正直なところをいうと、『まんがタイムファミリー』の休刊はまったくの予想外でした。
まんがタイム系列誌、2月に入ってから次号最終回の文字が目立つようになって、それでも最初は休刊とまでは思わなかったんですね。恒例といっていいものかわからないけれど、まれにある誌面刷新。人気作を残して、残りを一気に入れ替えるみたいなことは、タイム系に限らずきらら系でもわりとあって、その度に好きな連載がなくなる、好きな作家がいなくなるというので、落ち込んでみたり、荒れてみたりと、かつてはいろいろ気持ちを忙しくしていたわけですが、最近ではすっかり慣れっこになってしまって、さみしさに天を仰ぐ程度ですませられるようにはなっています。
どうも今回はいつもの刷新とは感じが違うな。そう思ったのはジャンボ3月号を読んだ時でした。いくらなんでも終わるのが多すぎやしないか? これは休刊あるな。内心そう思いながらタイム系列誌の発売日を迎えるたびに休刊を確信していったのですが、それがまさかの2誌というのは予想のほかで、一気に2誌! 道理でバタバタとあれだけの数、畳んでいったわけだ。
さすがにこたえましたね。マジかー! 天を仰ぎましたよ。
『まんがタイムファミリー』を講読することになったきっかけは、正直いうとはっきり覚えていません。そもそもいつごろ読みはじめたのかさえさだかではなく、Wikipediaあたりでざっと過去の掲載作を眺めてみたところ、ああ、2000年ごろだなとおぼろげながら思い出されてくる。2004年はじまりの『おこしやす』の初回には間に合っていたな。2000年はじまりの『ユーアーマイサン』初回は雑誌では読んでいない。『+1サプライズ』の初回は読んでたんじゃないかな?
『ラディカル・ホスピタル』がきっかけですね。今は亡き『まんがタイムラブリー』に、2000年4月号から掲載されるようになったこの漫画に魅せられて、掲載誌を次々講読していくことになったんだった。
ファミリーを読むようになった時期は2000年末から2001年初頭にかけて、これで間違いなさそうです。
そうか、2001年か。中途からの読者ではあるけれど、それでもファミリーの付き合い、15年を超えていたんだなあ。
まんがタイムファミリーの休刊を受けて天を仰いだというのは、15年講読してきた雑誌が終わったことのショックもありますが、ジャンボ、ファミリーという四コマ漫画のプラットフォームが失われる、そのショックがより大きかったからです。
先日、twitterに少し書いたものを引用します。
更新の隙間ができるまでいうつもりはなかったのだけど、ジャンボ、ファミリーが休刊し、タイム系列の誌面縮小。より単行本の売れる漫画にシフトしていく体制になるだろうことが予想される。ということは、自分にとってタイム系列誌を読む意味が大きく変わるということなので、大変厳しい。
— IMAI Toshiyuki (@imait) 2018年3月22日
売れる漫画がいい漫画というのはそれはそれでいいんだ。売れてる漫画で好きな漫画もあるわけだから、そこに注力するというのは別にかまわない。けれど、売れるという尺度だけで判断されて、売れないけれどいい漫画、面白い漫画、好きな漫画がなくなるのは困る。四コマの裾野が狭まるとか以前に、困る。
— IMAI Toshiyuki (@imait) 2018年3月22日
売れなくてもいい漫画は残したいとか、そんなこといってられない状況なんだろうなというのはわかるし、だから出版者責めるつもりもまったくないのだけど、つまり、こうした状況についてはただただ困る。
— IMAI Toshiyuki (@imait) 2018年3月22日
多い多いといわれがちな四コマ誌ですが、多いこと自体は決して悪いことではなかったのですよ。雑誌の数が多いということは、それだけ多くの漫画を掲載することができるということで、それだけの裾野の広さを持つことができます。雑誌ごとに少しずつ異なるカラー、異なる読者層も手伝って、多様、多彩な漫画が育まれる土壌となる。この裾野をどれだけ広げることができるか。その大切さは、雑誌を作ってる人たちが、一番よくわかってることだったんじゃないかなとも思うのです。
私が四コマ誌を読んできて、おそらく一番に大切と思ってきたものは多様性です。いろんな漫画がある。一冊の雑誌だけでも、いろんなタイプの漫画が載っている。ぱっと派手で人気のあるものがあれば、地味ながらも地力のある面白いものもある。とにかく明るくて楽しいものから、時にしみじみと情に訴えるものまで、多様に広がる個性の違い、タッチの差異に触れるのが、なにより楽しかった。
これはいっていいことなのかわからないけれど、私が好きで好きでしかたのない漫画、あんまり売れないんですかね、単行本にならないのもたくさんありました。でも、そういった漫画に魅かれてやまない私には、たとえ単行本にはならないのだとしても、読める環境があるということがありがたかった。毎月の掲載を楽しみにして、今月はどんなの読ませてくれるのだろう。私は、雑誌は極力頭から読んでいくようにしてるから、どうしても楽しみは後回しみたいになってしまうんだけど、我慢できなくて途中から読んでしまうこともあったりして。
けれど、この度の2誌休刊にともなう再編で、好きだった漫画がたくさん終わってしまいました。ジャンボ、ファミリーにとどまらず、本誌、スペシャル、オリジナルにおいてもたくさん終わって、ああ、時代が過ぎ去っていくと虚無を感じつつ天を仰がないではおられませんでした。
今後、四コマ誌がどうなっていくのかは、一読者にすぎない私にはわかりません。私の予想したように売れる漫画に注力していくことになるのか、あるいは、今回の再編にも残った新作たちが、今後の多様性を支えていってくれることになるのか。
後者だったいいなと思います。そして、将来のヒット作がその多様性の土壌から生まれてくれること、願ってやみません。
- まんがタイムファミリー
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