2019年2月23日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2019年4月号

 『まんがタイムきららフォワード』2019年4月号、発売されました。表紙は『がっこうぐらし!』。ああ、くるみが元気ですよ。肩にシャベルをかつぎましてね、いい笑顔しているの。他の三人もいい表情、とはいうけれど、これ、汚れた車を中心にして、ええ、大変な状況の中、わずか垣間見ることのできた穏やかな瞬間、そんな感じもさせますね。実写映画絶賛上映中。なかなか、いい感触だって聞きますね。これ、映画に寄せたイラストってことでいいのかな?

『はかないカノジョ』、ゲストです。いや、もうびっくりした。はかないって、パンツをはかないなのか! パンツをはかない父母のもとに生まれ、自身もそのようにして育ってきた女子。ただはかないだけでなく、はくと気分が悪くなるっていうんだ。そんな彼女のことを好きになってしまった男子が、彼女のパンツに慣れるための買い物にまずはつきあいますという話。なんだろう、すごく変化球だな。というか、男子視点で話が進むんだけど、男子ー、女子下着に詳しくてひく! でも、これ、彼女のために頑張って調べたんだろうなあと思うと、ちょっと頭が下がるよねー。お話としてはコンパクト。落ち着くところに、落ち着くべく、落ち着くように落ち着いた、そんな展開ではありますが、こうしたショートのボーイ・ミーツ・ガールものにはよくマッチしていたと思います。

『コーヒーは魔法のように』、ゲストです。お姉ちゃんと離れてからコーヒーがおいしくいれられない。そんな悩み持った女の子が、学校で出会った先輩を手助けすることで、なにが足りなかったのかと気づくお話。慣れないドリップ式にお困りだろうと、手伝い申し出て、丁寧に、その先輩のためにと思いをこめて抽出するコーヒーの、自身思いがけなくおいしいと思えたその味に、むしろ先輩への気持ちの開く、そうした要素を感じたのでした。ガール・ミーツ・ガールですね。怖いと思っていた生徒会長の、ちょっと弱気だったりほころぶような笑顔だったり、それを一人占めしちゃいたい。主人公の女の子の見せる、ちょっとした欲張り、これもよかったですね。

『がっこうぐらし!』。構成、すごいよね。当初、学校に立て籠っていた彼女らが活路を求めて学外へと打って出た。いく先々での出会いや経験を通じ得られたこと。それが指し示す新たな行き先、それがかつて暮らした学校であるというんですね。ああ、はじまりの地より出て、ふたたびはじまりの地へと戻る。古典的構成といってよいのでしょうか。しかし、このチャレンジは彼女らにとって華々しい凱旋とはない得ない — 。かすかな希望にすがる、そんな心細さと、しかしこの選択こそが彼女らにとっての活路となるだろうという確信。この希望を彼女らに残した人の、見せようとしなかった姿、けれど見せなかったからこそ際立ったものが重く私の心にあとを残して、つらい……。様々な思いが交錯しますね。ただでさえつらい話です。けれど、この局面で彼女らに希望がもたらされたこと、心強くさえ思えた。彼女らの目に戻った光、それが救いと思えたのでした。

ゆるキャン△』。これ、ほんと不思議な漫画ですよ。景色、情景、その描写でもって多くを物語ろうとして、それが見事に成功してる。独特のパースペクティブでもって描かれた景色の中に、ぽつりと景色の一部みたいにして描きこまれる登場人物。それが、彼らを取り巻く世界とその広がりを感じさせて、なんでか感動的なんだよな。これは以前からそう、最初からそう。けれど、今回の皆連れ立って歩く情景、先生の運転する車と、それを追うリンのバイク。すごいよなあ。これ、人物だけじゃなく、情景、それもまた物語る役割りを担って人懐っこい。ただの背景にとどまらない、ただ紹介されるだけの景勝地でさえないっていうのだから、たいしたものだと思います。この物語る情景と、時にコミカルでチャーミングな人たちと、両者がぐいぐいと手を引いてくれる。もう、たまらなく好きですよ。

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