認しにいってるとしか思えない。薩埵峠にいたっては、数日前の雨で道が崩落、展望台にも登れない。これ、春乃の裏目を見る旅になってしまってないですか!?
いやほんと、この思ったようにいかない取材の情景。作者の実体験だったりするんでしょうか。いずれにしても、春乃の仕事、どんな風になるんでしょう。その仕上がりが心配ですよね。
- 『まんがタイムきららキャラット』第19巻第1号(2023年1月号)
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