『まんがタイムきららフォワード』2018年5月号、昨日の続きです。
『ライター×ライター』。いや、もう、やられました。アニメの現場で起こること。突発的な出来事に翻弄される人達を描く漫画であるわけですが、そうか、アニメは分業で作るもの。どこかひとつを担う部署、すなわち会社なりスタジオなりが突然倒産することもあるのか。今回はCGを担当する会社の倒産が降り掛かって、代わりの会社は見つけたものの、スケジュールは大幅にくるってしまう。具体的には、第3話の見せ場が間に合わなくなってしまい、ゆえにそれを脚本でカバーする必要が生じてしまった。脚本というのは最初にできて、それに従って作っていくものだ、そういう考えでいたのですが、そう簡単ではないのだということ知らされた思いがします。まれに、破綻とまではいわずとも、ほつれが見え隠れすることってあるじゃないですか。ああ、これは作ってる人達、悔しいだろうなあ。そう思ったりするんだけど、表向きには問題なく見えても薄氷を踏む思いで乗り越えてるケースがあるのかも。そして、いわゆる原作改変、自分は、面白ければ改変OK派なのですが、それがやむない事情でそうせざるを得なかった、作り手にとっても不本意な改変であった可能性もあるんだな、そうしたこと思わされました。いやしかし、この漫画においては、原作者が改変で酷い目にあった経験のある。そうしたハードル置いてみせて、そのやむなく改変をクリアさせてみせるというのがね、アイデア出そうと頑張って、そして閃くその様子。ああ、いい物語になってるなあって思わされて、大変よかったです。最後にはすがすがしい思いで読み終えられましたよ。
『夢喰いメリー』。これ、大丈夫なんでしょうか。まさしくDデイである文化祭当日。学外からは銘無しが押し寄せてくる。当初はうまく退けられるのかな、そう思っていたのだけど、まさか見えるだけの一般生徒、モブと思わせられていたそれが、ヤエなの? じゃあ中庭にいたのは誰!? どういうこと!? 何度読み返してもわからない。ええと、ヤエ、ふたりいたっけ? あるいはなんか仕掛けあったっけ? 既刊遡らないと駄目か!? いや、もう、この混乱。まさしく、初動を白儀に完全におさえられてしまった。ほんと、ここからどう挽回の目があるんだろう。校内の混乱もそうですが、読者である自分自身も右往左往するかのようでありますよ。しかし、ヤエ、中庭のが偽物ということでいいんでしょうね。ともあれ、ずっと眼鏡でいたこの子、眼鏡なくても可愛いな。えらいことですよ。ほんと。イチマちゃんに続くニューヒロインの誕生かも知れませんよ、これ。もう、動揺しっぱなしですよ。
『江波くんは生きるのがつらい』。えらいことになっとるな。江波くん、なんで座禅なんかやっとるの。座禅部にて、煩悩を滅するといって座禅体験をやってるわけですが、その煩悩っていうの、なんとまあダイレクトに即物的! いや、これでこそ江波くんなのかも知れん。この体験座禅会、竹松も参加してみるんだけど、いやまあ、あきませんね! 寝る、BL妄想がはかどる、よだれまでたらす。いいな、この子。すごくいい。どうせ男のことでも考えてるんでしょ、そういわれて、まさかの回答、男と男のことです!!! いいきっちゃったよ! いいキャラクターになったなあ。竹松の言葉、煩悩があるから生きてて楽しい。いいですね。江波にもなにか届いたようで、なによりじゃないですか。と、その前に、座禅部会長、すごいキャラだな! 嗜虐性が見えてきたのはわかったけど、僧衣の下がそんなことになってるたあ思わなかった。ほんとね、新興なんたらみたいなのかな? みたいにも思ったんだけど、そこまで重い展開しないの、これはいいところだと思います。しかし、竹松のおかげで、江波、いい刺激、あるいは頑なになってる心が自由になりそうで、今後も目が離せないですな、これ。
『まんが家cherry!』。いい話でしたよ。この漫画、ところどころにキャラの奇行があったりしますけど、今回はその奇行の理由などが明らかになって、そしてその以上のもの見せてくれました。とっとこぴょん太郎から助けを求められた春香。そうか、とこぴょん、本名は菜の花っていうんだ。原稿がピンチ。それで助けてほしいというのですが、ここで連載の大変さが語られて、この分析が追い付かないという叫び。人によってネックになるところは違うのだろうけれど、多かれ少なかれ誰もがこうした叫びを飲み込んで、必死に描いていたりするのだろうなあ。今回は、こうした作家の苦しみをただ語るだけでなく、親の七光、そういわれることを嫌がって、人前に素顔をさらさなかった菜の花の心情も乗せてきて、ああ、このつっぱってきたというのが、この子の強みで、けれど今は弱みになっているんですね。今回のエピソードは、謝恩会からの長いパスがあって、だからこそより強くうったえるものがあるのだと思う。あの、障子を開けたそこにポツンと置かれたインク瓶。父、大文字燃が菜の花のことに気づいたのはいつだったんだろう。あの謝恩会、表彰式での壇上、菜の花が表彰状をひったくるようにして受け取った、あの時だったんだろうか。わからないのだけれど、漫画家の先達としてだけではない、父としての思いみたいなものが、見せぬ姿に感ぜられましたね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第12巻第5号(2018年5月号)
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