『まんがタイムきららキャラット』2018年5月号、一昨日の続きです。
『花降り宿のやどかり乙女』。六花の実家、民宿ちとせに皆で宿泊、里帰り。ところがいくら呼んでも返事はなく、入り口も鍵がかかってて……。ここで、六花、まさか本当に潰れたって心配するのね。そうか、娘ならではの辛辣さ? そして実子ならではの強行手段。この黒りっつん、好みですよ。六花の幼なじみ、橘紗千が母親と間違われたり、しかもサチ、のりのりで、いやほんと、それでいいんですか? そして六花の母、蓮子。皆の感想で、わかめじゃないってのがおかしくって、そうだよな、なんか似てないなって思ったんだよ。わかめだ。わかめ分がないんだ。今回描かれたいろいろ、蓮子の性格をよく伝えてましたね。娘から聞いてた帰ってくる日、一日間違えてるとか、雪たちの母、月子からの年賀状、こちらからは返してないとかね、こういう大雑把というか豪快な人なんだなってのがよくわかる。けど、ちょっと六花は似てないね、そう思ってたら、あー、そうでもないんだ。最後の最後、怒った六花と雪のタッグ。いやもう、この母に対抗すべく身につけたのが、この黒りっつんなわけですね。
『ふじょ子とユリ子』。ユリ子と一緒の帰宅を断わるふじょ子。なにか用事があるのかと思えば、三神と一緒に帰っているの見ちゃって、ユリ子、穏かじゃない。と思ったら、岡本さんに確保されとるがな。岡本さん、ふじょ子、三神のもとにユリ子を向かわせたくない理由がある模様。あの手この手でユリ子の足止めはかるんだけど、お宝写真で釣るとかね、結果的にユリ子、得してるよね。決して損ばかりさせないというの、なんだかフェアでいい感じでありました。いや、交渉材料に写真使われてるふじょ子にとってフェアかどうかはわからんのですが。ふじょ子たち、ユリ子の誕生日プレゼントを買いにいってたんですね。こうした話は実に定番ではあるんですけど、ふじょ子のチョイスが、ユリ子の好み優先とかじゃまったくないっていうのがふじょ子らしいというか、けどそれでもユリ子は嬉しそうだからいいのか? さすがに気の毒そうにしてる岡本さんがおかしかったですよ。
『すわっぷ⇔すわっぷ』。前回のあゆとのキス、後を引いてしまっていたんですか。夏子に嫌われたんじゃないかって落ち込んでる春子。もちろんそんなことは全然ないんだけど、むしろ春子の体であゆとキスしてしまったことを申し訳なく思ってる。この気持ちのすれ違い。ええ、ただの友人とか、そういうのじゃもうなくなっちゃってますよね。今回、悩み落ち込む夏子の相談に乗る先生見ましてね、なるほど、年長者で、入れ替わりの理解者がいるということ、こういう展開にも持ち込めるわけだなって、うんうんうなずきながら読みましたよ。この先生との対話の中で、春子の体でよかった、夏子のままでするよりよかったと先生がいうのね、これどうも最初、解釈を間違えていて、もしかしてふたりの入れ替わり、夏子の体に秘密があるっていうことなのかなって、春子でのキスじゃ入れ替わらないんじゃないかなって、そう思ったんですね。でも、そうじゃないみたい? むしろ春子の気持ちを問題にしていたみたいです。そうそう、あゆとは入れ替わらなかったこと知らされた春子がね、夏子を独占できるって、すごくいい笑顔見せるんですね。あれ、ほんと、びっくりするほどのいい笑顔でしたよ。
『先パイがお呼びです!』。なんだか穏かな普通の日常とでもいえばいいんでしょうか。会長きなこが、塩田と佐藤、3人で一緒にカフェでお茶。呼び方がどうとか、わりと他愛もないことおしゃべりしている。そういうなんでもない状況と、そこにただようゆったりとした空気の感触、これはなんだかとてもよかったなあって思いまして、このスローであたたかみあるチャーミングな時間、狙って描いてるのならすごいよなあって、感心しきりです。今回、会長たちの優雅なお茶会と、それを眺めるマヨ、おぐのふたり。おぐちゃんが、塩田先輩、佐藤先輩のこと、素敵だって、しっかりばっちり語ってくれて、そして会長は完璧! これでね、もしかしたら自分の知ってる会長の姿、あれは本当に自分だけが知ってることなんじゃないかって、マヨが意識しだすのね。なんか、すごく特別なのかもって思いはじめるのね。すごいと思った。これ、じわっと人の気持ちの機微をうがって、マヨの心の瑞々しくわきたつ様、静かで、けれど浮き立つそんなこの子の心の様子。ささやかかも知れないけれど、とても美しかったと思います。
- 『まんがタイムきららキャラット』第14巻第5号(2018年5月号)
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