『まんがタイムきららフォワード』2016年3月号、昨日の続きです。
『怪獣の飼育委員』、このゆったりとした雰囲気の漫画。好きでしたよ。最終回、野菜泥棒を捕まえようと見張っていたら、その犯人が空飛ぶ怪獣だった。ものを食べない怪獣が野菜を盗むのはなぜか? いろいろもろもろの理由が明らかになるのと、コトと月子の問題の解消、それらが並行して展開して、この相互理解、素直になること、そうしたテーマの率直に伝えられるところなど、この漫画のよいところであるなあと、あらためて思わされたんですね。素直な漫画。そうしたところ、気にいっていたんですね。
『ルイは友を呼ぶ』、急展開だ! Eクラスに現れた女子2名。Dクラスに落ちたというふたりなのですが、ソフィアとクララ、考えるところがある。いやもうね、この角の美醜によってランク分けされるという、その制度、社会への反抗を画策する、いわば急進派だというのですね。Eクラスメンバーとの対話、これが結構スリリングでいかしました。散々これまでツノの美醜で差別してきたのが、自分たちが差別される側になってようやく制度の歪さに気づいた、ネルのその指摘の的確さ、実にいい。この漫画は、もともとから、差別を内包した社会を舞台として、いつかその差別の克服などあるんじゃないかと思ってきたわけですが、ここにソフィアたち急進派を登場させることで、描かれる社会とその理不尽に対峙する彼女らのありかた、際立ってきたと感じます。Eクラスの彼女らがね、自分たちの内面の問題をほぼ解決している、乗り越えている、それがあるからこその、急進派との決別、その説得力に繋ったのだと思っています。
『そこテストにでます!』、数馬とかえでの件、解決といいますか、次のステージに進みましたね。これ、数馬はすぐに受け入れるのかどうなのか。というか、なぜそこで受け入れない。とやきもきしていたわけですが、数馬には数馬のプランがあった。かえでに見合う、そんな人間になって、そして告白しようという、その決意があるがため、かえでの告白にほいほい乗れなくて、けれど自分の考えてきたことをかえでに告げることで、ええ、応えるわけですよ。この漫画に描かれる恋愛の、気持ちの、そうしたもろもろは、ついつい考えすぎてしまう、そうした子らの、一種不器用な関係の構築を表して、ああこうした態度こそは青春ないし思春期の時期に特有の、青さ、若さ、そして苦さに発するものなのであるのかも知れないなあ、なんて思わされるのです。
- 『まんがタイムきららフォワード』第10巻第3号(2016年3月号)
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