『まんがタイムきらら』2019年3月号、昨日の続きです。
『夢見る!ルネサンス』。なんなんだろうなあ、よくわからないんだけどこの漫画、好きなんですよ。細かいこといったら、ルネサンス・フィレンツェの時代背景とか様式とか、そういうのがリーチャにどれだけ反映されてるのか、みたいなことになるのかも知れないけど、それが不思議と気にならない。というか、気にする気にもならない。ただただ素直でいたいけなリーチャの現代日本におけるほのぼの生活、そいつをながめて、なんかうれしくなって、これ、あれか? 大泉逸郎の孫的ななにかか? だとしてもいいなあ、そういうのもいいかも知れない。今回の、町に出たリーチャの姿、ルンルン歌って、園児と一緒に横断歩道わたって、猫の絵描いて、犬にほえられて、ってそれがな、いいのよ。うん、孫的ななにかでいいのかも知れませんね。学校でのことも、リーチャが噂になったり、レンの誤解がさらに広がったりするのね、次のなにか展開に繋がったりもしそうだけど、しないかも知れない。そのふんわりさ、悪くないんですよ。そうそう、ラストに現れた女の子。この子はこのほんわかな状況に一石投じるのでしょうか? いや、同じくほんわかに取り込まれるのかも。これ、どちらでもいいなあ。楽しみ。
『うらら迷路帖』まさに、クライマックスに向けて昇っていく! そんな展開が熱いです。目的の場所が判明し、いざ皆で突破せんと赴けば、そこはかつて呪いに落とされたうららたちがお化けとなってたちはだかる危険の地。弟子たちが前へ進めるようにと、身を張って道を作る師匠、先輩たちの奮闘に、娘のため、そしてかつての友のために身を砕かんばかりの紺の母。ああ、物語はここからさらに高まりを見せて、若いうららたちの過去積み重ねてきた研鑽と、そして未来へ向かわんとする意思が自身の運命を切り開いていくその様! 胸に押し寄せるようにして感情が溢れて、もう大変でした。コミカルな描写も挟みつつ、皆それぞれに凛々しさたたえたいい表情を見せてくれて、もうたまらなかった。素晴しかったです。
『さかさまロリポップ』。面白い試みしてますね。二日連続の遊園地、というのだけど、その見せ方、テンポが四コマのそれから逸脱して、途中途中に挟まれる横長のコマ、お好きなタイミングでお読みいただけますというその仕様。事態の同時性を現したり、また本来なら4コマ目が担う一旦の落着、一度落ち着いて次へと向かう踊り場のような効果を持ったりと、自由だなあ。でも、こうした自由さ、いいと思う。四コマのスタイルを重視する人もいるとは思うけれど、こうした試みがまた開くものもあるでしょう。4コマごとに踊り場がくるのではなく、6コマ目に落ちたり、また横長コマが映像でいうところのアイキャッチ的なポーズをかけてきたりと、一定のリズムに寄らない変拍子。するするとひっかりなく続いたと思えば、ポーズ、さらに大きなポーズに続いて、またするするすると流れていくその流れのかたわらにひょっこりと顔を出すのが並進するもうひとつの時間軸。この一定でない進行が不思議な抑揚生み出して、オーソドックスな四コマとも違う、コマ割りの漫画ともまた違う、独特の時間感覚が現れていた。悪くなかった。横長コマのタイミングを読者の自由にまかせるというのも面白かった。お話としては極めてほのぼのなんだけれど、久しぶりに興奮しました。
- 『まんがタイムきらら』第17巻第3号(2019年3月号)
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